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【連載版】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します  作者: うり北 うりこ@8/1ざまされコミカライズ①発売


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「お前を愛することはない」と言われた私、証拠を売り飛ばします①


 第二王子は顔だけ振り向くと、じとりと旦那様を見た。


「貸しだからね」

「いつも殿下のせいで大変なんですから、たまには盾にでもなってください」


 義妹から隠れるように、第二王子より少し高い背を丸めて旦那様が言う。


 ……うん。ヒーローの背中に隠れるヒロインみたいだ。


「カリウスは屋敷で留守番してたら良かったのに。奥方だけ来てくれればいいんだからさ」

「コレッティーナを一人で行かせるわけないじゃないですか」

「一人ってわけじゃないでしょ。オレもいるんだし」

「殿下と、殿下の護衛では不十分なんですよ。コレッティーナを一番に守りませんから」


 ん? 誰が来ても、私を守る必要ないよね?

 旦那様だって、第二王子を守らないとでしょ?

 ……まぁ、何でもいっか。


「私の出番、まだですか?」


 時間があるなら庭に行きたい。

 ビンに実を詰めるのだ。


「待たせてごめんね。すぐに取り掛かるよ」


 そう言うと、第二王子は胸元から笛を取り出した。


 ──ピーー!! 


 高い音が響く。


「は? ちょっと、何なの!?」


 義妹が困惑の声をあげている間に、わらわらとガタイの良い男の人たちが現れた。

 あ、みんな同じ服を着てる……。


「第二王子殿下の護衛ですか?」

「彼らは騎士だよ」


 にこりと第二王子が笑う。


「へぇ、騎士様ですか」


 どうりで強そうなわけだ。

 いいなぁ、筋肉ムキムキ。

 根っこを簡単に引っこ抜けるだろうなぁ。


「さ、始めようか。ラビソン伯爵家の人たちは一部屋に集めておいて。邪魔するようなら捕縛(ほばく)していいから」

「捕縛!? ちょっと待ってください!! 屋敷に勝手に入ってきて捕縛だなんて、許されませんわ」


 騎士様たちに指示を出した第二王子に向かい、義妹が叫んだ。


「邪魔しなければ、縛られませんよ」

「そういうこと言ってるんじゃないのよ! コレッティーナ(バカ)は黙ってて!!」


 ギッと(にら)まれるけど、弱そうだ。

 黙らせたいなら、もっとムキムキになった方がいい。


「コレッティーナになんてこと言うんだ」


 第二王子の後ろから出てきた旦那様が義妹を威嚇(いかく)してくれる。

 でもなぁ……。


「大丈夫です。怖くありません」

「……そうか」

「はい。義妹は(きた)えてから出直したほうがいいです」

「鍛える?」

「筋肉が足りません。あれじゃ、パンチもヒョロヒョロです」

「ぶふっ…………」


 旦那様は私に背を向けた。

 肩がちょっと震えている。


「カ、カリウス……我慢しなよ……」

「殿下……だって…………笑ってるじゃ……ないですか…………」


 えっと、何でそんなに笑って……。

 あ! そうか!


「義妹、笑われたからって気にすることないです。これから鍛えればいいんです」


 やられたら、やり返すのはいい。けど、未熟だからって笑うのは失礼だ。


(わたくし)が笑われてるんじゃないわよ!」

「…………そうですね」


 自分が笑われてるって認めたくないもんね。

 かわいそうに……。


「あー、面白かった。さてと、ちゃっちゃと終わらせようかな。夫人、案内お願いできるかな?」

「はい。こっちです」


 歩き出せば、第二王子と旦那様、騎士様が数名ついてくる。


「ちょっと! 離しなさいよ!!」


 義妹の声が後ろから聞こえたので振り向けば、騎士様に引き止められている。

 ジタバタしてるけど、あの体格差じゃ義妹の負けは確定だ。


 やっぱり筋肉は正義か……。私の食生活も改善してしばらく経つし、鍛えよう。

 簡単に根っこを収穫したいしね。



 ***



「つきました。ここです」


 ついた場所は食糧庫。

 薄暗いので、騎士様が手持ちランプに灯りをつけてくれる。


「……こんなところにあるの?」

「はい。食べ物を(あさ)っていた時に見つけました」

「えっと……」

「他にも、父の書斎と、義母のドレス部屋にもあります」

「……そっちは、どうやって見つけたのかな」

「掃除してた時です」


 あれ? 第二王子が黙っちゃった。

 父の書斎はともかく、食糧庫とドレス部屋には普通、隠さないのかも。

 三ヶ所は多くて、面倒だよね。


「一箇所に集まってなくて、すみません」

「え!? それは全く問題ないよ。むしろ、付き合わせちゃってごめんね」


 眉を下げ、第二王子は言う。


「……コレッティーナ」

「何ですか?」

「これ、食べておけ」


 そう言いながら、旦那様が私の口にペロペロキャンディを突っ込む。


「ありがほーごじゃいまふ。こへ、ほっからほほひはんへふか?」

「ん? 何だ?」


 旦那様は笑いながら、今度は私の口からキャンディを引っこ抜いた。


「これ、どこから出したんですか?」

「ポケットだ」


 そう言われ、旦那様のポケットを見る。

 おかしい……。あのポケットに、このペロペロキャンディが入るわけない。


「……そんなに気になるか?」

「はい!」


 何度も頷けば、旦那様は上着をぺらりとめくる。

 すると、そこにはなんと──。


「おっきなポケット!」


 ペロペロキャンディがジャストサイズで入りそうな、素敵ポケットがあった。


「うわぁー! いいなぁ……」


 これなら、いつでもペロペロキャンディを持ち歩ける。


「殿下、そんな目で見ないでください」


 そんな目?

 第二王子を見れば、半目だった。


「カリウス。殿下もペロペロキャンディほしかったんですよ。もう一つありますか?」

「チョコならあるぞ」


 今度は外ポケットからチョコが出てくる。


「うぐぅ……。仕方ないので、それを第二王子殿下にあげてくださ──」

「いらないからね!?」


 少し強めに第二王子が言う。

 いらないなら、私がチョコほしいな。

 そう思って旦那様を見上げれば、頭を撫でられる。


「またあとでな」


 ペロペロキャンディを手渡され、なめれば、今日も暴力的なほどの砂糖の味がした。

本業が忙しく、更新ペースが落ちており、申し訳ありません。

今後は週2〜3日の更新を目指して、投稿していく予定です。

もちろん、それ以上書ければ更新ペースをあげていきますよ!

引き続き、よろしくお願いいたします。



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