表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します  作者: うり北 うりこ@ざまされコミカライズ開始


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/5

「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します②


「愛することはない……」


 小さく呟いた旦那様に大きく頷く。


「はい。政略結婚なうえに、昨日が初対面。そんな相手に「お前を愛することはない」と言われて、好きになるわけないじゃないですか」

「し、しかし……。今までは……」

「え!? まさか、私が旦那様のことを好きだと思ったんですか!? ないですって! ありえませんよ!」


 笑いながら全力で否定をすれば、旦那様はソファーから崩れ落ちた。


「そんな馬鹿な……。最初が肝心だって聞いたんだぞ?」

「えっと……、誰に? というか、最初があれだと嫌われる以外の選択肢はないと思いますけど」


 そう言いつつ、旦那様の隣に移動してしゃがむ。


「俺がキャーキャー言われたり、追いかけ回されたくないって言ったら、「愛することはない」と最初から釘を刺しておけばいいって……」

「あー、いろいろと苦労したんですね。旦那様、無駄にイケメンですもんね」


 キラキラの金髪に、碧眼、お顔も整っていて、The王子顔だもんなぁ。

 アイドル扱いだったのか……。

 だからって、あれはないと思うけど。


「ま、ある意味成功したんじゃないですか? 私もドMじゃありませんから、釘を刺されたおかげで頭のおかしな男に嫁いだと思いましたし。いくら顔が整っていても、旦那様の印象はマイナス要素しかないですから」


 食事がなかったこととか、食事がなかったこととか、食事がなかったこととかね!


「とにかく、デザーが食事を用意してくれると約束してくれましたが、旦那様もそれで問題ないようで安心しました。旦那様が駄目と言うものは、執事長といえど(くつがえ)せないでしょうし」


 うんうん。

 これで安心して、このお屋敷に住めるというものよ。


「頭がおかしい……。マイナス要素……」


 ぶつぶつと旦那様は私の言った言葉を繰り返している。

 自分は初めましての日(昨日)に、あれだけ失礼なことを仕出かしたのに、言い返される覚悟もなかったのか……。


 うーん。ここまで落ち込ませたら、食事に影響でるかな。

 仕方ない。

 少し、励ましとくか。


「旦那様のおかげで、早めに互いの求めるものが分かって良かったじゃないですか。旦那様は私に干渉されたくない。私は食事を確保したい。明確ですから、守りやすいですよ。これで、愛のない結婚が無事成立ですね」

「愛のない……結婚…………」


 ん?

 何でそんなに落ち込んでるの?

 あー、あれか。たしかにそうだよね。


「なるほど。私がただ飯食らいになるって心配なんですね」


 うんうん。これじゃ私が一方的にもらうだけになってしまうし、気になって当然だよ。


「ただ飯は良くないですし、何かしらはお返ししますね」


 実家では、掃除、洗濯、料理をやっていた。

 けど、それは手が足りてそうなんだよね。

 ということは、別の対価が必要か。そう思い、書類の山へと向かう。


「ちょっと拝見します」

「え? あ、おい!」


 旦那様は急いで立ち上がると、私を後ろからひょいと子どものよう抱き上げ、ソファーへと連れて行く。


「勝手に見るな! って、裸足じゃないか! ちゃんと普段からご飯食べてるんだろうな。軽すぎる。……とりあえず、俺の靴でいいか?」


 私の前に跪き、旦那様は自身の革靴を履かそうとした。


「……ずいぶん汚れてるな」

「ちょっとお外に行ってきたので」

「裸足でか!?」

「はい。朝ごはんの調達に。このお屋敷のお庭は食べられる植物が多くていいですね」


 今度、デンガにお庭の植物をリクエストするのもいいかもしれない。


「お庭って、ちょっと変えてもいいですか?」

「え!? あ、そうだな。庭師のデンガという者と相談しながらやってくれていい」

「ありがとうございます!」


 ヤッター。これで庭にたくさん非常食を作れる。


「……好きにしていいが、きちんと靴は履けよ」

「はーい」


 用意しなかったのは、そちらの使用人ですけどね。という言葉をのみ込む。

 心配してくれるあたり、思ったより悪い人ではないのかも。


 何か知らんけど、旦那様自ら足拭いてくれてるし。


「まったく。お前は世話が焼けるな」


 お前って言うなよ。

 と心の中で文句を言いつつ、革靴を履かされる。

 片足をあげれば、ぶかぶかなのですぐに靴が落ちた。


「何やってるんだよ……」

「お気になさらず」


 履き直させてくれる旦那様を見下ろしながら言えば、睨まれる。


「気にするに決まってるだろ! 妻なんだから」

「言ってること支離滅裂ですけど、大丈夫ですか?」


 愛さないって言ってみたり、妻だと言ってみたり……。

 どちらかにしてほしい。

 疲労に加えて、マリッジブルーってやつかな。男性もなるらしいし。

 ま、どうでもいいか。


「えっと、どれどれ……」


 何かを言っている旦那様に、適当に相槌を打ちながら、連れてこられながらもゲットした書類に目を通す。

 うん、私でも問題なくできそう。


「あ、旦那様。ここの計算間違えてますよ。あと、ここもですね」

「ん? あー、そこまでチェックする時間がなくてな」


 渋い顔をする旦那様に、これだ! と思う。


「私、それやりますよ。食事の対価に」


 これで、少しはフェアになるはずだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ