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【第2章開始】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します(連載版)  作者: うり北 うりこ@8/1ざまされコミカライズ①発売
「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します

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「お前を愛することはない」と言った旦那様がたじたじです。


 もりもりと朝ごはんを食べ、昼夜は悪戦苦闘して、どうにか食事をした翌日、私の指導をしてくれる先生がやってきた。


「お初にお目にかかります。ミカナ・レートニアでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます」

「コレッティーナ・ナビレートと申します。私の方こそ、よろしくお願い申し上げます」


 ミカナ先生がやっていたように、ぺこりと頭を下げる。

 そんな私を、旦那様が凝視した。


「コレッティーナが、ちゃんとしてる……」


 思わずといったつぶやきに対し、失礼な! と返す前にミカナ先生が咳払いをする。


「坊ちゃま、その言い方は何でございますか?」

「坊ちゃまは、やめてくれ」

「あら、私にとってはいつまでも坊ちゃまでございます。嫁いでこられた奥様に対し、礼節をわきまえなかったと聞いた時には、それはそれは(はらわた)が煮えくり返る思いでございました。そのような未熟者は、坊ちゃまで十分でございます」


 お、おぉぉ……。

 ミカナ先生、強い!


「あの、先生」

「何でございますか?」

「旦那様はとても優しくしてくれます。ご飯くれなかったの、最初の一回で、今は甘味もくれるんです。許してあげてください」


 これでもう大丈夫!

 と思った瞬間、旦那様が頭を抱えた。


「旦那様、大丈夫ですか? 片頭痛持ちだったんですね。少し横になってください」

「違う。そうじゃない」

「痛くない……ですか?」

「あぁ、大丈夫だ」


 そう言って、旦那様は私の頭に手を乗せる。

 最初は拒否していたけれど、あまりにも回数が多くて、頭を撫でられるのには、すっかり慣れた。


 やはり、身長差と年齢差があるからかな。

 旦那様は妙に私を子ども扱いしたがる。


「……坊ちゃま」

「あっ、そうだった。急ぎの仕事が残ってたんだったな。じゃ、俺はこれで……」

「お待ちなさい」

「わ、悪いが、仕事がだな……」


 しどろもどろ旦那様が言うと、ミカナ先生はにこりと笑う。

 わぁ……、笑顔が怖い。

 凄みがあって、かっこいい!


「坊ちゃま、今は仕事どころではございません。お食事の件に関しましては、デザーから聞いておらず、初耳でございます。それに、どのような理由を持って、奥様に旦那様(・・・)と呼ばせているのですか?」

「え? いや、その……」

「ハッキリおっしゃりなさい」


 決して大きくないのに、背筋が伸びるような声だ。

 ミカナ先生、いろいろとかっこいい……。

 マネしたい……。


「食事についてはあれだが、呼び方に関してはコレッティーナが好きでそう呼んでいるだけでな……」

「言い訳はけっこうでございます。此度は奥様へのマナーや貴族の常識をお教えする役目をいただきましたが、ついでに坊ちゃまの性根も鍛え直さねばなりませんね」


 わぁ、旦那様もお勉強するのかぁ……。

 って、……ん? 駄目駄目!


「ミカナ先生、駄目でございます。旦那様はお忙しいです。毎日、休みなく働いてます。これ以上は無理でございます」


 ミカナ先生のマネをして、にこりと笑いながら言う。

 うん、うまくできた!


「コレッティーナ……。なんでそんなにドヤァしてるんだ?」

「へ? 違いますよ。先生のマネです。私はかっこいいんです!」

「ふっ……ふふっ……。そうか。ミカナのマネか……。うん、最初はマネから入るのもいいかもな。エライぞ」


 おや? 褒められた!

 つまり旦那様は、私にミカナ先生みたいになってほしいと。


「分かりました! ミカナ先生みたいになります!」

「待て! それはならなくていい。俺がエライと言ったのは、コレッティーナの学ぼうという姿勢だ。どうしてマネしようと思ったんだ?」


 旦那様は中腰になり、私と視線を合わせて聞いてくれる。


「かっこいいと思ったからです!」

「……かっこいい?」

「はい。先生は強者です。私、怒鳴るもヒステリーも怖くないけど、ミカナ先生は怖かったです。笑顔で静かに圧をかけるが最強です!」


 それができたら、私も最強のナビレート伯爵夫人だ。

 いい……。

 最強に、かっこいい……。


「なるほど。で、コレッティーナは何で最強になりたいんだ? 社交界に行くのに、貴族としての礼儀作法や常識は身につけなければならないが、最強じゃなくてもいいんだぞ? 今のコレッティーナもある意味、十分最強だし」

「……? 私、最強じゃないです。まだまだです」


 最強になったら、旦那様も、ナビレート伯爵家も、守れる。今の生活を守れるのだ。


「強さこそ、正義です!」

「そんなわけあるか! 今絶対にいろいろと端折(はしょ)って話しただろ。全部話せ」

「つまり、普段から考えていることをすべて口にすると……」

「違う。何でそうなるんだ……」


 旦那様は困ったように眉を下げて笑う。

 でも、雰囲気は優しい。


「坊ちゃま、お話は済みましたか? いろいろと聞きたいことがございます。よろしいでしょうか?」


 あれ? ミカナ先生の凄みが増してる。

 オーラが見えたら、ぶおっとすごい圧を放ってるんだろうなぁ……。

 うむ。やはりミカナ先生は最強でかっこいい。


 

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