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【連載版】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します  作者: うり北 うりこ@8/1ざまされコミカライズ①発売


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「お前を愛することはない」と言われた私、旦那様のお部屋にお呼ばれしました②


 問題は、ご飯がいつもよりおいしくなくなっちゃうこと……だよね。

 社交は必要だし、マナーを覚えるのは労働で、対価としての食事だから、文句は言えない。

 けど……。


「昼と夜は頑張るので、朝は手で食べれるものにしてくれませんか?」


 一日一食は、幸せだ! って、食べたい。


「駄目……ですか?」


 恐る恐る聞けば、旦那様の手が頭にのる。


「駄目なわけない。……つらければ、夜会は断っておくぞ」

「行きます」


 だって、そうしないと家族じゃなくなっちゃう。

 私がナビレート家の仲間に……家族に入れてもらうには、ちゃんと役に立たないと。

 価値を示さないと、いらないってされちゃう。


「…………コレッティーナ、何を考えてる?」

「え?」

「いつもなら、王城の食事を逃すわけにはいきません! 絶対に行きますから!! とか、言うだろ。変だぞ」

「……旦那様、私のマネ上手ですね」


 何でそんなとこ、クオリティ高いの?


「──そ、それは今は関係ないだろ! で、何を考えてたんだ?」


 耳を赤くしながら、旦那様が聞いてくる。


「旦那様は優しいです」

「知ってる」

「……その自信満々なところは、どうかと思います」

「別にいいだろ。俺は、コレッティーナに優しくすると決めてる。だから、他からはともかく、コレッティーナに優しいと思われるのは、当然だ」


 それ、私に直接伝えるの?

 まぁ、旦那様らしいっちゃ、らしいけど。


「で、さっさと何を考えていたか言え」

「しつこい上に横暴ですよ。……ただ、役に立たないといらないってされると思っただけです」


 どんな顔をして言えばいいのか分からなくて、視線を逸らす。

 もし、迷惑だって顔をされたら……。

 きっと明日の朝ごはんが美味しくなくなっちゃう。


 何を言われるのか、怖い。

 顔を上げられないままいれば、頭に衝撃が加わった。


「──っ! 痛いっ!」

「痛くしたからな。もう一発いるか?」

「いりません! いきなり叩くなんて、酷いです!!」

「叩いてない。手刀(しゅとう)だ」


 さっき、優しくしてくれるって言ったのに!

 睨みつければ、旦那様は微笑む。


「よし。顔を上げたな」

「……そりゃ、いきなり攻撃をされたら、その犯人を見ます」

「うん。でも、下を向かなくなったことに意味があるんだ」


 どういうこと?

 思わず、眉間にシワが寄る。けれど、旦那様によってすぐに眉間を伸ばされる。


「何があっても、下を向くな。つらい時こそ、顔を上げろ。下を向くと、余計つらくなる」

「……何ですか、それ」

「俺の持論だ」


 自信満々に言う姿に、変な人だな……と思う。


「そもそも、コレッティーナは間違っている」

「何がですか?」

「役に立つから家族なんじゃない。コレッティーナが俺の妻で、大切だから家族なんだ」


 …………大切?

 言葉としての意味は知っている。

 でも、自分に向けられる言葉としては、しっくりこない。


「コレッティーナだから大切に思ってる。この意味、分かるか?」


 ふるふると首を横に振る。

 ちらりと見れば、旦那様は眉を下げ、優しく笑っていた。


「いきなり言われても、納得できないかもしれない。俺の場合は、出だしが最悪だっただけに、余計にな。でも、もしコレッティーナがマナーを覚えられなくても、社交界で失敗しても、がっかりしない」


 ちょっと、何を言われてるのか分からない。


 コレッティーナになって、お母様が死んでから、ずーっと、できなきゃいらない。できても、邪魔。

 私はそういう人間だった。


 できないのに、許されるなんてこと、あってもいいの?


「……旦那様は、やっぱり損するのが好きなんですね」


 お人好しすぎる。お人好しすぎて、心配になるくらい。


「別に、コレッティーナに関しては損なんかしてない。コレッティーナのおかげで、毎日が新鮮だ」

「それ、褒めてます?」

「褒めてるよ。コレッティーナのいない生活は、もう考えられないくらいだ。まさか、こんなにもコレッティーナに中毒性があるとはな」


 ……何だろう。ちっとも褒められてる気がしない。

 でもまぁ、旦那様が心配して、励ましてくれているのは伝わってきた。


「ありがとうございます。これからはより一層、旦那様に誠心誠意お仕えします」


 こんなに素敵な雇用主、もう二度と現れないかもしれない。


「だから、何でそうなる! コレッティーナは、俺の妻だ。仕えなくていい!」

「えー。でも、労働対価に食事もらってますし」

「違う。健康維持のために食事を出してるんだ!」


 あぁ、従業員の健康にも気を遣ってくれてるのか。

 さすがホワイト企業トップだ。


「とにかく、できなくても呆れないし、いらないともならない。だから、安心しろ」

「……はい。これで安心して、明日の朝ごはんをおいしく食べられそうです」


 あぁ、安心したら眠くなってきた。

 でも、まだ寝ちゃ駄目。

 肝心な話は、何もしてない。


 とにかく、朝ごはんだけは幸せに食べれるようにしとかないと。

 そうすれば、楽しくない食事のストレスを葉っぱとかを食べるので、うまく解消できる気がする。


 

いつもお読みくださり、ありがとうございます。

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