表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/19

服を買いたい


「む、何じゃ、妾に払えというのか? やらんぞ。お主は妾に借金をしておるのだからな」


 速攻で断られた。いや、俺、お前の従者だぜ。雇い主が従業員を粗末に扱うんじゃない!! 

 ええい、ブラック企業か!? 労基に訴えてやる!!

 ……いや、労基無えわ、この世界。

 仕方がない、プランBだ。


「いやあ、俺も従者だろ? 気品があって、ちゃんとした身だしなみのオウカの傍に立つのに、着の身着のままじゃ、申し訳ないじゃないか。だからこそ、風呂代は俺にくれたわけだし、それに、料理を作る以上、清潔感は大切だろ?」


 無理に要求せず、褒めて持ち上げる。さて、反応は……。


「そ、そうじゃのう、確かにその恰好じゃ妾の気品が失われてしまうのう。仕方がない、これで見繕うとよいぞ」


 マジかよ、金銭1もくれやがった、こいつちょろいわ。

 とにかく、これで金が手に入った。とりあえず、この金で替えの服やら下着やらを買うぞ。

 たしか、油屋の近くに織物屋があったはずだ。


「お、ここだな」


 看板には織物屋「ミクモ」と書いてある。目当ての服は見つかるだろうか。


「あら、いらっしゃいませ」


 店の中に入ると店の奥で女性が糸車を回している。顔は丸顔で20代くらいに見える、どこにでもいる様な感じなのだが……。通常の腕のほかに背中からさらに2本、計4本の腕が生えている。ええと、恐らく妖怪の女郎蜘蛛だろうな。なんだろう、もう慣れてきたわ、この世界。


「服を探しているんですけど、こんな感じのズボン、いや穿くものとか上着とか」


 俺は、自分が来ている服を指さして説明すると、女郎蜘蛛店主が俺の服をまじまじと見てきた。


「え!? 何この生地、どんな糸使ってるのかしら、興味深いわね~」


 さすがに、着の身着のままこの世界に来たからな。下はジーパン、上はパーカー、現実世界じゃ普通の服装でも、この世界じゃ珍しい服装だよな。


「特にこれ、この部分よ。何これ、どんな構造してんの!?」


 女郎蜘蛛店主が俺の下半身をまじまじと見ている。 そう、ヘソの下あたり。


「丸い金具に、何、この構造、金属部が互いにかみ合って閉じているのね。それと、この腰に巻いてある帯、ギャウル製かしら、しっかりなめされているわね」

「ちょ、ちょっと何してんですか!?」


 女郎蜘蛛店主が、俺のジーパンのボタンを外したり、ベルトを緩めたり、ジッパーを上げ下げしている。他から見たら勘違いされそうな光景だ。


「ごめんごめん、見たことない構造だから興味わいちゃってさ。お願い、構造だけ描かせて」


 女郎蜘蛛店主が4つの手で2つの合掌をする。そんな、二つもお願いされちゃ断れねえよ。

 

「おっと、そんな感じの穿くものだっけ、袴みたいなのかな」


 女郎蜘蛛店主が、店内の棚をいくつか物色して、それらしい服を並べてくれる。ふむ、こっちのやつは穿きやすそうだな。お、こっちは腰の部分に紐が付いていて締められるようになっている。


「こっちは西の国の服を参考にしてあたしが作ってみたやつさ」

「西の国?」

「ああ、もしかして、行ってみたことない感じ?」


 ええ、まあ、少し前まで日本という国にいたもので。


 聞くところによると、文字通りここから西にある国で、こことは住んでいる者も文化も違うらしい。

 ちなみに、俺たちが今いる所は東の国というらしい。

 まあ、現実世界も文化や国の違いはある。異世界だって同じだろうな。

 西の国の服は現実世界の中世の服に近い感じがする。よくファンタジー世界の村人が着ている服だ。むしろこれの方が着やすいな、よし、これも買おう。


「いやあ、珍しい服を見ると嬉しくてさ、お詫びに少しまけておいたから」


 金銭1枚で、結構な量の服と下着が買えたぞ、ちょっと強引な店主だったけど、いい妖怪だったな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ