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第42話 様子見

「なあ、ちょっと聞いていいか?」


 息を整えながら、隼斗は視線を龍馬へ向けた。その声音には、先ほどまでの軽口とは違う、わずかな探りが混じっている。


「何かな?」


 龍馬は相変わらず背を向けたまま、静かに応じた。


「あんたさ……全然、本気出してねえだろ?」


 間を置かず、踏み込んだ問い。だが返ってきたのは、揺るぎのない静けさだった。


「それは、君も同じではないのかな?」


「……ははっ」


 隼斗は小さく笑う。


「俺はな。あんたが本気出してくれねえと、こっちも本気になれねえんだよ」


 その言葉に、ほんのわずか――空気が変わる。


「そうか」


 龍馬は短く答えた。


「ならば――私を、この場から一歩でも動かせたなら。本気を出そう」


 あまりにも淡々とした条件提示。だがそこには、絶対の自信が滲んでいた。


「……そうかい」


 隼斗の口元が、ゆっくりと吊り上がる。


「なら、話は早いぜ!」


 次の瞬間、隼斗はその場で動きを止めた。


 深く息を吸い込み、意識を内側へと沈めていく。外界の音が遠のき、鼓動だけがやけに鮮明に響く。


 やがて――


 腰を深く落とし、両肘を折り畳むようにして脇腹へ引き寄せる。握り締めた拳に、全身の力が凝縮されていく。


「はあああああああああ!」


 裂けるような気合とともに、隼斗の体から何かが溢れ出した。


 目には見えぬはずの“気”が、確かな圧として空間を震わせる。畳が軋み、空気が揺らぎ、場の温度すら変わったかのようだった。


「あああああああああああああああああああああああ!!」


 雄叫びとともに、隼斗の拳が弾ける。


 ――速い。


 視認すら困難な速度で、無数の拳が前方の空間を打ち抜いていく。


 一撃一撃が風を裂き、衝撃波となって重なり合う。


「たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた!」


 連打。連打。連打。


 「なあ――ちょっと聞いていいか?」


息を整えながら、隼斗は視線を龍馬へ向けた。

その声音には、先ほどまでの軽口とは違う、わずかな探りが混じっている。


「何かな?」


龍馬は相変わらず背を向けたまま、静かに応じた。


「あんたさ……全然、本気出してねえだろ?」


間を置かず、踏み込んだ問い。

だが返ってきたのは、揺るぎのない静けさだった。


「それは――君も同じではないのかな?」


「……はっ」


隼斗は小さく笑う。


「俺はな。あんたが本気出してくれねえと、こっちも本気になれねえんだよ」


その言葉に、ほんのわずか――空気が変わる。


「そうか」


龍馬は短く答えた。


「ならば――私を、この場から一歩でも動かせたなら。本気を出そう」


あまりにも淡々とした条件提示。

だがそこには、絶対の自信が滲んでいた。


「……そうかい」


隼斗の口元が、ゆっくりと吊り上がる。


「なら――話は早いぜ!」


次の瞬間、隼斗はその場で動きを止めた。


深く息を吸い込み、意識を内側へと沈めていく。

外界の音が遠のき、鼓動だけがやけに鮮明に響く。


やがて――


腰を深く落とし、両肘を折り畳むようにして脇腹へ引き寄せる。

握り締めた拳に、全身の力が凝縮されていく。


「――はあああああああああ!」


裂けるような気合とともに、隼斗の体から何かが溢れ出した。


目には見えぬはずの“気”が、確かな圧として空間を震わせる。

畳が軋み、空気が揺らぎ、場の温度すら変わったかのようだった。


「あああああああああああああああああああああああ!!」


雄叫びとともに、隼斗の拳が弾ける。


――速い。


視認すら困難な速度で、無数の拳が前方の空間を打ち抜いていく。

一撃一撃が風を裂き、衝撃波となって重なり合う。


「たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた!」


 連打。連打。連打。


 くうそのものを叩き割るかのような、圧倒的な手数。


 やがて――


「あたあああああッ!!!」


 最後の一撃が、唸りを上げて振り抜かれる。拳が空気を打ち据えた瞬間、衝撃が波となって前方へと弾けた。


 静寂が、一瞬だけ戻る。


 そして――


「天道流護身術裏奥義! 気功烈波百裂拳!」


 隼斗の声が、道場に轟く。


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