不思議な違和感
ユリウス様に厨房まで案内してもらう。
向かう途中、メイドや執事たちと何人もすれ違った。
まるで外国のお城を見学しているみたいで、少しだけ楽しくなる。
「うふふ……」
思わず笑みがこぼれた。
「どうされました?」
ユリウス様が、不思議そうにこちらを見る。
「あっ……いえ。ちょっと面白いことを思い出しちゃって」
誤魔化すように笑う。
声に出してしまったものは仕方がない。
「そうですか」
ユリウス様は深く追及せず、前を向いた。
「それより、あちらが厨房です。食事を受け取る場所になります」
指さした先からは、食欲をそそる香りが漂っていた。
メイドたちが名前の書かれた札を見せ、料理を受け取っている。
「ありがとうございます」
私は頭を下げる。
そして、ふと思い切って聞いてみた。
「あの、一つだけ聞いてもいいですか?」
「何でしょう」
「私と……以前どこかで会ったことはありますか?」
ユリウス様は少し考えたあと、小さく首を横に振った。
「いいえ。お会いしたことはありません」
(よかった……)
胸をなで下ろす。
フェリシアだと気付かれたわけではなさそうだ。
髪色も服装も違う。
でも、声まで変えた方がいいのかもしれない。
そんなことを考えていると、ユリウス様がぽつりと呟いた。
「ですが……不思議ですね」
「え?」
「いえ、気にしないでください」
気になるんですけど!?
私は心の中で全力でツッコミを入れながら、会釈をした。
そして、美味しそうな匂いに誘われるように厨房へ向かった。




