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処刑寸前の悪役令嬢ですが、中身が不思議ちゃんオタクなので推しを幸せにすることにしました  作者: 花の香り


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3/5

ようこそ、絶望の地下牢へ

ゆっくりと目を覚ますと、肌を刺すような冷たい空気が伝わってきた。

 ……痛い。体がバキバキに固まっているみたい。

「フェリシア様がいない……! なんで!? それにここ、どこですかぁ!?」

 慌てて体を起こすと、そこは真っ白な空間でも、四畳半の自室でもなかった。

 湿った石の床。カビ臭い空気。鉄格子のついた扉。

 どう見ても、ここは「罪人が入れられる場所」だ。

「……夢、だよね?」

 自分の頬を思いっきりつねってみる。

「痛い! 痛いですぅ!!」

 ……どうやら私は天に召されたわけではないらしい。

 状況を整理しようと頭をフル回転させたけれど、それより先に、お腹が切実な声を上げた。

 ――ぐぅぅぅぅぅ……。

 そうだ、昨日(日本で)お菓子しか食べてなかったんだ。

 お腹が空きすぎて、これじゃあ戦えない。意識が全部お腹に持っていかれて、思考がまとまらない。

「すみませーん! 誰か、お腹空いたので何かありませんか!? 無理にとは言わないので、とりあえずここから出してください!」

 ダメ元で叫んでみると、暗闇の向こうから、複数の足音が聞こえてきた。

(助かった……! やっぱり日本人は困った時は助け合いですよね!)

「すみません! 助けてくださーい!」

 明かりが近づくにつれ、一人の男の人の姿が見えてきた。

 思わず、お腹の空き具合も忘れるほどの美形。……じゃなくて!

「すみません、私、間違えて連れてこられたみたいなんです。ここから出していただけませんか?」

 すると、その「国宝級のイケメン」は、ゴミを見るような冷たい目で私を射抜いた。

「今更演技か。反省もせず助けを求めるとは、愚かだな」

「えっ、演技? 愚か……?」

 何を言っているんだろう。私、悪いことしたっけ? もしかして、仕事の締め切り破ったのがバレた……?

 とりあえず、心当たりは山ほどあるけど謝っておこう。

「ごめんなさい、私、間違ってました」

「……は?」

 男の人は、心底驚いたように目を見開いた。

「反省したので、助けてください」

「……反省などしていないだろう。もういい、連れて行け」

 男の人が合図を出すと、後ろに控えていた数人の男たちが鍵を開け、私の両腕をがっしりと掴んだ。

「わわっ、なんですか!? すみません、ゆっくり歩いてください! そんなに早く引っ張られるとしんどいですぅ!」

 前を行く美形――ベネディクト様は、一度も振り返らずに吐き捨てた。

「いきなり上からの物言い……。全く反省していないようだな。昨日のことすら忘れたのか?」

「……覚えてますよ?」

 そりゃあ、推しのフェリシア様と会えたんだもん。忘れるわけがない。

 でも、なんでこの人がそのことを知ってるんだろう?

(待って。この地下牢、この服、この人――ここ、アニメの世界では……?)

 考えようとしたけれど、空腹と恐怖で目の前がクラクラする。

 両腕を掴んでいる人たちの力が強すぎて、とにかく痛い。

「痛い……そんなに強く握らないでよぉ……」

 意識が遠のく中、遠くで誰かが叫んでいるのが聞こえた。

「フェリシア! フェ……リ……シア……ッ!」

 なんで私に向かって、推しの名前を呼んでいるんだろう。

 ――そのとき私はまだ、自分が“処刑されたはずの悪役令嬢”として扱われていることを知らなかった。

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