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処刑寸前の悪役令嬢ですが、中身が不思議ちゃんオタクなので推しを幸せにすることにしました  作者: 花の香り
アニメの最終回

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国札五枚の現実

部屋に着くと、私は椅子に座り、アンナにも座るように促した。


「アンナ、仕事の許可出たのよ!」


「そうですか。それは良かったですね」


アンナは驚きもせず、平然としている。


「なんで驚いたりしないの?」


「許可される可能性はありましたので」


「私にはそう思わないけど」


使用人たちはフェリシアの両親のことをどう思っているのだろう。

なんだか、私が感じている印象と違う気がして疑問に思う。


……が、今は仕事のことで頭がいっぱいだった。


「仕事先は聞かれましたか?」


私は、ついさっきのやり取りを思い出す。


しかし、仕事先の話は聞かれてもいないし、伝えてもいない。

なぜだろう。


「聞かれなかったから答えてないよ」


アンナは私を見つめ、少し考え込んだ。


「顔になにかついてる?」


私は顔を触って確認する。


「ついてませんよ。ただ……どうやって許可を貰ったのか疑問でして。

許可される可能性はあると思っていましたが、すんなり受けてくれる方ではありませんし」


「取引に近いかな。お見合いとか、権力とか、お金とか……いろいろ話し合いしたの」


私は父から渡されたお見合い候補の紙をアンナに見せながら説明する。


「お金とは、どのような?」


「私が働いて稼いで持ってくる額を決めてもらって、給料日に見せるって簡単な話よ」


「その額は!」


アンナが興味津々に声を上げる。


「そんなに必要? 国札五枚」


その瞬間。


アンナは魂が抜けたように固まった。


「大丈夫? なにしてるのよ」


手を出して確認すると、アンナはその手を押し返す。


「お嬢様……いえ、サユ様。国の給料とか分かっているのですか?」


「給料というか、お金については分かるよ」


私は思い出しながら言う。


「銅メタル十五枚で大銅メタル一枚。

大銅メタル三枚で銀メタル一枚。

銀メタル二十枚で金メタル一枚。

金メタル二枚で国札一枚」


「言い方だけ少し違和感がありますが……合っています。不思議ですね」


アンナは信じられないものを見る目で私を見る。


「お金はそれくらいよ。知ってることは」


だって、物語に関係ないのだもの。

物語のメインはそこじゃない。


「では、国札五枚分はメタルにしたら何が必要ですか?」


アンナが学校の先生みたいに問いかけてくる。


「えっと……金メタル十枚」


「はい、正解です」


そんなの簡単すぎる。


「では簡単に説明します。

私の給料は銀メタル……多くて十メタルです」


「そうなの!?」


「では国札にしてみてください」


「できなくない?」


「そうです」


「もしかして私、不可能な取引したの?」


「そうですね」


どうやら私は、とんでもない条件を受けてしまったらしい。


それでも希望はまだある。


「城で働くなら何とかなるんじゃない?

国王は国札たくさん持ってそうだし」


「王家の方々はそうだと思いますが、

そこで働くメイドや料理人の給料は多くて銀三十メタルだと思います」


「えっ」


最後の希望が消えた。


残ったのは絶望。


「では、取引はやめますか?」


「何とかならない可能性はあるけど……

この家はお金が必要だし、仕事やるよ!」


「それでは知り合いに伝えておきますので、明後日の昼の間(十四時)に城の裏門で待ち合わせで大丈夫ですか?」


「わかった。助かる」


少し考えてから、私は続けた。


「それとアンナ。申し訳ないけど、用意してもらいたいものがあるの」


「なんでしょう?」


「貴族が着ない服とか物とか買っておいてほしいの。

お金は先払いしたいところだけど……なくて」


「大丈夫ですよ。貴族が着ない服なら私でも買える値段なので。

それよりプレゼントとして差し上げます。

お料理、忘れないでくださいね」


「ありがとう、助かるぅ」


本当は料理の約束を忘れていたのは秘密にしておく。


「それとアンナ。メイクとか礼儀作法とか、明日みっちり教えてほしいの」


「そうですね。分かりました。

では特別手当として……前に食べた料理で受けます」


「そうね。働かざる者食うべからず。

働いた分だけ作るわよ!」


こうして私は、先のことをあまり考えず前進あるのみ。


次の日は、アンナの猛特訓と料理でドタバタの一日を送った。


そして――


ついに、その日がやってきた。


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