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処刑寸前の悪役令嬢ですが、中身が不思議ちゃんオタクなので推しを幸せにすることにしました  作者: 花の香り
アニメの最終回

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20/36

私の就職先は王城!?

「ご紹介できるお仕事がございません」


 アンナのその一言で、私は完全に固まった。


(……仕事が、ない?)


 次から次へと問題が降ってくる。


「仕事がないって、どういうこと?」


 アンナは冷静に説明する。


「お嬢様は公爵家のご令嬢です。魔力を必要としない仕事は、主に町――平民の区域にございます。そこで働けば、公爵家に良くない噂が立ちます」


「……理解した」


 身分による格差。異世界あるある。


 この世界も、例外じゃない。


 少しだけ胸が重くなる。


「じゃあ、貴族街で働く人は魔力が必要なの?」


「いいえ」


「は?」


 思わず声が漏れた。


「さっきから話が合ってない気がするんだけど」


「魔力ではなく――才能です」


 アンナが少しだけ誇らしげに胸を張る。


「私は家事の才を持っています。魔力や才能は、仕事において有利になります」


「才能、ねぇ……」


 私は視線を落とす。


 フェリシアの魔力は、私には使えない。

 なら才能だって――受け継いでいるとは限らない。


 そのとき、アンナがぱっと顔を明るくした。


「そうだ! サユ様はお料理ができますよね?」


「まさか、それを才能って言うんじゃないでしょうね?」


「才能です!」


 即答だった。


「違う」


 私は逆に自信なさげに返す。


「才能って、生まれ持って他より優れていることじゃないの? 私は何でも作れるわけじゃない」


「ですが、とても美味しかったです」


「……うん」


 少し照れる。


「料理ができることは立派な才能です。ご自身で思っているより、価値のあることですよ」


 胸が、じんわり温かくなる。


「今まで、誰かにちゃんと食べてもらうことがあまりなくて……他人から見てどうなのか、分からなかったの」


「そうでしたか」


 アンナは柔らかく微笑んだ。


「料理がお好きでしたら、ご紹介できるお仕事は……ございます」


「え!?」


 一気にテンションが跳ね上がる。


「問題はありますが」


「言って!」


「一番大事なことですので、心してお聞きください」


 ゴクリ、と唾を飲む。


「サユ様は……死刑宣告を受けた身です」


「知ってる」


 思わず即答。


「死刑者は、正式な職に就くことができません」


「それ、最重要事項じゃん!」


「ですから最初に申し上げました」


 確かに。


「なら、変装すればいいのよね?」


「また罪を重ねるおつもりですか!?」


「違うわよ!」


 私は慌てて否定する。


「元々、私は罪なんて犯してないんだから」


「……そうですね」


 アンナは小さく頷く。


「では、何かお考えが?」


「あるわ。簡単よ。変装して働けばいい」


「どこが簡単なのですか……」


 疑いの目。


「でも他に方法がないでしょ? 料理人になれれば、美味しいものも増えるし」


「……!」


 アンナの目が輝く。


「喜ぶの早いわよ。で、候補は?」


「二つございます。

一つは、貴族街のレストラン。

もう一つは、街の中心にある屋敷です」


「レストランは?」


「接客、会計も含みます」


「二番!」


「まだ説明しておりません!」


「接客と会計は無理!」


 前世のバイトで金額ミスを出した記憶が蘇る。

 この世界の通貨で間違えたら、笑い話で済まない。


「……私も、二番の方が適しているかと」


「二番って何?」


「簡単に言えば、屋敷付きの料理人です」


「有名なの?」


「有名というより……サユ様もよくご存知の方のお屋敷です」


「……はい?」


 嫌な予感がする。


「そこにお住まいですよ?」


 頭の中に浮かぶ、青い髪。


 私はぶんぶん首を振る。


「まさか……ベネディクト様?」


「はい」


「城!?」


「はい」


「王太子の!?」


「その通りでございます!」


 アンナが誇らしげに頷く。


 私は遠い目をした。


(どうやら私は、最も目立つ場所に潜入するらしい)


 ――よりによって、王太子の城。


 私の人生、難易度高すぎない?


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