表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
処刑寸前の悪役令嬢ですが、中身が不思議ちゃんオタクなので推しを幸せにすることにしました  作者: 花の香り
アニメの最終回

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/36

サユという存在

ファンタジーすぎて、思考が追いつかない。


私は深く息を吐いた。


「昨日の件……やっぱり、ちゃんと伝わってなかったのね」


アンナは姿勢を正し、静かに頷いた。


「はい。申し訳ございません、お嬢様。

記憶喪失、あるいは別人格……そのどちらかだと解釈しようとしておりました。ですが、食べたことも見たこともない料理をなさっていたので……整理がつかず……」


「じゃあ今は?」


「“別の魂がいらっしゃる”という理解で……正しかったのでしょうか」


「うん。そうだよ」


少しだけ微笑む。


「間違って伝えてしまって、ごめんね」


アンナは静かに私を見つめる。


「お嬢様は……この街の方ではないのですか?」


「まあ、そうね。でも私のいた場所でもフェリシアのことは聞いてた」


アンナの声が、わずかに低くなる。


「……お嬢様は“悪の令嬢”でしたから。他の地域に名が知れていても、不思議ではございません」


その声には、どこか悲しさがあった。



私はゆっくり首を振る。


「でもね、フェリシアは無くなってないと思うの」


アンナが顔を上げる。


「魂というか……本当のフェリシアは、どこかにいる。

昨日、アンナ言ったでしょ? “いつか戻るかもしれません”って」


「……はい」


「私も、そう思う」


静かに言い切る。



「お嬢様は……戻りたいのですか?」


その問いに、私は即答した。


「当たり前でしょ?」


思わず身を乗り出し、アンナの手を握る。


「大切な人を置いて死ぬほど、フェリシアは悪じゃない」


推しだから分かる。


あの子は、かっこよくて、優しくて、最高の令嬢だ。


「お嬢様……」


「あっ、ごめん!」


慌てて手を離す。


顔が熱い。



「改めて、自己紹介するね」


少し照れながら言う。


「私の名前は、幸優。サユって呼んで」


「……サ、ユ、様?」


慣れない響きに、どこか可愛らしい発音。


胸の奥が、少し温かくなる。


「二人きりの時だけでいいよ。その方が、私としては嬉しいし」


フェリシアの名前は大切。


でも――


誰か一人でも、私を“私”として呼んでくれるなら。


それだけで救われる。



アンナはまだ少し戸惑いながらも、小さく頷いた。


「サユ様……先ほどのお仕事の件ですが」


「あ、そうだった」


完全に忘れてた。


「働ける場所、知ってる?」


アンナの顔色が変わる。


「お嬢様が……働く、のですか?」


「だって働かないとお金は増えないでしょ? ここ、余裕あるわけじゃないし」


「それは旦那様と奥様が……」


「働かざる者食うべからず」


「……なんですか、それは」


「簡単に言うと、働かないとご飯は食べられないって意味」


アンナは真剣に聞いている。


「私のいた場所では普通の考え方。

両親も働いてた。でも裕福じゃなかった。だから私も働いてた」


「……凄いですね」


「自分で稼いだお金で買う方が、気が楽なのよ」


それに――


この家は、いずれ崩れる。


原作の未来を、私は知っている。



「無理だと思います」


アンナがはっきり言った。


「旦那様も奥様も、決して許可なさらないでしょう」


「そうよね」


でも。


ここで止まるわけにはいかない。


私はにやりと笑った。


「アンナ、私と取引しましょう」


「は、はいぃ!?

今度は取引ですか!? サユ様、私の心臓が持ちません!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ