第168話:10年前の叫び、室蘭にて
■Scene1:千歳駅、名物駅弁とともに出発
翌朝。
凛奈は千歳駅の売店で目を輝かせた。
「これが……“千歳名物・ホッキ貝めし”! それに、“石狩鮭寿司”……うーん、迷う……」
結局どちらも購入。列車に乗り込み、室蘭へ向かう。
沿線の風景はゆっくりと変わり、やがて海の気配が車窓を染め始めた。
■Scene2:トッカリショ展望台と、静寂の絶景
昼過ぎ、室蘭駅に到着。
凛奈はまずトッカリショ展望台と地球岬展望台へ。
切り立った断崖と、遥かに広がる太平洋。
観光客:「この風、たまらないですね! 名物は“焼き鳥弁当”ですよ!」
凛奈も、売店で“室蘭やきとり弁当(豚肉使用)”と“焼きそば入りホットドッグ”を購入。
だがその最中、携帯が震えた。
■Scene3:千歳警察署からの連絡
千歳警察署・捜査一課からの連絡。
「凛奈さん……10年前の事件、覚えてますか?
未解決のままだった“室蘭市内の中学校教師刺傷事件”――
事件当時、犯人は捕まっていません。ですが、
昨日、市内の空き家から“発酵の強いキムチ壺”と血痕が発見されました」
凛奈:「……なぜ、今になって?」
■Scene4:現場へ、香りが引き寄せた“声”
凛奈は案内された空き家の裏手に、残された壺を確認。
(この匂い……10年前に嗅いだ“室蘭イカキムチ”に似てる。
でも、酵母のバランスが異常……“怒り”や“恐怖”の中で作られた香り)
その壺の側には、1枚の紙が挟まれていた。
《……私は何もしてないのに、先生は私を責めた。
でも、香りだけは、私の“気持ち”を分かってくれた》
凛奈はゆっくり頷いた。
「これは“復讐”じゃない。“伝えたかっただけ”なんだ……」
■Scene5:香りで伝えた、罪と悔い
容疑者とされたのは、当時の生徒――
現在は市外で介護士として働く女性… 時茂美48歳。
彼女は警察の聴取で語った。
「先生に……どうしても言えなかったんです。
私は、いじめられてて……それを“嘘だ”って言われて。
誰にも信じてもらえなかった
でも、キムチだけは、私の家族が作ってくれてて……
“これがあるなら、大丈夫”って。
その壺を、事件の後も抱えてました。先生にぶつけたかった。でも……できなかった」
警察は重く静かな判断を下した。
未遂であり、時効を過ぎた“悔い”として処理されることに。
■Scene6:展望台の夕陽と、凛奈の決意
夕暮れ。凛奈は地球岬の先端で、海に向かって立つ。
『怒りと悲しみが混ざった“香り”は、とても鋭く、でも優しい。
それは、“誰にも気づかれなかった叫び”の証だから』
凛奈:「……香りがあったから、彼女は壊れなかった。
きっと、私も――誰かの壺のような存在で、ありたいな」
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