第165話:サロマ湖の静かな夜に
■Scene1:知床の風を感じて、また今度
朝、凛奈は羅臼町の宿を出発。
しかし――
凛奈(心の声):「知床岳には……また必ず。今は、向かうべき場所がある」
手帳にそっと記す──「知床岳・次回訪問」
そのままバスで移動し、オシンコシンの滝へ。
美しい轟音と白い飛沫に、心が一瞬、洗われた。
売店で「知床ラスク」と「ほたて最中」を購入。
■Scene2:網走へ、そして静かな夜
夕方、凛奈は網走市内に到着。
名所・**能取岬**の夕陽に見とれながら、「事件のない夜」を願った。
今夜の宿は、網走湖畔にある実在ホテル。
スタッフ:「今の時期、サロマ湖産の牡蠣キムチがオススメです」
凛奈:「……ありがとう。明日は観光したいな」
しかし、その願いは、夜の闇に呑まれていく。
■Scene3:翌朝、サロマ湖・水死体の発見
朝6時。
サロマ湖の展望台近くで、地元の釣り人が叫んだ。
「おい! あそこに、人が……浮いてるぞ!」
遺体は、20代後半の男性。身元確認の結果、
地元・北見市の無職の兄弟のうちの1人と判明。
しかし、悲劇はそれだけでは終わらなかった。
凛奈は警察署で情報を得る。
「実は……1週間前にも、同じ一帯で兄弟の“弟”の遺体が……」
■Scene4:両親の沈黙、キムチが告げた苦悩
遺体の兄弟は、いずれも職についておらず、家庭内で長らく引きこもり状態だったという。
両親は警察に対して、最初は「事故」と主張していた。
だが――
凛奈は、現場に残されていた牡蠣キムチの壺の香りから、異変に気づく。
(これは……“急性の苦味”と“鎮静効果”が過剰に作用したキムチ。そして、手のひらには牡蠣アレルギー反応。本人が自ら口にしたとは考えにくい)
凛奈:「これは……“食べさせられた”。
両親は、“安らかに”させたかったのかもしれない。けれど……」
■Scene5:静かな告白、そして涙の夜
取り調べ室。
両親は肩を震わせながら、こう語った。
母親:「息子たちは……いつも部屋にこもって、目を合わせてくれなかった。
でも、“このキムチだけは好きだ”って言ってくれて……
最後くらい、美味しいもので、眠らせてやりたかった……」
父親:「間違ってたのは、わかってる。
でも、私たちも、限界だった……」
警察は、慎重に扱うことを決めた。
世間に出ることはない、静かな事件として。
■Scene6:凛奈の手帳と、静かな温もり
その夜、凛奈はホテルの部屋で網走名物・鮭とばを口にしながら、ノートに記す。
『“家族を愛していた”という想いは、
どこかで誰かを傷つけてしまうことがある。
でもその根底には、やっぱり“優しさ”があったのだと、私は信じたい』
そして、手帳を閉じる。
凛奈:「……次は、旭川」
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