第164話:十勝川、追い風の中で
■Scene1:帯広市、十勝川のほとりにて
翌朝。
十勝の空は広く、風が心地よく流れていた。
凛奈は十勝川温泉の河川敷を歩いていた。
観光案内人:「ここ、春は菜の花、秋は紅葉でにぎわうんですよ。
今は“十勝川温泉饅頭”と“十勝ワイン”が人気ですね」
凛奈:「……ほんの少しの時間でも、何も起きないでいてくれれば……」
その祈りは、打ち消されるように破られた。
■Scene2:河川敷の事件、追い詰められる警察
午後2時。
河川敷近くの観光エリアで5人組の窃盗事件が発生。
被害者は地元の中年女性2人。
財布・スマホ・貴重品すべてを奪われ、追跡した30代男性と40代男性も逃走される事態に。
現場では帯広警察の警察官たちが頭を抱えていた。
「凛奈さん……もう、犯人は逃げ切ったかもしれません……」
凛奈は静かに首を振る。
「……まだ、終わっていません。何かが“残ってる”気がするんです」
■Scene3:キムチと“眠っていた警察官”
現場の一角――
屋台の裏で、1人の30代の女性警察官が目を閉じていた。
「……あの、あなた、どうしたんですか?」
警察官:「えっ……!? わ、私は……!」
凛奈は優しく微笑みながら、ポケットから十勝味噌と山わさびのキムチを取り出す。
「もしかして、さっき食べましたか? このキムチ」
警察官:「あっ……屋台の試食で……。でも、なんで……?」
凛奈は鼻を近づけ、香りを確かめた。
(この香り、覚醒作用と鎮静効果が同時に強い……“過剰反応”を引き起こす)
■Scene4:目撃情報と、“母と娘の真実”
その警察官は、ふと呟いた。
「……あ。そういえば、あの時、1人だけ逆方向に走ってた女の子がいたかも」
凛奈はその情報を元に、近くの公園で1人遊ぶ少女を発見。
少女:「ママが、“走れ”って言ったから、わたし、走っただけ」
その“ママ”――事件を見ていた女性が現れ、凛奈に頭を下げた。
母親:「……実は、私の弟がそのグループの1人なんです。
逃げる時に娘が見つかると困るって……それで、巻き込まれて……」
凛奈:「協力してくれますか? 真実を明かしてもらえれば、守れる人もいます」
母親は頷いた。
■Scene5:キムチが導いた真実と、秘密の約束
その夜。
凛奈は帯広警察署で証言と記録を元に、5人の身元と足取りを突き止めた。
同時に、**女性警察官の“眠りの原因”**もキムチの成分として報告。
それは、完全に自然由来であり、偶発的な反応と判断された。
女性警察官:「……助けてくださって、本当にありがとうございました。
でも、あのとき私が眠っていたこと……署には内緒にしてください」
凛奈:「わかっています。
私は、恥を暴く探偵じゃない。人を守るためにいるんですから」
■Scene6:夜の十勝川と、次なる予感
夜。
凛奈は十勝産小豆のぜんざいを食べながら、十勝川の月を見上げた。
『人は皆、誰かを守るために弱くなる。
でもその“弱さ”こそが、優しさであり、力でもある』
風に乗って、遠くからキムチの香りが届いたような気がした。
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