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第162話:湖の声、温泉の記憶


■Scene1:サイロ展望台、束の間の静けさ


翌朝。

凛奈は洞爺湖を一望できるサイロ展望台を訪れていた。

名物の「じゃがバター」を頬張りながら、湖面に映る羊蹄山の姿に心を落ち着かせる。


(……事件がない朝は、やっぱり美味しいものが沁みる)


展望台には、地元産の野菜を使った焼きとうもろこしや、名産のミルクジェラートの屋台も並んでいた。


しかし、その静けさは長くは続かなかった――



■Scene2:洞爺湖にて、水死体の発見


午後、洞爺湖の湖畔で散歩をしていた観光客が叫び声を上げた。


「……誰か! 湖に……人が浮かんでる!」


現場に駆けつけた凛奈と室蘭警察の刑事・**石田典明(45)**が確認したのは、

30代後半の男性遺体。身元は札幌在住の会社員だった。


だが、荷物や財布が湖畔に残されており、「飛び込み自殺」とするには不自然だった。



■Scene3:虎杖浜温泉「ぬくもりの湯」へ


凛奈は今夜の宿泊先である**虎杖浜温泉の名湯「ぬくもりの湯」**へ向かう。


ロビーには洞爺湖の観光マップと、地元名産の発酵ホタテキムチの試食コーナーが。


スタッフ:「このキムチ、洞爺湖の“低温水”で発酵させてるんです。

まろやかな甘みが特徴で、記憶に残る味なんですよ」


その夜、凛奈が温泉から戻ると、ロビーのソファーで泣いている女性を見つけた。


女性:「あの人……兄なんです。

でも、自殺なんてする人じゃない。最近、“何かを思い出そうとしてた”みたいで……」



■Scene4:キムチと記憶、香りから紐解く真実


凛奈は亡くなった男性の遺留品――カバンの中にあった食料パックを調べる。

そこには、彼が昼に購入していた発酵ホタテキムチが残されていた。


香りを確かめると、ほんの微かに――

過去の“記憶の断片”に引き戻す特殊な酵母菌の存在を感じた。


凛奈:「これは、記憶を“刺激しすぎた”んです。

彼の中にあった“封じていた過去”が一気に蘇った……そのショックが、彼を湖に導いた」


妹:「兄が、幼い頃に溺れたことがあったんです。

もしかして……そのときのことを……?」


凛奈は頷いた。


「でも彼は、思い出してしまっただけ。

それを“整理”する時間がなかっただけ。

責任は、キムチにも、あなたにもない」



■Scene5:室蘭警察署へ報告と感謝


翌朝、凛奈は室蘭警察署に出向き、証拠品と推理を提出。

石田刑事は静かに頷いた。


石田:「“香りで真実を辿る”なんて、前代未聞です。

でも、説得力があった。ありがとう、朴さん」


凛奈は帰り際、名物の室蘭やきとり(豚肉使用)と地元のガラナ飲料を買い、静かに笑った。



■Scene6:再び道は続く


車窓の外に洞爺湖が遠ざかる。

凛奈は、記憶に残った味と風景を胸に刻む。


(“記憶”って、時に優しく、時に残酷。

でも、その“真ん中”に寄り添うのが、私の役目)


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