第161話:剣の記憶、星の街で
北海道編スタートします。
色々な市や町を周る凛奈の活躍を…
■Scene1:前夜・釜山、一本の電話
夜の事務所、凛奈が手帳を閉じようとした時――
スマホが震えた。表示は「北海道警察」。
「……もしもし、朴です」
「突然のご連絡、失礼します。
現在、函館市にて開催中の全国高校生剣道大会で、
ある異変が発生しまして……“五稜郭”と“箱館戦争”に関連した内容です」
「ぜひ、貴女にだけ見ていただきたい“証拠”があるのです」
凛奈の目が鋭くなった。
「了解しました。明朝、函館に向かいます」
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■Scene2:函館空港、冷たい風とあたたかな歓迎
翌朝。
飛行機で函館空港に降り立つと、空は澄みわたっていた。
出迎えたのは北海道警の女性刑事・宮崎遥(36)。
「朴さん。テレビで観てます。まさか本当に来てくれるなんて」
凛奈:「事件が、私を呼んだだけです。どうぞ案内を」
車内で遥は説明する。
「実は昨日の大会で、“ある生徒”が突然“演武中に過呼吸で倒れた”んです。
その時、彼は“土方歳三が剣道場に立っていた”と叫びました」
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■Scene3:高校剣道会場での違和感
大会会場――函館市体育館。
倒れた生徒・**北見陽斗(17)**は、既に退院していた。
だが、凛奈にこう語った。
「……夢じゃなかったんです。
あの時、後ろから誰かが僕の肩に手を添えて、こう言ったんです――
“戦う意味を、見失うな”って」
凛奈は彼の竹刀と防具に鼻を近づけた。
(この香り……微かに、梅干しキムチの残り香……?)
彼の昼食が入った袋を調べると、空になったキムチパックが。
遥:「それ、名産品ですよ。“函館・南茅部の梅干しとイカを合わせた変わりキムチ”。
でも眠気や幻覚の報告なんて一切……」
凛奈:「その“変化”が、今回の鍵かもしれません」
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■Scene4:五稜郭・剣と記憶の交差点
午後、凛奈たちは五稜郭へ。
剣道大会の副賞で訪れたという生徒たちが、静かに土方歳三像を見つめていた。
その中に、陽斗の姿も。
凛奈:「ねえ。あの言葉、“戦う意味を見失うな”。
それはきっと、“勝つため”じゃなく、“守るため”じゃなかった?」
陽斗は目を見開いた。
「……たしかに。僕、“勝ち負け”ばかり考えてた。
でも土方さんの背中を見た時、“誰かの背中を守りたい”って思った」
凛奈はキムチの壺をそっと開いた。
「この香りは、人の“記憶”に触れる。
歴史も、想いも、混ざっていたのよ」
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■Scene5:事件の終わり、星形の空へ
事件は、キムチの組成を解析した結果、天然の発酵酵母による記憶感覚の刺激と判明。
副作用の範囲内と判断され、無事収束した。
凛奈は日没前の五稜郭公園を歩き、星形の堀を眺めながら、胸の中で小さく呟く。
「土方歳三が残した“剣の誇り”は、
いまも誰かの心に剣として灯る。
キムチがそれを引き出したのなら……私は誇れる」
ポケットに、今日食べた函館塩ラーメン味キムチの空き袋をしまう。
風が、剣道の「面!」の声と重なって聴こえた――




