第十三話 世界より先に、一人を選ぶ
披露宴開始
場所:披露宴会場
扉が開く。
拍手。
林明浩と白石ひより、入場。
派手な演出はない。
だが空気は、確かに祝福している。
二人、席に着く。
司会
「それでは
友人代表スピーチを
お願いいたします」
継、深呼吸。
胃薬、飲まない。
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スピーチ
継、マイクの前へ
継
「ご紹介にあずかりました
仲村継と申します」
軽く会釈。
継
「新郎の林明浩とは
仕事を通じて
長い付き合いになります」
一瞬、林を見る。
継
「彼は
判断が早く合理的で
正直扱いにくい男です」
会場、くすっと笑う。
林、苦笑。
継
「ですが
その彼が一つだけ
時間をかけた判断があります」
間。
継
「——今日です」
静まる会場。
継
「林明浩は、
世界を理解するより先に、
一人の人生を引き受けることを
選びました」
継、ひよりを見る。
継
「それは
勇気のいる決断です」
継
「新婦のひよりさん。
彼は完璧な人ではありません」
林、うなずく。
継
「ですが逃げません」
継
「困った時は黙りますが、
いなくはなりません」
会場、静かに笑う。
継
「どうか、
二人でゆっくり生活を
縫っていってください」
継
「本日は誠に
おめでとうございます」
一礼。
拍手。
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スピーチ後
席に戻る継
健太
「……削りましたね」
彩乃
「珍しく短い」
継
「一瞬で
完成するものは
少ない方がいい」
継、やっと胃薬を飲む。
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新郎新婦
林、小さくひよりに言う。
林
「……助かりました」
ひより
「縫い目きれいでした」
林、少し笑う。
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章の締め
披露宴は続く。
料理、笑顔、会話。
継(独白)
仕事はここまで。
あとは二人の生活だ。
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(つづく)
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