表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Bingata Legacy 〜沖縄戦×米軍基地配置×禁忌の紅型〜  作者: ちま
外伝・林明浩編 ― スルメイカ社長の婚活 ―
53/137

第七話 世界で一番、静かな決断

事件は、LINEから始まった。


深夜。仲村工房、作業終わり。


継のスマホが震える。



【林 → 継】


《相談がある》


継(即、嫌な予感)


《高層ビル最上階の

 絶景レストランで

 プロポーズしようと思う》


継、既読と同時に立ち上がる。


《やめろ》


《なぜ》


《理由が多すぎる》


《ロマンチックだと思うが》


《お前のロマンはだいたい

 “逃げ場がない”》


《成功率は高い》


《圧迫面接か》


継、畳みかける。


《いいか》

《白石さんは》


《景色に

 気持ちを預けるタイプじゃない》


《……》


《静かで》

《生活の延長線にある場所》


《そこで》

《自分の言葉で言え》


長い既読沈黙。


《分かった》


継(小声)

「よし……」 



プロポーズ当日。

場所は、夕方の河川敷。


人は少ない。

風が、穏やかに流れている。


白石ひよりが、隣を歩く。


ひより

「今日は少し静かですね」


林 明浩が、立ち止まる。


「話がある」


ひよりも、足を止める。


「君と出会ってから

 僕はずっと“評価しない練習”をしている」


ひより、少し驚く。


「君を条件で見ない」


「結論を急がない」


「勝ち負けで決めない」


一呼吸。


「正直に言う」


「僕は一人では整わない」


沈黙。

聞こえるのは、風の音だけ。


「だから」


「一緒に生活を引き受けてほしい」


指輪は出さない。

ひざもつかない。


ただ、真正面に立つ。


ひよりは、少し考えてから微笑んだ。


ひより

「条件を聞かれなかった

 プロポーズは初めてです」


「聞く資格がないと思った」


ひより

「……」


「それなら一つだけ」


林、緊張する。


ひより

「壊れそうな時は

 黙らないでください」


「言葉が遅れてもいいので」


「約束する」


(即答)


ひより、頷く。


ひより

「では」


「よろしくお願いします」


──その瞬間、

 二人の生活は、同じ方向を向いた。


挿絵(By みてみん)



継のもとに、LINEが届く。


【林 → 継】


《高層階ではなかった》


《知ってる》


《派手でもなかった》


《知ってる》


《だが》


《彼女は逃げなかった》


継、画面を見て小さく笑う。


継(独白)

世界を動かす男が

ようやく一人の人生に着地した。



(つづく)

ここまで読んでいただきありがとうございます。

この先の展開も追っていただける方は、

ぜひブックマークで応援していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ