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Bingata Legacy 〜沖縄戦×米軍基地配置×禁忌の紅型〜  作者: ちま
外伝・林明浩編 ― スルメイカ社長の婚活 ―
52/139

第六話 幕間・仲村工房にて

親族顔合わせを終えた林明浩。


その“敗北宣言”は、

仲村工房でも

静かな衝撃を巻き起こす――。


今回は、継とスタッフの

胃薬タイムと笑いの一幕。

仲村工房・午後

 

作業台の端で、

継が小さな白い錠剤を掌に乗せ、

水で流し込む。


ゴク。


健太・彩乃、同時に気づく。


健太

「……それ、胃薬?」


彩乃

「継さん?

 顔色、昨日より悪くないです?」


継、無言で頷く。


「林家」


健太&彩乃

「「あぁ……」」

(全てを察した声)


彩乃

「顔合わせ?」


「付き添い」


健太

「……生きてる?」


「肉体は」


一拍。


彩乃

「で?」


継、遠い目。


「林、親族の前で一言も逆らえなかった」


健太

「は?」


「“今日は私が話します”で、完全沈黙」


彩乃

「うわぁ……」


継、追い打ち。


「祖母に“いい子だね”って言われた瞬間、

 終わった」


一瞬の静寂。


次の瞬間、健太が爆笑。


彩乃

「無理無理無理!!

 あの林社長が!!?」


健太

「国際会議で各国代表黙らせる男が!?」


「家では座布団係」


健太、作業台を叩く。


健太

「最高じゃないか!!」


彩乃

「もうダメ、

 婚礼衣装作る手が震える(笑)」


継、ため息。


「しかもな」


二人、身を乗り出す。


「帰り際、俺に小声で——」


継(林の真似)

「『僕はもう勝てない』」


爆発!


健太の爆笑が止まらない。


彩乃

「敗北宣言!!

 自主提出!!」


健太

「継、それもう胃薬じゃ足りないわ」


彩乃

「栄養ドリンクつけます?」


「いや、これは祝杯前の副作用だ」


その時だった。


カウンター席の奥から、

低い声が聞こえた。


「それは戦略的撤退ですね」


挿絵(By みてみん)


三人が振り向く。


そこには、

軍服姿の男が座っていた。


ジョン・スティーブンス。


在沖米空軍のエースパイロットであり、

この工房の常連客である。


ジョン

「指揮官が戦闘不能になった場合、

 部隊は後方に下がる」


健太

「増えた」


「聞いてたのか」


ジョンは真顔だった。


ジョン

「家庭とは小規模な作戦単位です」


彩乃

「どこからその話になったんですか」


ジョン

「空母打撃群と似ています」


健太

「似てない」


ジョン

「司令塔は空母」


「家庭だ」


ジョン

「航空戦力の運用が」


「夫婦だ」


彩乃

「継さん、

 ツッコミ忙しそうですね」


健太

「完全に二正面作戦」


継は額を押さえた。


「胃薬追加するか……」


健太、ニヤニヤ。


健太

「で、衣装の依頼

 いつ来るんです?」


「……もう来てる」


彩乃(爆笑)

「早い!!」


継、胃を押さえながら言った。


「林はな、

 世界には勝てたけど――」


一拍。


「適任者には勝てなかった」


ジョンが静かに頷いた。


ジョン

「戦闘機も最後はパイロットです」


「たぶん違う」


工房には、

しばらく笑い声が響いていた。



(つづく)

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