第十五話 基地商売はじめました
戦争は、人と人を引き離した。
けれど商売は、
少しずつ人を結び直していく。
紅型がつなぐ、新しいご近所付き合い。
今回は、基地商売コント回です!
1948年。初夏。
朝。
仲村工房。
工房には新しい作品が並んでいた。
紅型。
やちむん。
琉球雑貨。
文は深呼吸する。
「……行きましょう」
玉蘭は満足そうに頷いた。
「市場調査開始よ」
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米軍基地入口。
バックナーとジョンが待っていた。
バックナー
「今日は特別許可を取ってある」
文
「ありがとうございます」
ジョンはすでに興奮していた。
ジョン
「今日は新作がありますか?」
文
「売る前に見ます?」
ジョン
「もちろんです!」
玉蘭
「まだ開店前よ」
ジョン
「あっ……」
バックナー
「平常運転だな」
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開店。
紅型。
米兵が次々集まる。
「Beautiful!」
(美しい!)
「How much?」
(いくら?)
文は英語で接客する。
「Thank you!」
(ありがとう!)
「Fifty B-yen, please」
(50B円です)
ジョンは通訳しながら嬉しそう。
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やちむん。
米兵
「Coffee cup?」
(コーヒーカップか?)
C
「茶碗だ」
ジョン
「同じようなものです」
C
「違う」
米兵
「Two!」
(2つくれ!)
C
「売れた!」
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雑貨。
米兵
「This is?」
(これは何だ?)
D
「シーサー」
米兵
「Sea…sir?」
ジョン
「Guardian lion.」
(魔除けのライオンです)
米兵
「Cool!」
D
「ジョンさん最高!」
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再び紅型。
女性軍属が布を見つめる。
女性
「Beautiful…」
文
「ありがとうございます」
女性
「Dress?」
文
「テーブルクロスにもなります」
ジョン
「壁に飾っても素敵です!」
文
「ジョンさん」
「売る前に全部説明しない」
ジョン
「あっ」
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ジョン(文化財オタク)
「実はこの模様は!」
「琉球王国時代から!」
「こちらの染料は!」
「この青は!」
30分経過。
米兵
「Interesting…」
文
「ジョンさん」
「営業妨害です」
ジョン
「すみません!」
バックナー
「説明書を書いておけ」
ジョン
「その手がありました!」
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売上集計。
玉蘭(経済オタク)
「なるほど」
「購買単価は想定以上」
紙へ次々数字を書く。
「利益率は──」
「回転率は──」
「基地人口を掛けると──」
文は思わず玉蘭の手元をのぞき込む。
びっしりと並ぶ数字。
文
「玉蘭?」
玉蘭
「あと三店舗増やせるわ」
C(ぽかんと口を開ける)
「もう?」
玉蘭
「市場は待ってくれないもの」
バックナー
「……商人は怖いな」
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バックナーが
紅型ハンカチを手に取る。
バックナー
「俺も買う」
文
「ありがとうございます」
ジョン
「将軍」
「身内買いは禁止です」
バックナー
「応援だ」
玉蘭
「健全な需要です」
ジョン
「許可します」
文
「何その会議」
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休憩時間。
ジョンが保冷箱を持ってくる。
ジョン
「今日はご褒美があります」
彩花
「なに?」
ジョンが箱を開ける。
冷たいアイス。
一口。
美咲
「あまーい!」
彩花
「つめたい!」
文
「これがアイス?」
ジョン
「ブルーシール」
「基地限定品です」
バックナーの一口。
キーン。
バックナー
「……冷たい」
彩花
「おとう!」
「頭いたい?」
文
「勢いよく食べるからです」
村人たち、大爆笑。
彩花
「おとう!」
「もう一個!」
バックナー
「駄目だ」
彩花
「けちー!」
村人たち、ほっこり。
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夕方。
工房。
売上を数える文。
今日は予想以上だった。
帳簿へ書き込む。
黒字。
少しだけ微笑む。
「……やっと」
「前へ進める」
庭では。
彩花と美咲が
アイスを食べながら笑っている。
バックナーは工房を見つめ、小さく呟く。
「紅型が、人を繋いでいる」
ジョンも頷く。
「尚造さんなら、きっと喜びます」
夕日に照らされた工房には、
織機の音と笑い声が響いていた。
⸻
(つづく)




