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Bingata Legacy 〜沖縄戦×米軍基地配置×禁忌の紅型〜  作者: ちま
第五部 バックナー編 ― 平和へ結ぶ縁 ―
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299/352

第十五話 基地商売はじめました

戦争は、人と人を引き離した。


けれど商売は、

少しずつ人を結び直していく。

紅型がつなぐ、新しいご近所付き合い。


今回は、基地商売コント回です!

1948年。初夏。


朝。


仲村工房。


工房には新しい作品が並んでいた。


紅型。

やちむん。

琉球雑貨。


文は深呼吸する。


「……行きましょう」


玉蘭は満足そうに頷いた。


「市場調査開始よ」


挿絵(By みてみん)


⸻


米軍基地入口。


バックナーとジョンが待っていた。


バックナー

「今日は特別許可を取ってある」


文

「ありがとうございます」


ジョンはすでに興奮していた。


ジョン

「今日は新作がありますか?」


文

「売る前に見ます?」


ジョン

「もちろんです!」


玉蘭

「まだ開店前よ」


ジョン

「あっ……」


バックナー

「平常運転だな」


⸻


開店。


紅型。


米兵が次々集まる。


「Beautiful!」

(美しい!)


「How much?」

(いくら?)


文は英語で接客する。


「Thank you!」

(ありがとう!)


「Fifty B-yen, please」

(50B円です)


ジョンは通訳しながら嬉しそう。


⸻


やちむん。


米兵

「Coffee cup?」

(コーヒーカップか?)


C

「茶碗だ」


ジョン

「同じようなものです」


C

「違う」


米兵

「Two!」

(2つくれ!)


C

「売れた!」


⸻


雑貨。


米兵

「This is?」

(これは何だ?)


D

「シーサー」


米兵

「Sea…sir?」


ジョン

「Guardian lion.」

(魔除けのライオンです)


米兵

「Cool!」


D

「ジョンさん最高!」


⸻


再び紅型。


女性軍属が布を見つめる。


女性

「Beautiful…」


文

「ありがとうございます」


女性

「Dress?」


文

「テーブルクロスにもなります」


ジョン

「壁に飾っても素敵です!」


文

「ジョンさん」


「売る前に全部説明しない」


ジョン

「あっ」


⸻


ジョン(文化財オタク)

「実はこの模様は!」


「琉球王国時代から!」


「こちらの染料は!」


「この青は!」


30分経過。


米兵

「Interesting…」


文

「ジョンさん」


「営業妨害です」


挿絵(By みてみん)


ジョン

「すみません!」


バックナー

「説明書を書いておけ」


ジョン

「その手がありました!」


⸻


売上集計。


玉蘭(経済オタク)

「なるほど」


「購買単価は想定以上」


紙へ次々数字を書く。


「利益率は──」


「回転率は──」


「基地人口を掛けると──」


文は思わず玉蘭の手元をのぞき込む。


びっしりと並ぶ数字。


文

「玉蘭?」


玉蘭

「あと三店舗増やせるわ」


挿絵(By みてみん)


C(ぽかんと口を開ける)

「もう?」


玉蘭

「市場は待ってくれないもの」


バックナー

「……商人は怖いな」


⸻


バックナーが

紅型ハンカチを手に取る。


バックナー

「俺も買う」


文

「ありがとうございます」


ジョン

「将軍」


「身内買いは禁止です」


バックナー

「応援だ」


玉蘭

「健全な需要です」


ジョン

「許可します」


文

「何その会議」


⸻


休憩時間。


ジョンが保冷箱を持ってくる。


ジョン

「今日はご褒美があります」


彩花

「なに?」


ジョンが箱を開ける。


冷たいアイス。

一口。


美咲

「あまーい!」


彩花

「つめたい!」


文

「これがアイス?」


ジョン

「ブルーシール」


「基地限定品です」


バックナーの一口。


キーン。


挿絵(By みてみん)


バックナー

「……冷たい」


彩花

「おとう!」


「頭いたい?」


文

「勢いよく食べるからです」


村人たち、大爆笑。


彩花

「おとう!」


「もう一個!」


バックナー

「駄目だ」


彩花

「けちー!」


村人たち、ほっこり。


⸻


夕方。


工房。


売上を数える文。


今日は予想以上だった。


帳簿へ書き込む。

黒字。


少しだけ微笑む。


「……やっと」


「前へ進める」


庭では。


彩花と美咲が

アイスを食べながら笑っている。


バックナーは工房を見つめ、小さく呟く。


「紅型が、人を繋いでいる」


ジョンも頷く。


「尚造さんなら、きっと喜びます」


夕日に照らされた工房には、

織機の音と笑い声が響いていた。


挿絵(By みてみん)


⸻


(つづく)

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