第三十九話 副司令と経済王と遊園地
戦争。
国家案件。
歴史問題。
展示会問題。
色々と重たい話が続きました。
その結果――
継のHPがゼロになりました。
そんな彼を救うため(?)、
ジョンと林明浩が参戦します。
しかし。
なぜか遊園地へ行くことになり、
二人のオタクが大暴走します。
たまには肩の力を抜いて、
2045年組のわちゃわちゃをお楽しみください!
2045年7月中旬。
那覇市。
国際通り近くのカフェ。
継は、
コーヒーカップを見つめていた。
ため息。
また一つ。
向かい側では、
林明浩がチーズケーキを食べている。
林
「重症だな」
継
「何が」
林
「お前」
即答だった。
継は苦笑する。
林
「紅型布団の件だろ」
継
「噂広まるの早くないか?」
林
「SNS社会だぞ」
継
「否定できねぇ」
林は肩をすくめた。
継は窓の外を見る。
観光客。
平和な街並み。
だが頭の中は、
ずっとあの布だった。
継
「正直さ」
「誰かに決めてほしい」
林
「無理だな」
継
「即答かよ」
林
「お前が尚造の孫だから」
継は黙った。
林
「他人が決めたら」
「お前、一生後悔するだろ」
沈黙。
図星だった。
林はフォークを置く。
林
「簡単だ」
継
「何が」
林
「関係者全員」
「布団の上に立たせろ」
継
「は?」
林
「沖縄」
「広島」
「長崎」
「アメリカ」
林
「全員の顔見て決めろ」
「お前一人で背負うな」
継は少しだけ笑った。
その時。
隣の席から声がする。
ジョン
「その意見に賛成だ」
継
「いつからいた」
ジョン
「十分前」
林
「盗み聞きか」
ジョン
「聞こえた」
悪びれない。
ジョンはコーヒーを飲む。
ジョン
「少なくとも」
「俺は展示に反対しない」
継
「……」
ジョン
「真実を隠した結果が1945年だった」
静かに続ける。
ジョン
「なら2045年は逆をやるべきだ」
継は視線を落とした。
少しだけ、
肩の力が抜ける。
その空気を見て。
林が立ち上がった。
林
「よし」
継
「何が」
林
「お前、脳みそ煮えてる」
継
「否定できない」
林
「遊園地行くぞ」
継
「は?」
ジョン
「賛成だ」
継
「なんでだよ」
ジョン
「航空力学の研究になる」
継
「帰れ」
⸻
数時間後。
沖縄県内某所。
大型遊園地。
絶叫系コースター。
澪と文造も連行されていた。
文造
「なんで僕まで」
澪
「面白そうだから」
文造
「最低だ」
⸻
絶叫系コースターの車両が、
ゆっくりと頂上へ引き上げられていく。
ガコン。
ガコン。
継はすでに顔色が悪かった。
継
「……副司令」
「これ本当に安全だよな」
ジョンはシートベルトを確認する。
ジョン
「最大荷重テストは基準の1.8倍」
「安全係数は十分だ」
継
「そういう話じゃねぇ」
隣の林が口を開く。
林
「この施設」
「設備投資額いくらだろうな」
継
「お前もやめろ、経済王」
ジョン
「この傾斜角は美しい」
林
「客単価も気になる」
継
「普通に乗れ!!」
⸻
そして。
落ちた。
継
「うわああああああああああ!!」
急降下。
急旋回。
ループ。
ジョン
「約3G」
林
「回収期間十年くらいか?」
継
「そっち!?」
ジョン
「F/A-18の急旋回に近い」
林
「利益率は――」
継
「黙れぇぇぇぇぇ!!」
⸻
停止。
ホームへ戻る。
継は完全に死んでいた。
継
「……地上が優しい……」
ジョンは平然としている。
ジョン
「もう一回いける」
林
「俺も」
継
「いかねぇよ」
その瞬間。
近くにいた若い米兵が、
反射的に敬礼した。
米兵
「Sir!」
継
「だから副司令やめろ!!」
⸻
少し離れた場所。
澪と文造が、
その光景を見ていた。
文造
「父さん苦労してるな」
澪
「うん」
文造
「でもさ」
澪
「?」
文造
「あの二人がいるなら」
「大丈夫そう」
澪は少し笑った。
澪
「そうだね」
視線の先。
ジョン
「次はあれだ」
林
「行こう」
継
「嫌だァァァァ!!」
叫び声が、
青空へ吸い込まれていった。
⸻
(つづく)




