表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Bingata Legacy 〜沖縄戦×米軍基地配置×禁忌の紅型〜  作者: ちま
第四部 尚造編 ― 時と海を越える遺志 ―
PR
247/292

第二十五話 託された証

尚造の書斎から見つかった古い木箱。


その中に眠っていたのは、

戦場の秘密か。

それとも家族の記録か。


1945年から受け継がれた「ある番号」が、

100年の時を越えて再び姿を現す。

2045年7月上旬。

 

仲村家。


木箱は、

机の上に置かれていた。


「開いた……」


文造

「開いた……」


「開いたな」


ジョンは静かに頷く。


古びた鍵は、

意外なほどあっさり回った。


ギィ……


木箱の蓋が開く。


中に入っていたのは――


大量の書類だった。


挿絵(By みてみん)



古い地図。

紅型の図案。

手紙。

写真。


そして。


一冊のノート。


「普通だね」


文造

「普通だね」


「普通だな」


ジョン

「いや」


ジョンだけが、

別の物を見ていた。


木箱の底。


封筒。


黄ばんだ米軍封筒。


ジョンの手が止まる。



「ジョン?」


返事がない。


ジョンは封筒を裏返した。


そこに記されていた番号。


『CA-OKN-1945-001』


空気が変わった。


「?」


文造

「どうしたの?」


ジョンは、

しばらく黙っていた。


そして小さく呟く。


「……祖父の形見だ」


挿絵(By みてみん)


「祖父?」


ジョン

「ああ」


静かに封筒を見つめる。


「俺の祖父が持っていた」


「そして今は俺が持っている」


「家宝?」


ジョン

「そんな立派なものじゃない」


「ただのタグだ」


少し笑う。


「ずっと意味が分からなかった」



ジョンは、

封筒の端を撫でた。


「子供の頃」


「祖父に聞いたことがある」


『何の番号?』


そう。


何度も。

何度も。



――回想。


ジョン少年。


祖父は、ただ笑った。


『尚造の作品だ』


『いつか分かる』


『その時が来たらな』



現在。


ジョン

「結局、それ以上は教えてくれなかった」


「……」


ジョン

「でも今なら分かる」


封筒の差出人。


そこに書かれている名前。


『仲村尚造』


沈黙。


文造

「え?」


「は?」


「……まさか」


ジョンは頷いた。


ジョン

「祖父はこれを」


「戦利品として持ち帰ったんじゃない」


「託されたんだ」



誰も喋らなかった。


聞こえるのは、

時計の音だけ。


カチ。

カチ。

カチ。



継は、

封筒の中身を取り出す。


古い写真。


そこには。

若い米軍将校。


そして。

笑顔の尚造。


並んで写っていた。


挿絵(By みてみん)


ジョン

「……祖父だ」


「え?」


ジョン

「若い頃の祖父だ」


「えぇぇぇぇぇ!?」


文造

「敵同士じゃないの!?」


「俺に聞くな」


ジョンも苦笑した。


「俺も今初めて見た」



写真の裏。


小さな文字。


『未来へ』


『証を託す』


『1945』


誰も言葉を失った。



その夜。


継は、一枚だけ写真を撮った。


封筒。

番号。

そして写真。


送信先。

モーガン。


数分後。


既読。

そして着信。


モーガン

『……どこで見つけたの?』


「尚造の木箱」


電話の向こうで、

息を呑む音が聞こえた。


モーガン

『……それが本物なら』


「?」


モーガン

『いいから待ってて』


『すぐ行く』


「え?」


モーガン

『今から沖縄へ向かう』



場面転換。


横須賀。


夕暮れ。

護衛艦のシルエット。

港を吹く風。


モーガンは、

急いで荷物を車へ積み込んでいた。


部下

「急な休暇ですか?」


モーガン

「違う」


部下

「?」


モーガンは、

スマホ画面を見せる。


そこには。


『CA-OKN-1945-001』


モーガン

「家族の問題よ」


挿絵(By みてみん)


車のエンジンが掛かる。


夕暮れの港を背に、

車は走り出した。


目的地。


沖縄。

仲村家。



そして。


1945年へ――



(つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ