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Bingata Legacy 〜沖縄戦×米軍基地配置×禁忌の紅型〜  作者: ちま
第三部 美咲編 ― 沖縄に咲く紅 ―
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190/250

第三十七話 異動と再編ーー沖縄で戦う者たち

帰ってきた場所。

取り戻した日常。


だが、それは終わりではない。


ここから先は――

“守る”ではなく、“築く”戦い。


それぞれの立場で、

それぞれの覚悟で。


沖縄に、根を張る。

沖縄。

仲村工房。


布が揺れる。

染料の香りが漂う。


仕事の音が、日常として戻っていた。



その中に、スーツ姿の二人。


健一と小林。


挿絵(By みてみん)


少しだけ場違いな空気。


彩花

「……やっぱり浮いてますね、その格好」


小林

「自覚はあります」


健一

「今日で最後ですから」


美咲が振り向く。


美咲

「最後?」


健一は、一通の書類を差し出す。


健一

「辞令です」


紙には、はっきりと書かれていた。



沖縄県立博物館 配属


挿絵(By みてみん)



美咲

「……え?」


小林

「異動になりました」


淡々とした口調。


だが、その目は――

どこか熱を帯びている。


隆司

「左遷か?」


健一

「逆です」


一拍。


健一

「“前線”です」


挿絵(By みてみん)


空気が変わる。


健一

「本土からじゃ、守れないものがある」


小林

「現場にいないと、意味がない」


美咲は、ゆっくりと書類を見る。


そして、顔を上げる。


美咲

「……本気なんですね」


健一

「はい」


彩花が、少しだけ笑う。


彩花

「じゃあ――」


「完全に“こっち側”ですね」


小林

「もともと、そのつもりでした」


珍しく、少しだけ冗談めいた口調。


隆司

「逃げ場なくなったな」


健一

「最初からありませんよ」


小さな笑い。


だが、それは軽さではない。


覚悟の共有。



その日の午後。


沖縄県立博物館(仮設施設)。


まだ整備途中の建物。


資料箱が積まれている。


健一

「……ここからですね」


小林

「ええ」


箱を開ける。


中には――


挿絵(By みてみん)


沖縄の資料。

戦前の記録。

失われかけた文化。


健一

「これを守る」


小林

「そして、残す」


静かな決意。



場面転換。


仲村工房。


美咲が、布を見ている。


そこへ、隆司が来る。


隆司

「博物館組、決まったな」


美咲

「うん」


美咲

「みんな、それぞれの場所で戦うんだね」


隆司

「俺たちもだ」


一拍。


美咲

「……うん」


その目には、迷いはない。



夕方。


工房に、全員が集まる。


自然と円になる。


健一

「博物館は、文化を守る」


小林

「記録し、繋ぐ」


彩花

「私は、売る、広げる」


隆司

「俺は、守る、ここを」


最後に。


視線が、美咲へ。


美咲

「私は――」


一瞬、息を吸う。


美咲

「全部、繋ぐ」


挿絵(By みてみん)


沈黙。


そして――

誰も否定しない。


それが、このチームの形だった。



外。


風が吹く。


だがそれはもう、脅威ではない。

流れだ。


沖縄。

ここが、拠点になる。



(つづく)

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