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Bingata Legacy 〜沖縄戦×米軍基地配置×禁忌の紅型〜  作者: ちま
外伝・村男編 ― 戦場からの卒業 ―
144/146

第十七話 沖縄戦②ーー地獄の群像

戦いは、場所ではない。

人がいるところが、戦場になる。


同じ島で、同じ時間に。

それぞれの地獄が、始まった。

紅型のタオル。


花の中に、島がある。


尚造の指が、ゆっくりなぞる。


西。

南。

中央。


線。

点。


全部、繋がっている。


挿絵(By みてみん)



1945年4月1日。

西岸。


静かな海。


Bが、空を見る。


青い。

何もない。


「……来るな」


その瞬間。


空が裂けた。


挿絵(By みてみん)


閃光。

遅れて、音。


地面が、跳ねる。


水柱。

土。

肉。


全部、上がる。


終わらない。

止まらない。


「……はは」


笑う。

笑うしかない。


「無理ですよ」


誰に言ったのか、分からない。



4月上旬。

壕予定地。


Eが、地面を叩く。


固い。


もう一度。


固い。


「ここだ」


決める。

すぐに、掘る。


スコップ。

手。

爪。


土が崩れる。


その上で、爆撃。


落ちる。

土が、降る。

息が、詰まる。


それでも、掘る。


挿絵(By みてみん)


「急げ」


誰かが叫ぶ。


間に合わないと、死ぬ。



4月中旬。

市街跡。


瓦礫。

煙。

焦げた匂い。


Cが、歩く。


足音だけが響く。


静か。

不自然なほど。


――視線。

気配。


一瞬、消える。


銃を向ける。


挿絵(By みてみん)


止める。


誰だ。

敵か。

違うのか。


分からない。


「……」


正解がない。



4月下旬。

後方壕。


暗い。

湿っている。


Dが、箱を開ける。


空。


挿絵(By みてみん)


もう一つ、空。

もう一つ、少し。


「……足りねぇな」


誰も答えない。


水、回す。

一口ずつ。


足りない。


弾も。

薬も。

全部。


「……次」


来ない。


分かっている。



5月。

南部戦線。


雨。

泥。


動かない。


Aが、地面を見る。


斜面。

穴。

死体。


全部、同じ色だ。


「ここだな」


挿絵(By みてみん)


座る。

伏せる。

待つ。


砲撃。


また来る。

終わらない。

削られる。


少しずつ。

確実に。



時間が、流れる。


西岸。


人が、いない。

Bは、まだいる。


耳が、聞こえない。


音がない。

口だけが、動く。



壕。


繋がる。


穴と穴。

人と人。


Eが、息を吐く。


「……通った」


その上で、爆発。

土が、落ちる。



市街。


火。

煙。

声。


誰のものか、分からない。


Cは、振り向かない。

振り向けない。



補給。


Dが、箱を閉じる。

静かに。


何も入っていない。



南部。


人が、増える。


見たことのない顔。

見たことのある装備。


海の匂い。

土の匂い。

全部、混ざる。


Aが、顔を上げる。


「……来たか」


削る。

耐える。


終わらない。



挿絵(By みてみん)



(つづく)

ここまでお読みいただき、

ありがとうございます。


それぞれの場所で、戦いは続いています。


そして――

その先で、彼らは選ばなければなりません。


戦うのか。

それとも、生きるのか。


次回、その答えが、示されます。

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