次男であるマティブ兄さん
連続二話目です。次男であるマティブ兄さん
〈バンッ〉
「「母さん聞いてくれよ!!」下さいよ!!」
「うるさいっ!!フィルがびっくりするでしょ!?」
「「…いや、母さんの方がでかいけど」大きいです」
「ダァ~」
俺もウンウンと頷いて、兄達に同意する。
「いっいいのよそんなことは!そんなことよりもお帰りなさい」
あっ誤魔化した
俺と同じことを思ったのか、兄達が苦笑した気配を感じた。
「「ただいま母さん」」
「ほら、そんなところに立ってないでフィルと挨拶して頂戴」
「ダダ~(そうだよ)」
兄さん達の顔が早く見たくて、母さんの言葉に肯定する。
だってここからだと柵が邪魔で見えないしね。
はやくはやく~
と、両手で柵をバシバシ叩いてアピールしてみる。
「あぁはいはい、フィルは本当に元気ねぇ。…【エア】」
母さんが近づいてきたと思った瞬間急に浮遊感を感じ、あっと思ったらすぐに背中に温もりを感じた。どうやら俺は母さんに抱き上げられたようなのだ。でもそんなことよりも…
いっ今のナニ?
今俺の体は、母さんが触ったわけでもないのに勝手に浮かんで母さんの腕の中に収まったのだ。(一瞬の浮遊感がそれだ)
驚きで俺が目を白黒させていると移動していた母さんが止まった。
するといきなり、右側からニュッと王子様みたいなキラキラした顔が間近に現れた。
さっきのことに驚いていたのに、更にこの王子様みたいな人の出現でついに俺は泣き出してしまった。
「うっうぁぁぁぁぁ」
「あらあら…驚いたのねぇ。ほら、マティブ」
「えっと…フィル、驚かせてすみません。えっとお兄ちゃんですよ?」
…お兄ちゃん?この王子様みたいな人がマティブ兄さん?
「えっぐ。うぅ?(本当に?)」
マティブ兄さんの声で泣き止んだ俺を見て、兄さんはホッとしたようだ。
よく見ると、王子様改めマティブ兄さんの顔は母さんに似ていた。
髪や瞳は青紫で、とても綺麗な色をしている。
「あの母さん。この子の名前は?」
「あぁごめんなさい。この子の名前はフィラデルよ」
「フィラデル…良い名前ですね」
ヨロシクね!
っと目の前にあったマティブ兄さんの髪を軽く引っ張った。その事に気づいた兄さんにフニャッと笑いかけると、兄さんも笑い返してくれた。
マティブ兄さんマジイケメソっ!
次話では長男のドイン兄さんが出てきます。