第007話 第一声でフラグ回収?
あっという間に1歳になったエドワード。
家族揃っての誕生パーティで何をやらかすのか?
ワシ(エド)がこの世に生を受けて1年が過ぎた。
この世界の平均的な赤ん坊の成長よりも甚だしく逸脱した成長っぷり。既にトテトテとあちこち歩き回るわ、そろそろ言葉も喋りそう・・・(と言う流れにしちょるんよ。いつまでもあーばーでは何も進まんしの)
生まれて1年と言う事で、リッチモンド家では家族が勢揃いして、ささやかなるパーティーと相成った。王立学園に通っている姉二人もわざわざ、王都から辺境伯の領都まで帰省しておる。
本当に両親と子供達だけのささやかなもんじゃが、祝って貰えるのは良い事じゃて。大人になると祝うどころか自分でも誕生日を忘れそうになったり、ジジイになればあと何回こんな風に祝って貰えるか?と指折り数えたり・・・。
かーちゃん特製の料理が並ぶ食堂には、上座に親父殿。その反対側にかーちゃんと、おっぱいではなく離乳食(の様なものに移行した)ワシ。テーブルの両脇を姉様達が陣取っている。
準備が整ったところで親父殿が切り出す。
「我がリッチモンド家に待望の嫡男が誕生して1年が過ぎた。病気も怪我も無くスクスクと成長してくれた事は、神の思し召しと家族みんなの支えがあってこそだと思ってる。ささやかではあるが、エドワード1歳を祝って乾杯!」
グラスなんておしゃれなものは無いが、木製のコップを皆で掲げて乾杯(ワシもなぁ、こんな身体でなきゃビールをクイっといきたいんじゃがのー)。
『お酒は15歳の成人を迎えてからですからね!』
ったく分かっとるわい、考えるくらいは許せ。
いつも一緒に暮らしているクロエは良いとして、学園の寮生活をしておるベアトリスとエリザベスは、成長著しいワシを構いたくってウズウズしとる。そうなんじゃて、姉にすれば弟なんて良いおもちゃだしの。ワシのウチも上の子が姉、下が弟だったんで。おもちゃにされとるのをしょっちゅう見ておったし、余りにも酷い時は止めた事もあるでな。
親父殿か、かーちゃんが気遣ってくれれば良いんじゃがなー。
かーちゃんに抱き抱えられるのは久しぶりじゃった。クロエもお手伝いしてはおるが、家ん中の事はかーちゃん一人で回しておるし、ワシも一人で動ける様になったもんで、最近はそんな機会がとんと無かったの。
改めて見るが、前世の嫁さんに負けず劣らずの「豊潤」なおっぱいだわなぁ。離乳食に移行しつつあるがたまには「吸い付く」のも悪くは無いのー。
「んーーーー、おっぱい」
食堂の中に一瞬の静寂が訪れた。
「え?エド、今喋ったの」
「え、今の声ってエド?」
ベアトリスとエリザベスが両脇で五月蝿い。親父殿もワシが発した単語に、鳩が豆鉄砲を食った様な表情をしておったが、すぐに大笑いとなった。
「おお、エド!ようやく喋る様になったか。だがな、いきなりおっぱいは無かろう、まあ健康な男子なら興味が無いわけ無いから仕方ないがwww」
「あらあら、男はみんな好きなんだろうけど、1歳でこれではちょっと先が思いやられるわね・・・」
親父殿は健康な男子の象徴だと笑い飛ばし、かーちゃんは将来、おっぱい狂いにはなって欲しくは無いと本音を漏らす。
いーんです!男からリビドー奪ったら、ただのカスじゃぞ。おっぱいおっぱい言ってても「白い目」で見られるまでは、言い続けるぞー!
『生まれて最初の第一声がソレですか、実に貴方らしいですねぇ。私はもう驚くと言うことを忘れてしまいましたよ』
構うもんか、ワシゃ死ぬまでおっぱいおっぱい言い続けるわい!
かーちゃんの立派で豊潤な胸部装甲を見た後では、上の姉二人の余りにも不甲斐ない「つるぺったん」は、もう哀れとしか言えんのぉ。母親が規格外なのに娘は規格にすら無いんじゃぞ。ここから急速に成長するもんか?いやーちょっと難しいじゃろうな。
かーちゃんに抱き抱えられたまま、右手でかーちゃんの胸部装甲を指差して、もう一度「おっぱい」と言った後、ベアトリスとエリザベスを指差して、
「ちっぱい・・・」
と呟いてみる。その瞬間、食堂の空気が凍りついた。
「え、エドくん。今何て言ったの?」
「ねえ、エド。何か変な言葉が聞こえたんだけど」
姉二人の表情は非常に険しいもんになっとる。あ、クロエは何があったのか理解してないようじゃな。うん、まだクロエには関係ないから安心するが良いぞ。
姉二人は今だに現実を受け止めたくない。と言う表情をワシに向ける。じゃがな、いつかは真実を受け入れねばならんのじゃ。では、もう一声。
「・・・ちっぱい」
ベアトリスとエリザベスの意識は、そこで消失した。
一度ならず二度までも「ちっぱい」と弟から宣告されたのだ。その破壊力は一瞬ではあるが、二人の口から、魂が出て行こうとしたくらいじゃったな。
「ははは、エドワード。ようやく喋る事が出来たかと思ったら、とんでもない発言ばかりだな。男の性と言えばそうだが、エレナは良い。だがベアトリスとエリザベスにはなぁ。ちょっと心を抉り過ぎてないか?」
親父殿も流石に「二回も」死刑宣告はどうなのよ?と心配顔である。かーちゃんはかーちゃんで、
「大丈夫よ、まだ成長する・・・かも知れないし」
うわー、その間って直接的よりもエグいんでないのかい?流石のワシも引くわい。
「た、確かに、お友達よりは、す、スレンダーだけど・・・」
「お、お姉ーちゃんは、ちょっと危ないかも知れないけど、私はまだまだ余力あるはずだし・・・」
魂が戻って来たのか、ベアトリスとエリザベスがブツブツ言ってる。さっきまでのショタコン全開の勢いは何処へやら?まあ良いわ、コレでようやく喋るのに不自由せんくなる。
『自分のお祝いの日に姉をディスるなんて、なんて外道なんでしょう。私は頼む人を間違えたのか・・・』
ガイアよ、それは今更っちゅーもんじゃわい。
エドワード1歳のお祝いの場は、エドの「お喋り」機能実装のお披露目と、幼児のくせにおっぱい星人を露呈し、姉をディスるという、余りにも目も当てられない状況で終わったのでした。
エドのこのセリフを某国民的アイドルグループのリーダーが聞いたら、どう思うんでしょうね?
「オマエは全然まな板のスゴさを分かってない」でしょうかw
もしくは某アニメキャラの、
「貧乳はステータスだ!希少価値だ!」
エド、これ以上姉上をディスると、不毛な争いが勃発するから自重しておこうか。




