第004話 エド、大地に立つ?
掴まり立ちまで到達したエドワード。
寝ていただけの頃と比べると、立てた事でさらに成長が加速されたみたいで、
匍匐前進からの掴まり立ちまで成長したワシ(エド)。
立って見える世界はまだ室内が大半だが、窓から見える空の色とかを見とると、この世界も地球と同じなんじゃろか?と考えてしまう。そう言えば、時間の概念はまだ調べとらんかったの。
早速、ステータスウィンドウを開いてポチポチポチ。っと。
なになに?1日は24時間で1ヶ月が30日、それが12ヶ月あって年を越す時に越年月という5日間の短い月がある。越年月はほぼ全ての民が休みとなり、新年を祝う祭りが行われる。
概念としては地球と殆ど一緒だったんじゃな。越年月が短いながら挟まる事で、地球、つか日本で言う年末年始をくっきりと分けておるんじゃな。
そうそう、わしも正月明けはなかなか仕事する気にならんかったのぉ。1月と言ってる間はダラダラしたいなぁと。その点、こっちの世界は合理的なのかもな。越年月は休んで祭りを楽しむ。1月になったらハイ仕事!メリハリの効くカレンダー設定はあやつ(ガイア)の仕事なのじゃろうか。
それはさておき、掴まり立ちまで行ったら早いこと、あちこちを探検したくなるな。最近はベッドの囲いも1面だけ外してあることが多いし、ちょっくらやってみるかの。
ベッドの柵が外してある面、その下には結構な厚みのあるクッションが置いてある。ベッドから見下ろしながら厚みと柔らかさを推測するワシ(エド)
これくらいなら落ちたとしても、上手く受け止めて貰えそうじゃな。さてどうやってあのクッションに着地しようか・・・。
この時、エドは赤ん坊の身体付きに付いて考えるのを失念していた。赤ん坊ってのは案外全体に対する頭の比重が大きいのよ。それこそ身を乗り出そうもんなら・・・。
「あーー(あらららぁ!)」
重力の法則に従い、ベッドから身を乗り出していたエドは頭からクッションへと急降下爆撃を敢行した(つっても落差は50cmくらいだが)。頭からクッションに落ちたエド(犬神家の一族みたいに)は、次に下半身が床へと倒れ込む。
「あばばばー(うぉーっ!)」
両足の裏がしっかりと床を捉え、少しガニ股な脚が着地の衝撃を緩和する。気が付けば掴まり立ちする事なく、エドはしっかりと床を踏み締めていた。
なんじゃ、いきなり落ちてしまって慌ててしまったが、怪我の功名かな?すんなりと立ててしまったではないか。おー、足が地面を捉える感触。この感じならバランスは崩さないで済みそうじゃ、あとはどんな按配で足を動かせば良かったかの?
今のエドの姿を端的に言い表すとすれば、「岐阜のポーズ」とか言ってるおませな幼稚園児を思い出して欲しい。
その格好から動こうとするが、足の動きをどうしたものか。あ、アレで良いんじゃ。
エドは力士の摺り足の要領を頭の中に思い浮かべながら、ゆっくりと足に力を入れる。ズリズリっ、ズリズリっ。バランスを取るべく両腕を前の方に突き出してる様はまさに力士の摺り足である。
『全く、こちらの世界の子供の成長が早いとは言っても、2ヶ月ちょっとで歩けるのは異常なんですがねぇ』
喧しい、今はお前さんに構っとる暇はないんじゃ!
エドが着地した地点から5mほど先には、部屋の入り口がある。いつもならドアはしっかりと閉まっているし、エドの身長ではドアノブに手が届く事もない。だが今日に限ってドアは少しだけ開いていた。エレナがしっかり閉めていなかったのだ。
よしよし、このままゆっくり、焦らんでも良い。邪魔が入ったならばそれまで。と思えば良いんじゃ。
エドは焦る事なく、ゆっくりと確実に摺り足でドアへと歩み寄る。この場にカークかエレナが居たら、しっかりと歩く我が子を見て大粒の涙を流していただろう。
牛歩と言うかミミズ歩と言うのか、とにかくゆっくりゆっくりとドアに向かうエド。ベッドからの落下→前転決めての着地から10分ほどでドアの前まで辿り着く。
さあ次はドアを開けよう。手入れが良いのか、エドの小さな身体と力でもドアはゆっくりと動いてゆく。
はぁはぁ、身体を動かすっちゅーのが、こんなに大変だとは。昔ならこれくらいで疲れはせんかったんじゃが。
『あのですね、昔って大人の身体の時ですよね?それと赤ん坊の身体を比べるなんて、貴方、アホですか?』
あー相変わらず外野が五月蝿いわ。
ドアを開けて部屋の外に出る。廊下だった。左側の方から音が聞こえてくる。かちゃかちゃと言う音だ。昔の記憶と大差無ければ台所の音だろう。
エドは自立歩行から廊下の壁を使う、掴まり歩きに移行する。流石に自立歩行ではバランスを取る事に気を取られて歩みが遅くなる。掴まり歩きなら、かなりペースを上げれそうだ。
ベッドからドアまでの10分、そしてドアから台所までも10分。やはり自立歩行に比べれば掴まり歩きはバランスを考えなくて良い分、早い早い。台所の入り口から中を覗き込むとエレナとクロエが何かやってる。時間が分からんから何とも言えんが、ご飯の支度であろう。
暫くは二人の様子を眺めつつ、台所の状況を観察する。真ん中に調理台があり、壁には食器や食料を置く棚が並んでいる。窓際に水場と竃がある。大きな陶器の甕が置いてあるがあそこに水を汲んでおくのか。すると井戸が有るんだろうが、流石に家の中に井戸は無いようだな。
竈はちょっと大きめじゃな、でも焚き口がある事を考えるとこの家では魔法系で台所をどうにかすると言うところまでは進んでない、と。
そんな観察をしていると不意にクロエが入り口の方を振り返る。そして入り口で掴まり立ちしてるワシ(エド)を見つけ、しばし目を丸くしとる。
「え、エドぉ?!ちょっとおかーさん!え、エドが!」
「何よクロエ、エドがどうした・・・・」
クロエの声に反応したエレナも入り口の方に視線を向ける。エレナもクロエと同じ様に目をまん丸にして・・・。
「え、エド?!え、ベッドで寝てたんじゃ無かったの?」
「あばばぁー(えへっ、来ちゃった)」
それからは二人とも大変だった。部屋の中くらいなら自由にさせても良い、と考えてたが、まさかの脱走を決めたことにびっくりしていた。ま、これもエレナがエドの部屋のドアをしっかりと閉めてなかったのが原因なんだが。
エドが早くも歩き始めた事は、その日の夕食の場で話題になるわな。そしてその話を聞いて悔しがったのは当然のようににカークである。
「なんと言う事だ。我が子の初歩きをまたしても見る事が出来なかったとは・・・」
なあ、親父殿。男親ってのはそう言うもんじゃ。ワシだって仕事にかまけて子供の初歩きなんて見ては居らんぞ。
「怪我も何も無かったから良かったけど、家の中で怪我でもしてたらと思うと、歩いた事をすんなりと喜べないわ」
エレナも初歩きの瞬間を見ていないのと、自分のポカでエドに何か有ったらと考えてしまって、素直に喜んでない。
『全く、私の加護と前世の経験でここまで成長しますか。多分、一歳になる前に喋り出すんでしょうな。これじゃ世も末ですな』
おい、外野!元はと言えば、お前が撒いた種だろうが!
ひとまず、これでエドの行動範囲が広くなるのは間違いない。親父殿とかーちゃんは、しばらくの間家の中で危なそうなところを探して、対処するのにおおわらわであった。
まだまだ、書き溜めてあるから良いようなものの、ストックがなくなったらどーしよー?と考えてます。
まあ、一つに集中しろって事ですかね(短編とかやってんじゃねー)




