第002話 スクスク育とう!
生まれ変わった75歳のジジイ。
現世の母のおっぱいにいたく感激するも、姉たちの「絶壁」っぷりを見て、少し将来を心配する。
エドワードと名付けられ、まずは何をするべきか・・・。
この異世界でエドワード・リッチモンドとして再度の生を受けて少し時間が過ぎた。毎日、豊潤なおっぱいを貪り、泣いて、寝る。
寝ているだけで何もしなくて良いと言うのは、赤ん坊の特権なのだろうが、生憎、転生してしまった後期高齢者たるワシにとっては実に暇過ぎる。
贅沢言うな?まあ贅沢と言えば贅沢だ。だがな、思うように意思疎通が図れず、身動きも取りにくいとなるとぼやきたくもなるわい。おまけに頭ん中でアレコレ考えておれば、どこぞの誰かが突っ込みを入れてくるしの。
『お呼びですかな?エドワード』
ああ、お前さんの事じゃ。外野、じゃないガイア。
『私とのお喋りもだいぶ板に付いて来ましたね。それだけ突っ込み返しが出来ると、ホントに喋れるようになった時がチト怖いですが』
ああ、そうじゃな。一気に立て板に水を流すようにすらすら喋ったりしたら、悪魔にでも取り憑かれたか?と言われかねんな。その辺は考えておかんとな。
暇過ぎるとは言ったが、その実、色々と勉強しとるんじゃぞ。何せ前世の常識なんて通じやしないから、まずはこの世界を良く知っておかないとな。
まず、ワシが生まれ変わったこの土地だな。ここはユーレナ王国。この大陸の半分近くを占める大きな国じゃ。国王を中心とした有力貴族達が合議制で国を動かしておる。そのせいか、対外的には融和な姿勢(但しトルネリア帝国とは険悪)で、豊かな農産物を背景になかなかの繁栄をしておる。
そんな王国、王都ユーレナを中心としてみると北西の位置にあるのが、ワシの住むアルト辺境伯領。昔は隣国であるガラド皇国とちょこちょこいざこざがあったらしいが、ここ100年近くは平和友好の証を結んで、辺境伯領としては平和な状態を謳歌しておる。無論、ガラド皇国との交易を一手に担っていることもあり、経済的にも豊かな方である。
んでだ、我がユーレナ王国、古の古代魔道帝国の遺跡が多いせいか、結構魔法の教育に力を入れておる。故に魔力が多い者ほど重宝され、魔力至上主義なるものが蔓延しておるそうじゃ。ガイア曰く、
『それじゃ、発展が不均衡なんですよね。魔力が無くても技術でカバーできる。そういう世界の発展を望んでいるのですよ』
と言っておったの。つー事はワシゃこの世界にない技術を披露して、無双しろという風に受け取った。まあ、色々やらにゃいかん事だらけだろうが、まずはこの「何にも出来ない赤ん坊」からの脱出が一番の目標じゃな。
そうだ、国の次はワシの家族じゃ。父親のカークだが予想通り平民から騎士団の中で出世して、晴れて騎士団長、そして男爵を賜った立身出世の塊じゃな。登り詰めたのは5年前の事で、そこから少しずつ貴族らしくしようとはしとるが、所詮は平民上がりの騎士。なかなか貴族社会には馴染めんらしい。本人は騎士であるだけで充分とは言っておるがの。
母親のエレナも同じく平民の出じゃ、領都のパン屋の娘でカークが一目惚れして猛攻の末陥落したそうじゃ。その頃からあの豊潤な胸部装甲だったようで、カークの手に落ちて暫くは、他に狙っていた男どもがあちこちで「死んだような目」をしていたらしい。ワシに言わせりゃ、そこまで真剣に落とそうとせんかったのじゃろ?と言いたいわい。
そんなカークとエレナの間にはまず、ベアトリスとエリザベスと言う2人の女の子が生まれた。特に最初の子、ベアトリスの時はカークはワシが生まれた時くらいにデレデレして情けない顔をしとったようだ。
分かるぞ、ワシも最初の子が生まれた時はそりゃもう、毎日が天国だと思っておったでな。その後の夜泣きには少しばかり奈落の底に落とされた気分じゃったが。
ここで家族4人で慎ましい生活を続けていた・・・とはならんのがこの世界。エリザベスが3歳の時にこの地方に魔物氾濫が起こったとか。魔法世界ならではの魔物の氾濫、いっときは領都近くまで魔物の群れが迫って来たようでの。騎士団にいたカークは魔物討伐に明け暮れておったそうじゃ。その間エレナと2人の子供たちは、安全な街に疎開しておったそうじゃ。魔物氾濫も収まり領内の後始末をやっておったら、1年近く家族は離れ離れになっておったそうじゃ。
ようやく家族がまとまって暮らせるようにはなったものの、生活の立て直しやら、隣の領でも魔物氾濫が発生してそれの火の粉を払いに行ったりとかで、家族がのんびり。っちゅーのは望めんかった。それが何年も続いたとは。
そんな昔話を聞かされて、ワシはつくづくそんな時に転生させられんで良かったわい。と思ったぞ。
しかしながら、それだけの苦労をした甲斐があったと言う事だ。全てが落ち着いた5年前、カークはようやく騎士団長の座に上がり同時に男爵へと陞爵されたんじゃ。この世界で騎士になったからには何処ぞの騎士団長を、あわよくば王国騎士団長ってのは憧れじゃろうて。
ここの辺境伯は代々、文にも武にも長けた秀才だと聞いておる。その辺境伯配下の騎士団長。ワシの親父殿は立派な人じゃい。
そんな事をかーちゃんのおっぱいを吸いながら、聞いて過ごす。良いのぉ、この世界の勉強も出来ておっぱいも吸える。言う事無しじゃ。
『・・・こんの、エロジジイめ』
何とでも言うが良い。とりあえずはハイハイ出来るくらいまで、身体を作らないかん。動けなんだら何にもなりゃせんでな。
かーちゃんからおっぱいと家族の歴史を勉強し、一人で寝ている間は良く身体を動かして、早くハイハイまで行けるように鍛錬する。疲れたら寝るのもアリじゃが、あのステータスウィンドウか?アレを使ってぽちぽちと情報収集に余念はないぞ。
『そう言う事にしときますか・・・』
ガイアは既に諦め模様じゃな。
そんな毎日が暫くは続いたのでした。
不定期更新で申し訳ないです。
作者自身が勤め人でジジイなとこもありまして、なかなか書く機会を作り出せてません。まあ、ぼちぼちと行くつもりなので、忘れ去られない程度には更新をしていこうと思ってます。




