第001話 死んで、そして2度目の生誕
前世では75歳で大往生したジジイ。
創造神に泣き付かれ、チートなスキル満載を確約させて、いざ転生。
さて、次の人生、どうやって楽しもうかのぉ?
光の中を漂う。ってのは何だか妙な気分だのぉ。
前世でもこんな風に漂っていたのかどうか?生憎ながらそんな記憶は残ってはおらん。暫くすると、光の中にさらに強く光る玉のようなものが見えてきた。
あれが何かはよく分からんが、何となくあれが目標物である事は理解していた。さあ、そろそろ仕事の時間じゃ。
オギャー!オギャー!
ああ、良く泣く赤ん坊じゃな。って、ワシだったわ。
何か喋りたい衝動もあるんじゃが、本能が泣く事しか許してはくれん。ああ、当分は言葉の通じない不便な生活かや。
目の前に見えるのは、栗色の髪、翡翠色の瞳、綺麗に整えられた髭。おお、お主がワシの父親かい。ってえらくごっついし何じゃその、鎧は?
目の前の光景が現実なのに、まだ受け入れにくい感じがする。ああそうか、前の世界とは違うでの。格好だって違うに決まっとる。
頭の中に『ポーン』と言う音が響いたのち、男の顔を隠すように緑色の画面が出てきた。
カーク・リッチモンド
男爵
アルト辺境伯騎士団団長
41歳
ああ、アレじゃな。アレ、あのーほれ、何て言ったか?
あ、思い出した。ステータスウィンドウっちゅーのか。結構、便利なもんじゃの。前は必死に工作機械の設定をしとる時に、ポンポン出てきて鬱陶しいかったが、今じゃ調べようとするとこうやって出てきてくれるんじゃな。そう考えるとなかなか便利なもんじゃの。
男爵さまってのは貴族でも一番下の方じゃないかい?それで居て騎士団の団長さまかね。貴族の腰掛け役職じゃのぉて、実力で上り詰めたんじゃろうな。ああ、昔もそうじゃったわい。ヒラの作業工で入社して仕事を覚えて、やっと現場長になったのはいつだったかの?昔のワシに似とるわ。
父親の後ろには、金髪やら栗色やらキラキラしたねーちゃんどもが居るの。ありゃ何じゃ?
『ポーン』
ベアトリス・リッチモンド
長女
13歳
エリザベス・リッチモンド
次女
11歳
クロエ・リッチモンド
三女
4歳
後ろに控えていたのはワシのねーさま達かい。栗色の髪は親父譲りだが金髪はお袋譲りって事じゃな。あ、そうそうワシはどっち似になっとるんじゃろ。
ぼーっとしてると、抱き抱えられて視界が変わる。次に写ったのは眩いばかりの金髪と、圧倒的存在感を示す「おっぱい」同時にそのおっぱいの感触が頬に触れる。
「だぁーー(柔らかけーっ)」
いきなり喋れなくて良かったわい。生まれてすぐからおっぱいに執着しとるなんてバレたら、どんな目で見られる事か。
『ポーン』
エレナ・リッチモンド
男爵夫人
39歳
ふむ、ワシのかーちゃんはエレナというのだな。にしても39歳でこの「存在感」かぁ、前世の嫁さんもそりゃ存在感いっぱいだったが、なかなか負けてはおらんわい。
『もしもし、聞こえます?』
あ?誰じゃ、この至福の時間の邪魔する奴は。
『ガイアです!貴方を転生させた』
ああ、そうじゃった。ガイアとはこうやって喋れるようになっとったの。
『貴方いきなりなんですか!生まれてすぐにおっぱいの虜になって』
喧しいのぉ、生まれてすぐの赤ん坊じゃからこそ、命の糧となるおっぱいの虜になって何が悪い?
『・・・そういう事にしておきましょう』
話のし易い奴は大歓迎じゃぞ。
しかし一人ボケ突っ込みをしたくとも、こうやって外野、じゃないガイアから突っ込みが来るとは(怒
母親のエレナから父親のカークに、ワシは抱っこを代わられる。うん、なかなかの色男じゃな、でも目尻は下がりこれ以上にないデレ顔じゃな。
「やっと我が家に跡取りが生まれた!やった!やった!これで次期騎士団長の心配も無くなった」
「あーぶぅー(何ソレ)」
「娘ばかりで肩身が狭かったが、これで私も騎士の跡取りを残せる・・・」
「う〝ー(ちょっと何言ってるのか良くわからない)」
ヲイヲイ、なんちゅー遠い話をしだすんじゃ。
つーか、跡取りと言うたな?という事は今世も男として生まれたのか、それはそれで何よりじゃ。何せこんな爺が中身の女子じゃったら、目も当てれんし。
『その辺はちゃんと考えてますから』
ちっ、いちいち五月蝿いのぉ。
「やっとリッチモンド家に後継の男子が誕生した!私はこの子にエドワードと言う名を送ろう」
『ポーン』
エドワード・リッチモンド
長男
0(+75)歳
(創造神の加護)
おっ、今度はワシのステータスかや?何じゃこの0(+75)歳ってのは。分かっちゃいるが、なんかこう、遠慮無いな。
『情報を忖度するのは危険ですから』
コレ、他の人間には見られんじゃろうな?
『安心して下さい。カッコの付いたものは見えないようにしてありますので。ご自分で編集も出来ますから、程良くいじって遊んで下さい』
まあいい、自分自身のステータスを客観的に見ることが出来るのに越した事はない。少しずつ慣れる事にしようか。
「さあ、お前達の弟だぞ。しっかりと顔を見てやれよ」
カークがそう言いながら姉たちにワシを渡す。改めて見るが父親と母親の良いとこ取った顔立ちじゃ。うん、ワシも昔はえー男言われたが、今世もえー男になるんじゃろうな。
エドワードは姉たちに代わる代わる抱っこされ、もてはやされる。のは良いんだがエドワードはふとした悩みを抱えてしまった。
ああ、姉さまたちは確かに顔立ち麗しいのは認めよう。だがベアトリス、お前さん13歳じゃろ?なんじゃその「つるぺったん」は?エリザベスもそうじゃ、引っ掛かるトコが何も無いぞい。昔はそれくらいの年頃になればある程度は膨らんでおったのにのぉ。お前たち、かーちゃんを見てみい!あんな溢れんばかりの存在感をどう思うんじゃ?
あ、クロエは仕方ないの。まだ4歳の女子に膨らみの気配なんてありゃせんでな。
とかなんとか思っていると、表情が暗くなったようでベアトリスが心配そうに覗き込んでくる。
「やっぱりママに抱っこしてもらってる方が嬉しそう・・・」
あーもう、良い年頃の女子が泣きそうな顔をするんじゃない。まあいい、確かにあの「豊穣な」胸部装甲と比べたらそれはそれは寂しいもんじゃがな。
『貴方、さりげなく姉上をディスってますよ』
喧しい、否定しようのない事実を思っただけだぞい。
んとに、これじゃ生きてる間ずっとガイアと脳内で漫才するハメになりそうじゃ。
ベアトリスからエレナに渡されたワシ(エドワード)、ようやく今世最初の授乳の時間が来たようだ。ウヒョヒョヒョ。ああこんなにおっぱいにむしゃぶり付くのは、何年振りかの?最後に嫁さんのを吸ったのは・・・はて?いつの事じゃったか。
母乳の味とはこんなもんだったか?一回、前世で嫁のを飲んだ記憶があるんだが、味まで覚えとらんのぉ。でも、今は乳離れするまで、とことん頂くとしよう。
うん、それが良い・・・。
『器用なもんですね、おっぱい飲みながら寝るとは』
そんなガイアのぼやきもエドの脳内には届いてなかったようで。
かくして2度目の誕生を迎えたエドワードは、家族とのファーストコンタクトを終える事になった。
(ここでも大いなるフラグ「おっぱい」が立った事を誰も知る由がなかった)
まずは無事に転生させましたが、赤ん坊の頃から「おっぱい星人」なのは、ねぇ。
仕方がない!だって作者も「おっぱい星人」だもん。(開き直り)




