第020話 水は大切です
いよいよエドワードのチートが動き始めましたが、いかんせん色々ありすぎて、どうしたらよいのやら?
とりあえずは目の前の事から「やっつけて」いかないと、ね。
湿っぽく空気の重い地下室を、換気扇と照明で改善してみたワシ。
親父殿は実際にワシのスキルを見たのはこれが初、でもな、これくらいでびっくりせんでくれよ。
まあ、今日は新居の中身が分かったので、やれそうなところだけ「ビフォーアフター」やっちまうか。
地下室から出てきたワシと親父殿。次に向かうのは井戸だ。
つるべ式の面倒くさい井戸。井戸の近くに踏み台があったので、中を覗いてみる。
ざっと見て深さは10mほど、そのうち半分くらいが水で満たされている。これなら前世のガチャポンプが十分に使えるな。とはいえ、今この場で使える男手は親父殿だけか、うーん、仕方ない。またワシのスキルで何とかするか。
そう考えたワシ、井戸に向かって手をかざすと「クリエイト」と唱える。
井戸の周りが一瞬、光ったかと思うと、次の瞬間にはワシが前世で見慣れた「ガチャポンプ」がそこに鎮座していた。
「こ、こんどは何を作った?」
「これですか?水を汲み上げるポンプと言うものです」
ワシは、ポンプの腕に手をかけ、えっへん!といった表情をして悦に入る。
「これはどうやって使うのだ」
「簡単です、今、僕が手をかけている腕を上下に動かせば、水が出てきます」
そう言われると、親父殿はポンプの腕を握り、上下に動かす。最初のうちはまだ水が出てこない。当たり前だ。ポンプから水面までの間の管にはまだ空気が詰まっている。それを少しずつ管の外に出して、管の中に水が満ちないとダメなのだ。
ひたすら腕を上下させる親父殿。さすがに騎士団長らしくそう簡単には音を上げない。
が、あまりにも何も変化がないので、
「おい、いつまで続ければいいのだ?」
「あ、忘れてた」
ワシは思い出した。最初は真空状態を作るための「呼び水」が要ることを。
ポンプの上から汲み置いてあった水を注ぎこむ。そしてまた、親父殿に腕を動かしてもらう。
暫くすると、出口から水があふれ出てきた。
「おお、水が出てきた!」
「どうです?つるべよりは楽ですよね」
「確かに、これなら子供でも何とかなるな。井戸の上を板で塞いであるから、落ちることもない」
そうそう、つるべ式だと井戸の上はオッパッパーなので、子供なんかが落ちることもある。それからすればガチャポンプは安全で、楽に水を汲みだせる。それにつるべの桶なら大きくすれば、一度に汲める量も増やせるがその分、汲み上げる時の力もハンパなく必要。こっちのガチャポンプであれば、多少は時間はかかるがさほど力も必要ない。
「そうだ、エド。ポンプの横に生えている棒みたいなのはなんだ?」
そうそう、ついでだと思って一緒に「クリエイト」しちまったぞい。
「あ、それは後のお楽しみという事で」
ガチャポンプではなぁ。家の上に設置する予定のタンクまで水を揚げられないから、水中にプロペラポンプを設置しておいた。いずれは家の上に置く水タンクと連動させて使うつもりじゃ。
「このポンプ・・・・良いな」
「どうしました?」
「いやな、騎士団の厩舎でも同じようにつるべで水を汲んでいる。自分もやったことがあるから大変なのはよく知っている。このポンプがあれば厩舎で働くマルク達も、仕事が楽になるだろう・・・」
そう言うと、ポンプを撫でまわす親父殿。
そうなんだけどなぁ、正直言うと、今ここにあるガチャポンプは「インチキ」満載じゃでのぉ。なんせこの世界でまだゴムを見てない。それがしっかり使ってある時点でかなり「チート」な作りじゃ。出来ればこの世界の技術と人でこのポンプ作れんものかの?
・・・・・・・・・あ、いた。
「父上、ちょっと思いついたことがあります。騎士団の庁舎に行きましょう!」
「あ、ああ。一体どうしたのだ」
「とにかく急いで行きましょう。善は急げと言いますから」
この世界は、人間だけじゃない。
モノづくりの達人もいるじゃないか。使わん手はないじゃろ?
ひとまずはチート尽くしのスキル発揮ですが、それではこの世界の発展はエドワード頼みに。
エドワードが居なくなったら、どうにもならない。それを回避するには?
次に答えが出てきます。




