↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爺さん技術者、異世界で二度目の人生  作者: りょお@夜の全裸中年男性


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/27

第012話 いくらなんでも酷いよね?

 創造神様も顕現されて、ようやくエドの「暴走」へのアプローチは整いました。

 が、すぐ暴走出来るわけではないようで。

 親父殿との騎士団探検は、お昼の時間を迎えて一時中断。

 と言う事で庁舎の中にある食堂へと向かう。まだ時間には早かった様で、食事をしている団員は少なかった。


 最初に食堂に来た時に、ワシのお昼ご飯の入ったバスケットを預けていたので回収する。親父殿がバスケットの中身を確認すると、なんかこう、渋い表情になった。

「エレナ〜、無理を言ったのは仕方がないが、これはないだろうに」

 そんな親父殿の呟きを聞いたタチアナも、バスケットの中を覗く。そして大きなため息を吐いて、

「ったく、エレナったら。食べるのは旦那じゃなくて子供だろ?ったくそそっかしいのは昔っからだけどさぁ」


 おお?タチアナの口調だとウチのかーちゃんの事を知ってる様だな。うん、いつか親父殿とかーちゃんの馴れ初め話でも聞けたら良いな。本人達からじゃ恥ずかしさもあるし、多少の隠蔽もあるじゃろうし。

 で、二人が残念がっている中身を確認するか。な、干し肉に堅パン?おいおい、ワシゃまだ冒険者になった記憶は無いぞい。それにこんな硬いもん、歯が生え揃ってないワシには無理じゃ。


「タチアナ、済まないがエドが食べられそうなもんは有るか?流石にこれを食えとは言えんからな」

「そうだねぇ、麦粥でも作るかね。ちょっと待ってな。そんなに時間は掛からないから、カーク、アンタも飯にするんだろ?一緒に出すから待ってな」

 表の騎士団長を名前で呼び捨てにする辺り、伊達に裏の騎士団長の名は得て無いの。ワシと親父殿は向かい合ってテーブルに着く・・・あ、椅子が決定的に低い。親父殿は近くからクッションを集めて、座面の調整をする。


「そう言えばこうしてエドと二人になるのは、今日が初めてだな。いつもなら家族揃ってだし」

「そうですね、家族揃っても良いですが、たまには男二人だけってのも良いと思います」

「そうだな、色んなナイショ話もせねばならんしな。外でも家でもそう言う時間を少しでも確保できる様にするか」

「ええ、それは有り難いですね」


「はーい、昼のエサだよー」

「おい、人間なのにエサ呼ばわりするな。ただでさえ美味く無いのに更に不味く感じ・・・」

 タチアナに言い返そうとしていた親父殿、途中で言葉に詰まる。ワシも気になってチラ見すると、嗚呼、コレはいかん。鬼の形相では無いか。親父殿、今死んだら、石碑に名前が刻まれてしまうぞ。


 やはり団員の胃袋を物理的に掌握してるだけに、裏の騎士団長と言うのは最適だな。

 親父殿は肉を煮込んだシチュー(と堅パン)、ワシは麦粥じゃが、味のアクセントだろうか、シチューの中の肉がちょこっと入っとる。

 そんな質素(前世に比べれば)な昼飯を食べる二人。ふと親父殿がワシに問いかける。

「エド、この世界をより良くすると言っていたが、まずは何からやりたいんだ?」

 ワシはうーん。と上の方に目線を泳がせながら、

「まだ見て回ったところが少ないので、本当ならもう少し見てから決めたいんですが、先ずは井戸から手を付けたいかな。と」

 まずは井戸。と言われた親父殿は怪訝そうな顔をする。

「井戸?それは何故?」

 ワシはあのつるべ式の井戸を思い出しながら、

「魔法が使える人は魔法で水を生み出せば良いのですが、それ以外はあのつるべ式の井戸を使うしか有りませんよね。毎日の仕事としてはかなりの重労働でしょう。それをちょっと簡単かつ楽に出来ると良いかな?」

 ワシがそう言うと、親父殿は昔を懐かしむ様な表情で、

「ああ、ガキの頃は水汲みが一番やりたくなかった手伝いだったな。冬になると水も冷たくて身体が冷えて敵わんかった」

 親父殿は、そう言いながら自分の手をさする。冬の水の冷たさは慣れようにも慣れることは無い。


「あとはトイレですね。あれは不衛生極まりないですから」

 ワシはあの「おまる」を思い出すと、顔をしかめた。出したモンのスメルが直に襲ってくるのだぞ。よくもまあ、こんな臭いものを自分の身体が作ったかと思うと、ゾッとするわい。


「確かに、自分の出したモンであっても臭いからな。アレの片付けは精神的に来る」

 親父殿も、やはり騎士の前に人間である。臭いのはダメなのだ。


「父上、この世界にはスライムは居るのですか?」

 トイレの話からいきなりスライムの話に飛んでしまって、親父殿はきょとんとしておる。

「スライムならあちこちに居るな。雑魚キャラだから普通の平民でも退治出来るくらいだが、それがどうした?」

 アレとスライムの共通点はどこにあるのだ?と言う疑問が親父殿の頭の中には生まれているようだ。


「スライムは雑食ですか?」

「ああ、あいつらはそこらのゴミでも食べる。たまに狩の後に解体をその場でするんだが、内臓とかまとめておくと、いつの間にかスライムが集って片付けてくれる。街によってはゴミをスライムに食べさせて処理していると聞いたが、それが?」

 スライムはこの世界では、ある意味「最終処理」に適した生態であるようだ。ならば、前世の「最終処理」も造作ないじゃろ。

「今のトイレは正直言ってトイレとは言えませんよね。アレじゃただの肥溜めです。出した後に水で流して、その汚い水を溜め池に溜めます。そこにスライムをぶち込んで処理してもらうと言うのは如何でしょう?」


 ワシの言ったのは水洗トイレじゃ。前世であれば汚水は浄化槽なり下水道で処理しておった。それも微生物っていう概念があったからこそ出来た訳なんだが、この世界で微生物云々言っておったら埒があかん。ならそれの代わりが無いか?と。


「溜め池まで作るか、先ずはお試し。なんだろうが、結構大掛かりになるんだな」

 親父殿は溜め池と聞いて、腕を組んで考える。ちょっとお遊びで、というレベルを外れておるからの。

「ええ、それに流す為の管も建物の中を通したり、スライムを捕まえたりと、簡単じゃないですね」

 おまるなら、置いておくだけだが、前世のトイレを再現しようとするなら、水を汲んで貯めるタンクに、トイレ本体、それにそれぞれの配管、溜め池。そしてスライム。やることはいっぱいある。

 どれから手を付けるべきか、考えていると、

「でも一番の問題があるぞ」

「なんでしょうか?」


 親父殿はワシの顔を指差して、

「周りのみんなを納得させられる何かが無いと、動いては貰えん。エドが創造神様の加護があるとだけ言っても、信じてもらえるか。先ずは何でも良い、周り納得させる何かを作らないとな。ま、俺は創造神様を見たからエドの言う事は全面的に信用するつもりだがな」

 そう言って、豪快に笑う。それもそうじゃな、赤の他人に信用されるには、まず実績ありきじゃ。


「いきなり何かやらかすのも不味いですよね?そう言えば僕はまだ、魔力があるかどうかが分かりません。普通はどういう風に魔力の有る無しを調べるのですか?」

 そうそう、ガイアから貰った能力。類まれなる全属性の魔法。それをどうやってお披露目するかを考えたんじゃが、一人でこそこそやるのも詰まらんしのぉ。ちょいと派手に披露しても良いかなと思ったんじゃ。


「魔力の有る無しは、3歳になったときに教会で聖別という儀式を受ける。その時に属性も分かるようになっている。貴族の子弟は殆どが魔力持ちだが、属性は良くても二つまでしか出たことはない。三つともなるとかなり、四つに至っては王族ぐらいしか居ないぞ。エド、お前さんは一体幾つ属性を持っているんだ?」

 親父殿はワシが創造神様の加護の下に有るという事で、とんでもない事になってるんじゃないかと心配している。


「父上、申し訳ないのですが、全部の属性を持ってます」

「ぐはっ!」


 親父殿の最悪の予想と合致したみたいで、飲み込もうとしたシチューを吹きこぼしそうになる。堪えたのは褒めましょう。ワシのシチュー和えなんて、美味しくも何ともないからの。


「だろうなぁ、創造神様のバックが有って、属性が一つとか有り得ないし」

 最悪の予想を返され、親父殿は頭を項垂れている。まあ、諦めてくれ。

「今、教会に行って聖別を受けたら、領内、いや国中で大騒ぎになりますよね」

 ワシは少し小声で親父殿に言う。

「ならん訳がない。ふーむ、どうやって隠すかだよな」

 シチュー皿とにらめっこする親父殿。親父殿、シチューは空腹を解決してくれるが、悩みは解決してくれんぞ。


 でも、と言うような表情を見せた親父殿は、

「ただ、偶然ではあるが、この領都にある教会の司教様は、俺の主である辺境伯と幼馴染だ。その繋がりで俺も親しくさせて貰ってる。多少の無理は聞いて貰える。とは思う。でもなぁ」

 そこまで言っていい気な溜息をつく。をいをい、ため息をつくと幸せが逃げるぞい。


「でも何でしょう?」

「実は司教様は創造神様にかなり傾倒している。創造神様の力を借りれば有難いが。創造神様が手を貸してくれるだろうか?」

 ふむ、創造神「推し」と言う奴か?ワシの孫も「推し」というのにハマっておったが、凄い熱量じゃったでなぁ。堅そうな司教が創造神と出会って「推し」の熱量が上がり過ぎたら・・・。まあ、そん時はそん時か。


「一応、話だけはしてみましょう。それでどう言う段取りで行くのですか?」

「ああ、適当に子供の散歩ついでにってのはどうだろう?」

 親父殿の軽い口調に、おもわずジト目になるワシ。

「散歩ついでにって、ちょっと無理が有るのでは」

「ああ、ついでは建前だ。一応、それとなく事前に匂わせてはおく」

 ま、そんなトコじゃろうな。それで行くか。


 ある程度の今後の流れが固まってきたところで、話題が変わり、

「エド、昼からはどうする?後、回るとしたら倉庫ぐらいなんだが」

「倉庫ですか?」

 騎士団の倉庫・・・いったい何がしまってあるのやら?


「昔からの戦利品やらが沢山保管してある。最初はしっかりとした調査を。と、考えていたようだが、気が付けば大量になって誰も手を付けてない。エドの能力なら面白そうなものが見つけられるかも知れんぞ」

 どうやら、今までの戦いにおいて押収した物品。最初は「戦利品だぁ~!」と喜んで持ち帰っていたが、訳のわからないものがたくさん出てきたようで。でも、捨てるには忍びないということで、倉庫に放り込んであるらしい。ジャンク漁りか。昔はアキバの電気屋で似たような事をやってたのぉ。懐かしいわ。どんなものが有るかも判らんが、どのみち騎士団でも持て余しとるんじゃ。見つけたらシレッと頂いても良いじゃろ。

『盗人の算段ですか?』

 ったく、突っ込みが上手くなってきたの。ガイアの奴。盗人じゃないわい、有効利用と言うんじゃ。


 と言う事で、昼飯の後は、宝探しじゃ。

 少しずつ「暴走」の準備が出来つつありますが、まだまだピースが足りません。

 しっかりとピースを集めてから「暴走」してもらうつもりなので、もう少しダラダラにお付き合いください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。