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【完結済】守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
四章.エレノアの覚悟

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65.アダムの指摘

「お前の周りには本当に凄い奴しかいないな。」

リヒトとレオナルドに別れを告げ、アダムをアダム城に送り届けたところだ。アダムはため息交じりに呟く。


「そうなんだよね。レオ様のもうひとつの特技、びっくりしちゃった。」

「いや、お前が1番びっくり人間だからな。」

アダムが間髪入れずに答える。


「私は魔力が高いだけよ。小さい時はコントロールできなくて大変だったしね。今もまだ少しずつ増え続けてるし。」

エレノアは眉を下げて笑う。家出前までリヒトよりも少ないくらいであったエレノアの魔力は、家を出て好き放題自由に暮らすようになってから、その増え方は尋常ではない。


「怖くないのか?」

アダムは真っ直ぐ赤い瞳でエレノアを見つめる。


「怖く?暴走したりって事?」

「まあ、そうだな。」

「全く怖くないって言ったら嘘になるけど、リヒト様がいるし、今ではアダムやレオナルド、イザークおじ様もいるしね。何だかんだで家族も助けてくれるし、今は落ち着いていられるかな。」

「そうか……。」

アダムはまだ納得いっていない様子だ。


「今は私の意思で魔力を完全にコントロール出来ているし、魔石に逃す方法も知っている。物に魔術式を付与する方法も勉強したし、王太子妃になったら堂々と国防や犯罪対応、災害対応にも魔力を使える。使い道は色々とあるのよ。」

そう言ってエレノアは笑った。


「それは……、お前の身を削ることにはならないのか?」

アダムの言葉に、エレノアはヒュッと息を呑んだ。考えないようにしていた部分を指摘されたのだ。心のどこかでは感じていた事なのかもしれない。


「そ、そんな事ないと思うよ。」

エレノアは声を絞り出すようにして答える。


「心配してくれてありがとう。」

少し時間をかけて、そう付け加えた。




その翌日から、結婚式の準備のため、エレノアは再び忙しい日々を過ごしていた。ドレスの試着や手直し、儀礼の練習と確認、今度はパレードとパーティーもあるため、パレードの行程の把握と街の警備の確認、パーティーのダンスの練習や招待客リストと各々への対応、手土産などの確認などを行なっている。


「ふぅ、なかなか大変ですね。」

エレノアは座っているソファの背にもたれかかり、大きく息を吐く。


「婚約式よりも規模が大きいし、招待客も多い。やる事も沢山あるからね。」

隣に座るリヒトが穏やかに微笑んでいる。


「一緒に頑張ってくれて嬉しいけど、本当に無理はしないでね。」

そう言って優しい瞳でエレノアを見つめる。


「ありがとうございます。でも、リヒト様と一緒だから何とか乗り切れそうです。」

エレノアは心からそう思う。普段はリヒトが年上であるという事をすっかり忘れているが、こういう場面では本当に助けられている。リヒトがいなければ恐らく失敗している場面もあっただろう。何度もいうが、エレノアは社交界デビューをしておらず、学園にも通わなかったため貴族同士の交流には全く慣れていない。アランデルの英雄となっているエレノアにとって、もはや多少の失敗で非難されたり、評価が下がるような事はなかろうが、大きな失敗はないに越した事はない。


「ふふ……。社交の事は僕に任せて。」

しかし、エレノアに頼られるリヒトも満更ではないのだった。

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