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【完結済】守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
四章.エレノアの覚悟

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61.婚約式とふたりの手

「エレノア様、リヒト様。婚約式お疲れ様でした。」


侍女のサンドラが声をかける。侯爵家からエレノアに付いてくれている侍女だ。エレノアと一緒に王城に入ってくれたのだ。


「本当に疲れた。私には向いてないかも、王太子妃。」


エレノアは控え室のソファに倒れこんでいる。リヒトとサンドラしかいないため、侯爵令嬢としてはかなりぶっ飛んだ姿を晒している。


「あんなに完璧にこなしておいて、それはないかな。それにもう、絶対に離してあげられないし。」


隣に座るリヒトは苦笑いだ。


「完璧でしたか?」


エレノアはガバッと起き上がり、リヒトの顔を覗き込む。


「うん、素晴らしかったよ。何も言うことはない。」


リヒトはエレノアの頭を撫でる。


「わー嬉しい!頑張った甲斐がありました。リヒト様に褒めてもらうの、めちゃくちゃ嬉しいです。」

「ふふっ。頑張ったね、エレノア。」


エレノアは飛び跳ねる勢いで喜ぶ。リヒトは子犬のようだなと思う。


「エレノア様、せっかくの美しいドレスがシワになってしまいますわ。」


サンドラも微笑ましげに見ていたが、我に返って嗜める。


「この後、婚約式が無事に終わった事を民衆に報告して終わりだからね。」


リヒトは優しく微笑みかける。


「おっといけない、婚約式が無事に終わって油断してしまいました。」


慌てて姿勢を正すエレノア。婚約式は王族と妃の家族、そして国の要職に就いている者たちのみが出席していた。婚約宣言や陛下の承認、婚約証明書の記入や婚約指輪の交換など、決められたタスクを淡々とこなしていくスタイルだ。この後はアランデル王城のテラスから民衆に向けて姿を見せて、手を振ってご挨拶をすれば終わりである。


「エレノア、立てる?」


リヒトが笑顔で右手を差し出す。


「はい。もうひと頑張りですね。」


エレノアが手を取り立ち上がり、メアリが素早くドレスを直す。白い総レースのマーメイドドレスに、チュールのボリュームのあるトレーンが広がり、美しくも可愛さもある。隣国のサロンにオーダーして作ってもらったドレスだ。


「綺麗だよ、エレノア。」


リヒトはエレノアの手の甲に唇を当てる。それだけで絵になりすぎていて、真っ赤になったサンドラから声にならない悲鳴が上がる。


「あ、りがとうございます。」


もちろんエレノアの顔も赤いが、だいぶ耐性がついてきた気がする。


「さあ、行こうか。」

「はい。」


ふたりは笑顔で見つめ合い、そのままリヒトに手を引かれてテラスへ向かう。扉を開けた瞬間、割れんばかりの拍手と歓声に包まれ、ふたりは祝福を受ける。少し落ち着いたところで、文官から婚約式が無事に終了し、ふたりが正式に婚約をした事を報告。そして、約半年後に結婚式を行う事を発表した。再び、拍手と歓声に包まれ、エレノアとリヒトは笑顔で手を振ってそれに応える。ふたりの手はずっと繋がれたままだった。

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