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【完結済】守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
四章.エレノアの覚悟

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59.レオナルドの恩返し

その数日後、国王陛下の発表により、リヒトの18歳の誕生日にリヒトとエレノアの婚約式を行い、エレノアの誕生日に結婚式を行う事が公となった。結婚式まで、残り1年ちょっとである。大人気となった英雄エレノアを、『何処にもやらないぞ』とリヒトと陛下が焦った結果、成人したその日に結婚するという忙しない日程となってしまったらしい。おそらくロレーヌ侯爵と兄たちも手を貸しているのだろう。


「へー、何か急展開だな。いよいよ逃げれなくなったな。」

くつくつと笑っているのはレオナルドである。マーメイドカフェのバックヤードで数日ぶりに再会した。


「笑い事じゃないんですけど……。この数日間、めちゃくちゃ忙しかったんですから。」

エレノアはぐったりと机に倒れこんでいる。


「まあ、そうだろうな。アダムの城が完成したのに、エレノアからは何日も連絡がないから、このまま一生放置されるんじゃないかと思っていたよ。」

レオナルドは土人形が運んできた紅茶を優雅に飲みながら、くしゃりとした笑顔でグサリとエレノアを攻撃する。


「うぅ……。その節は申し訳ございませんでした。魔石の供給源が確保できた事で、店に帰らなくてもいいという認識になり、レオ様の事はすっかり……。」

「すっかり?」

「……忘れておりました。このご恩は一生忘れません。」

エレノアはテーブルに頭を打ちつける勢いで頭を下げる。


「あはは……そんなのすぐに忘れていいよ。これで俺の恩返しも終わった事だし、そろそろヘレンツェに帰るね。」

レオナルドはエレノアの頭をポンポンと撫でる。エレノアは一度顔を上げてレイモンドと目を合わせ、今度はゆっくりと首を垂れる。


「長い間、ありがとうございました。」

「うん。俺もたくさん助けてもらったからお互い様。これからも、隣国の王族同士、協力していけたら嬉しいと思う。」

軽薄な雰囲気を引っ込めると、途端にレオナルドは王太子の顔になるから不思議だ。初めて会った時のレオナルドを思い出す。


「こちらこそ、末長くよろしくお願いいたします。」

顔を上げたエレノアは笑顔でレオナルドは握手を交わし、レオナルドはヘレンツェへと帰っていった。「結婚式の招待状待ってるよーっ。」と呑気な言葉を残して。エレノアは頬を引き攣らせながら手を振って見送った。




「さて、今まで逃げ回っていたツケを払いにいきましょうか。」

重い腰を上げたエレノアは、自身のカフェ4店舗を順番に周り、「店の事は頼みました。」と全ての土人形たちにお願いした後、ロレーヌ邸への転移陣へと向かった。土人形への魔力供給はアダムが行い、店は土人形たちが回す。畑や果樹園の手入れは元々土人形が手分けして行っていたし、買い出しも慣れた土人形であれば問題ないだろう。人件費も材料費もほぼかからない店舗ばかりのため、経営状態を考える事もない。リヒトが国防拠点だと言い張っているため、何なら予算も回ってくるだろう。エレノア不在でも店が回るシステムが構築されて、いよいよエレノアは王太子妃になるべく準備を始めるのであった。


「とりあえず……何から始めればいいんだっけ?」

逃げ回りすぎた結果、何をすればいいかすら分からないエレノア。ひとまずは王城に戻ってリヒトに相談する事にした。

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