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【完結済】守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
四章.エレノアの覚悟

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56.誰の凱旋ですか?!

凱旋パレードの準備のため、当初サルヴァ山へ向かったメンバーとも途中の街で合流し、全員揃って王都に入った。そして、もちろんメンバー全員に賛辞が贈られると思っていた。


「エレノア様ーー。」

「救世主エレノア様!」

「エレノア様、可愛いー。」

「ありがとうございます、エレノア様!」

王都のメイン通りにある集まる人々。彼らにはエレノアしか見えていないのかと思うほどのエレノア大合唱。


「これは、話が違うんですけど……。凱旋パレードの同伴のはずでは?」

「私はそれに頷いていない。」

「すまないエレノア。」

「まあ良いじゃない。みんな無事で帰ってこれたのはエレノアのおかげなんだし、何も間違ってない。お兄ちゃんは鼻が高いよ。」


ドスッ。


「イタッ。」

エレノア、イザーク、リヒトと、同じく途中で合流したエレノアの兄でリヒトの側近であるディルクの4人がオープン馬車でパレードを先導している。民衆に笑顔で手を振りながら口を動かさずに器用に会話している。身体の死角でディルクに肘打ちを入れたのはエレノアだ。


「何がどうなって、こうなったんですか……。」

「いや、あの……。元々、暴れ魔獣が頻繁に人の居住地に出ている事は以前から新聞に出ていて……。前回の調査隊の失敗は公表していたし、もちろん今回の強行軍の出発も公表していたんだ。」

「そしたら、強行軍が出発した当日。つまりアダムをロレーヌ邸に連れて行った日から魔獣の被害がぴたりと止んだからな。どうなっているのかと問い合わせが殺到したらしく、困った兄上が丸っと端折って『エレノアが魔王封印した』と言ったそうだ。」

「陛下か……。苦情言いにくいな。」

エレノアは笑顔のまま奥歯を噛み締める。


「でも実際エレノアが封印したようなものだし……。エレノアが正当に評価されて僕は嬉しいけれど。」

「それにしたって端折りすぎです。アダムは魔王ではないですし、悪意あって魔獣を暴れさせたわけではなく、無知であっただけです。それに、私1人の力ではなく土地の使用をお許しくださった陛下の力と、陛下にお願いしてくださったイザークおじ様、アダムに1週間付きっきりで面倒見てくださったリヒト様、アダムの滞在を許可してくれたお父様、口外せず仕事をしてくれたロレーヌ邸の使用人たち。他にも誰かいた気がしますが…とりあえず皆さんのおかげで勝ち取った結果です。」

「そ、そうだな。」

「うん、そうだね。」

もはや棒読みのイザークとリヒトである。


「まあ、最終エレノアだから。」

「そうだね。誰がやったかってなると、それはやっぱりエレノアだよ。」

「エレノア、そろそろ受け入れなさい。イタッ。何で俺にだけ肘打ちが入るの……。」

ディルクは余計な事は言わない方が良さそうである。


ちなみに、途中で立ち寄った屋敷で、ピカピカに磨き上げられて式典用の騎士服を着せられたエレノアはとても気高く美しい。そして、文句を言っている間も笑顔を絶やさなかった。




パレードが無事に終わりふぅとひと息ついていたところで、ガシリと両脇からふたりの王城使用人に掴まれる。

「失礼いたします。」

「エレノア様はこちらに。」

「へ?」

「ごめんね、エレノア。」

目の前のリヒトがめちゃくちゃ申し訳なさそうな顔をしている。そしてエレノアはそのまま王城の中に引き摺り込まれていった。

「えぇーーー!どこに連れて行くんですかーーー!」

今日のエレノアの仕事はまだまだ終わらないらしい。

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