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【完結済】守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
三章.サルヴァ山の元凶

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55.アダムのお礼

数時間後、使用人がエレノアたちを呼びにきた。アダムが起きたらしい。3人はアダムの寝室に向かい、そこで使用人のリーダー(意思疎通できる土人形)たちを紹介した。その後はアダムの居住スペースを案内して、城全体の説明を行った。


「何かあったら使用人たちに言ってね。私たちもちょくちょく顔を出すから。ゆっくり休んでね。」

「…俺は。」

「ん?」

「俺は何をすれば良い?」

「え?」

「何か返したい。お前に。」

「…?お礼ってこと?」

「そうだ。」

「えぇ!いいの?本当に?めちゃくちゃ助かる。」


エレノアはアダムの手を取って喜ぶ。


「魔石に魔力の補充をお願いできる?」

「は?」

「嫌かな?疲れる?」

「いや、そんな事はない。そうじゃなくて、そんな事で良いのか?それでお前は嬉しいのか?」

「すごく助かる!私と契約魔法結んでるから、魔力が私のと似たものになってるはずなの。だから、アダムの魔力でも私の土人形ちゃんたちを動かせると思う。そうすれば、この城はアダムが生きている限り稼働できるし、城の保護魔法も効き続けると思う!それに、魔石が余ればカフェでも使えるわ。一石二鳥どころか、三鳥も四鳥も役に立つのよ!」


アダムの手をブンブンと振りながら喜ぶ。


「それは良いね。エレノアがずっと城やカフェに縛り付けられていると困るし。」


リヒトも頷き同意する。


「それにきっとアダムの方が長生きだから、私がいなくなった後のことも心配だったの。魔力供給元さえ維持できれば、何とでもなる!」

「おい、勝手にいなくなるなよ。」

「もちろん、すぐにいなくなるわけじゃないけど。子どもの未来のことは、親としては心配なのよ。」

「いつから俺の親になったんだ…。」

「ふふ、まあ良いじゃない。とにかく嬉しい!私を喜ばせようとしてくれた事。ありがとう。」

「…あぁ。」


エレノアがお礼をいうと、アダムは照れくさそうに返事をする。そんな姿が可愛くて、エレノアは目を細めて微笑んだ。そこから魔石の補充の仕方と、保管場所をアダムに伝え、ロレーヌ邸への転移陣の隣にシンデレラカフェへの転移陣も追加で設置した。


「せっかく作らずに、毎朝飛んで出勤してたのに…。こんな事ならもっと早くに作っておけばよかった。」

「どうして繋げておかなかったの?」


リヒトが不思議そうに尋ねる。


「それはその…。えっと…。」

「覚悟を決めたからだろ?エレノア。」

「え?」


言い淀むエレノアにイザークが助け舟を出したが、リヒトはまだ真意を読み取れない。


「これが終わればカフェには戻らないつもりだったんじゃないのか?本拠地をロレーヌ邸、もしくは王都にするためカフェとは繋げなかった。」

「そうなの?エレノア。」


リヒトは驚き、エレノアを見る。


「…そうです。この転移陣も私が使うために作ったのではなく、魔石のやり取りに使うために作りました。落ち着いたら新しいオーナーを探してお譲りするつもりです。」

「…。」


リヒトは眉を下げて俯く。


「そんな顔しないでください。これは私が決めた事。十分自由にさせてもらいましたし、好きな事もさせてもらいました。元から期間限定のつもりでしたし。」


エレノアはニコリと笑い頷く。


「さあ、やる事もなくなりましたし、そろそろ帰りましょう。」


そう言って転移陣に向かうエレノアをリヒトとイザークが引き止める。


「ちょっと待った!ロレーヌ邸に直接は帰れないんだ。」

「いろいろ事情があって、少し遠回りして帰るね。」


慌てるイザークと眉を下げて笑うリヒトを見て、エレノアはピンとくる。


「ああ、凱旋パレードでもするんですか?」

「…まあ、そんな所かな。」

「今更嫌がったりしませんよ。覚悟を決めたって言ったでしょ?凱旋パレードの同伴なんて大した事ないですよ。」


エレノアの言葉に明らかに顔色が悪くなった2人だが、アダム城にいつまでもいても仕方がないので、とりあえず遠回りの帰路に就いた。

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