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【完結済】守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
三章.サルヴァ山の元凶

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54.アダム城お披露目会

「ジャーン。」


エレノアが自信満々に披露したアダムの寝室。


「すごいな…。」

「え、これ作ったの?」

「…。」


リヒトとイザークの驚きの声とは裏腹に黙ったままのアダム。心配になったエレノアが顔を覗き込むと、その瞬間、アダムの身体が白く光初めて、その光がだんだん大きくなる。そして一気に弾けて、次の瞬間にエレノアの右手に吸収された。


「え?」

「何?」

「…。」


皆が驚く中、エレノアはふふふと笑います。


「契約魔法、本契約いただきました!」

「「おお。」」


リヒトとイザークはパチパチと拍手している。


「まあ、いいんじゃない?あの洞窟に比べれば100倍マシ。」


アダムは部屋をぐるりと見て周り、最後にベッドに腰掛けた。


「100倍どころじゃないはずよ!ベッドは私が魔術式組み込んでるから、すごくよく眠れると思うわ。」

「…ありがとう。」

「ふふ、喜んでもらえてよかったわ。」


アダムがお礼を言ったことに、リヒトとイザークは驚愕の表情をしているが、エレノアは普通に嬉しそうだ。


「誰かに何かをしてもらう…。そんなの初めてかもしれない。」


アダムがポツリと言う。


「そうなの?じゃあ、これからはいっぱい甘えるといいわ。私もリヒト様もイザークおじ様もいるし。」

「…悪い、眠たくなってきた。」

「そりゃそうよ。そういう風に作ってあるから、そのベッド。」


ふふん、と自慢げにエレノアは言う。


「じゃあ、私たちは部屋を出ていくから、起きたらそのベルを鳴らして。私の使用人(土人形)ちゃんがすぐに来るから、何でも伝えてね。私たちに用事がある時も伝言してくれたらできるだけ早く向かうわ。」

「わか…た…。…すぅ…すぅ。」


頷くと同時にベッドに倒れ込み、すぐに寝息が聞こえてきた。


「寝たな。」

「寝ましたね。」

「一旦、部屋を出ようか。」


3人は静かに部屋を出ると、エレノアが城を案内しながら応接室に向かった。


「この1週間、アダムの様子はどうでしたか?」


ソファに腰掛け、お茶が運ばれてきた所で、エレノアがリヒトに尋ねた。


「とても大人しかったよ。ほとんど寝ていたけれど。用意した食事も摂っていたし、お湯を用意したら湯浴みも自分で行っていた。」


リヒトは穏やかに微笑みつつ答える。


「そうですか。」


エレノアは驚きつつも嬉しそうだ。


「着替えも自分で行えるようなので、ほとんど手がかからないかも。リネンや服も魔法で綺麗にできるから洗濯も要らないと言われたけど、どれくらいの頻度で行なっているのか分からないから、それは使用人に交換してもらった。」

「なるほどですね。」

「ベルを鳴らせば使用人が来ることも理解したようだし、ロレーヌ邸でいいシミュレーションになったかと。まさかこんなに大きな城が完成してるとは思わなかったけど…。」


リヒトは苦笑いを浮かべる。


「う…。ごめんなさい。」

「いや、リヒトは怒っているわけではないよ。それはもう、とても驚いたけどね。」

「大きな建物の方が、中心部にある寝室への外部からの睡眠の障害を防げるのと、目立った方が間違って近付いてしまう人も少ないかと…。デザインは完全に私の趣味です。」

「うん、とても素敵だと思うよ。コストと維持費が気になるところだけどね。」

「人件費はゼロで、資材は自分たちでほとんど作ったので、建設費という意味では大してかかっていません。【劣化防止】の魔法を城全体にかけていますし、土人形ちゃんたちを100人常駐させるので、修繕も彼らが行います。私が生きている間は維持費もほぼかかりません。それから、中の装飾品や美術品、書物などは出世払いさせていただきます。」


エレノアはひと息に言い切ってから、勢いよく頭を下げる。


「装飾品と美術品に関しては、城の倉庫に眠ってたのを掻っ払ってきたから費用は気にしなくていい。」


イザークが何でもないことのように言う。


「イザークおじ様、ありがとうございます!」

「書店の買取費用だけ、対応お願いできるかな?」


リヒトは困ったように笑う。


「あんなに大量な本、どこから持ってきたのか不思議だったんですが、書店ごと買い取ってくださったんですね。リヒト様も、ありがとうございます!」

「ちょうど、店を畳もうとしていた老夫婦が経営する書店があったから、そこを買い取らせてもらった。需要と供給がピッタリ合ってよかったね。」


リヒトの笑顔を見てホッと胸を撫で下ろすエレノア。書店の買取費用だけであれば、店の利益とエレノアの私物を売れば何とかなるか…と頭の中で密かに計算を始めるのであった。

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