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【完結済】守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
三章.サルヴァ山の元凶

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49.エレノアのカフェをご存知ない?

「しかし、1週間経った後はどうするつもりなんだ?」

ロレーヌ侯爵は首を傾げる。


「私が1週間で建てる家に住んでもらいます。約束なので。」

エレノアは紅茶を飲みながら、こともなげに答える。


「は?1週間で家は建たないだろう。」

「いえ、いつも一晩で店舗兼住宅を建てているのでおそらく大丈夫です。」

ロレーヌ候の眉間の皺がさらに深くなる。


「エレノア、お前いったい外で何を……。」

「エレノアのカフェをご存知ないのですか?飛ぶ鳥を落とし続けて国内飲食店トップの売り上げを誇る人気店ですよ。国防拠点も兼ねています。」

エレノアの代わりにリヒトが笑顔で答える。


「国防拠点は兼ねていませんが、お父様も是非いらして下さい。」

「悲しい事に、我が娘が待機しているという事は国防拠点も兼ねているのであろうな……。」

「とても助かっています。」

にこやかなリヒトに対して、ロレーヌ候は顔色が悪い。「結婚までは自由にさせるという約束だったが、自由すぎる……。いやしかし……。」頭を抱えて、ぶつぶつと呟いている


「アダムに契約魔法がかかっているとは言え、何かあっては困るので、僕も1週間はここに滞在しますね。」

「ああ、ありがとう。それは助かる。最大限のもてなしをさせていただこう。」

「ここであれば、攻撃魔法は使えないし、アダムにとってもゆっくり休める環境を与えられるわ。」

「その条件で言えば王城でも構わないのですが、出入りする人も多く、流石に魔王を匿っていたとなると…本当に申し訳ありません。迷惑をかけているのはこちらの方なので、どうかお構いなく。」

「そういうわけにもいくまい。まあ、公にできない事には変わりないが、ルドルフが機転を利かせて使用人を下がらせたから、アダムを間近で見たものは少ないだろう。人の出入りもこちらの方が制限しやすい。」

ロレーヌ侯爵の表情も少し和らいできた。


「そう言えばイザークおじ様、遅いですね。」

「確かに。陛下が許可を渋るとは思えないが……。」

ロレーヌ侯爵の眉がピクリと上がる。


「エレノア、イザーク様と陛下にまでご迷惑をおかけしているのか?」

「お父様、誤解です!」

エレノアとリヒトは慌てて弁明する。

「アダムの家を建てるために、サルヴァ山の一角の使用許可を取りに行ってもらったのです。」

「他の騎士たちはすでに退避させていたため、イザークおじ様が適任かと……。」

「それはまあそうだな。」

ロレーヌ侯爵が納得したところで、ふたり安堵のため息をつく。


「なあ。」

ここまで大人しく一言も発しなかったアダムが声を出した。


「あいつ、俺たちがここにいる事知らないんじゃないのか?」

「「えっ?」」

「あいつが転移陣に消えた後に、俺たちも移動先を決めて移動しただろ。あの山で待ってるんじゃ…」

「あーーーーーー!」

「う、うるさい。」

「声が大きい、エレノア。」

アダムとロレーヌ侯爵は耳を塞ぐ。1番近くに座っているリヒトだけは表情を崩さない。


「確かに。気がついてくれてありがとう、アダム。新しいお家楽しみにしててねー。」

ヒラヒラと手を振りながら出ていくエレノアにリヒトが声をかける。


「待って、エレノア。王城の転移陣を使う?」

くるりと振り返ったエレノアはニコリと笑う。


「ロスタルへの転移陣を使うので問題ありません。アダムと侯爵家をよろしくお願いします。」

リヒトは笑顔で頷く。その向かいで、「ああ、北の国防拠点か……。」とロレーヌ侯爵は呟く。それと同時にエレノアが彼に視線を向けたため、ロレーヌ侯爵の肩がビクリと揺れた。


「心配ばかりかけて、面倒ごとばかり運んでくる娘でごめんなさい。でも、これが終わったらきちんと自分のいるべき場所に戻ります。アダムとリヒト様をよろしくお願いします。」

エレノアが頭を下げたので、ロレーヌ侯爵は驚愕の表情を浮かべていたが「……気をつけて行ってきなさい。」と何とか声を絞り出した。


「行ってきます!」

そう言ってエレノアは元気に出て行った。しかし、エレノアの言葉をどう受け止めればいいか分からず、ロレーヌ侯爵は複雑な面持ちであった。

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