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【完結済】守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
三章.サルヴァ山の元凶

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48.エレノアのお願い

3人がやってきたのは王都のロレーヌ邸であった。


「お父様は邸内にいらっしゃるかしら?すぐに会いたいの。お願いがあって。」


転移陣から出てきエレノアたちを1番最初に出迎えた執事のルドルフに声をかける。


「エレノア様、リヒト様ご無事で何よりです。ご主人様は執務室にいらっしゃいます。お声をかけて参ります。」


ルドルフはアダムの姿に驚きながらも、エレノアの慌てる様子を見てスルーする事にしたようだ。


「いいえ、急いでいるから結構よ。私たちが向かうわ。」


リヒトがいるため、本来は客間に案内して主人が出向かなければならないが、エレノアの様子を見てルドルフは引き下がる。


「…かしこまりました。」


エレノアは真っ直ぐ執務室に向かうと、その扉をノックした。


「お父様?エレノアです。戻りました。少しお時間ありますか?」


ガタンッと音がして、バタバタバタと走る音が聞こえた。そしてバンッと思い切りドアが開く。


「エレノア!無事だった…か…?」


エレノアを見て一瞬喜んだ父であったが、リヒトとその横のアダムを見て固まった。


「な、なんだその子は…。」


アデルはその禍々しい魔力がなく、喋らなければ5歳くらいの子どもに…見えなくもない。


「その説明はこれから。中に入っても?」

「いや、出来れば応接室に…はい、どうぞ。」


ロレーヌ侯爵はエレノアの迫力に負けた。執務室にあるソファに座り、4人でテーブルを囲む。すぐさま使用人によりお茶とお菓子が運ばれてきた。ルドルフが指示したのだろう。


「さて、エレノア。この状況を説明してもらおうか。殿下が黙ってついてきてくださっていると言うことは、全てお前の仕業であろう。」


エレノアが話し始めようとするのを制してリヒトが先に口を開く。


「エレノアがいなければ、今この時間、僕たちはもうここに存在すらしていなかったかも知れません。全面的にエレノアに頼る事になり、感謝してもしきれません。厄介事をロレーヌ邸まで持ち帰った事、誠に申し訳なく思っておりますが、その責任は全て僕にあります。」

「ふむ…。」


王太子にここまで言われては、ロレーヌ侯爵はそれ以上エレノアを責めることはできない。


「この子、アダムは魔王です。」

「エーレーノーアー!」


そんな事はなかく、がっつり責められようとしている。


「お父様落ち着いて下さい。」

「落ち着いていられるか!やっと魅了の魔力が落ち着いたと思ったら、次から次へと…はぁ、もういい。続きをどうぞ。」


笑顔で落ち着き払って正面に座る娘を見て、父は諦めた。


「アダムは魔王と呼ばれるような存在であったと思われますが、おそらく弱体化させられてサルヴァ山まで逃げ込んできたのでしょう。回復するために眠りたかったが、うまく眠れず、癇癪を起こして魔獣を操って今回の騒動を起こしていたようです。」

「ふん…。」


アデルはそっぽを向く。


「しかし、今は何故こんなに大人しい?」

「それは、契約魔法の副作用だと思われます。」

「契約魔法?初めて聞くが…」

「遠く離れた外国の魔法です。元々は従魔と契約する時に使われている魔法…従属の効果が出ているというところかな。」

「ええ、恐らく。だから契約期限の1週間は大人しくしていると思います。」


エレノアはリヒトに向かって大きく頷く。


「それで?まさかこの魔王をロレーヌ邸に滞在させる許可が欲しいとか言わないよな?」


ロレーヌ侯爵は眉間に深い皺を寄せながら確認する。しかし、エレノアの答えはきっと分かっている。


「ご明察。その通りです!」

「…はぁ。」

「お願いします、お父様。」

「そうだな、娘が命をかけて戦っているのだ。私も腹を括ろう。しばらくここにいると良い。」


ロレーヌ侯爵は苦い顔をしながらも首を縦に振る。


「ありがとうございます!」

「ロレーヌ侯爵、感謝いたします。」


エレノアとリヒトは顔を見合わせ頬を緩ませた。

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