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【完結済】守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
三章.サルヴァ山の元凶

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46.エレノアの不眠相談

「不眠?」

「俺と対峙して、まずその会話拾うかな?変わってるね、お前。」


漆黒の髪に赤い目をした子どものような何か。いかにも『弱体化して子どもの姿になった魔王』といった風貌をしており、実際にそうなのだろうとエレノアは思う。しかしその唇からは全然関係のない言葉が紡がれる。


「眠れないの?」

「…そうだ。だから周りを静かにさせるために魔獣を操って放っていたのに、追い返されてくるし、変な集団が山を登ってくるし、もう散々だ。」


魔王の風貌をした子どものような何か(以後、子ども魔王)は吐き捨てるように言う。


「サルヴァ山は元々とても静かな山よ。何もしなければ、こんな奥地までやって来る人はほとんどいないわ。」


エレノアは肩をすくめて答える。


「俺のやっていた事は無意味だと言いたいのか!」


子ども魔王はエレノアを睨みつける。


「ええそうね。武力の小さな国であれば、怯えて山から遠ざかる選択もあったかもしれないけど…あいにくここはアランデル。周辺国と比べても魔力が高い者が多く、騎士団のレベルも高い。暴れ魔獣もその原因も放っておく事はないわ。」

「ハッ…。じゃあ、この国丸ごと消し去って静かにしてもらおうか。」


子ども魔王は右腕をおもむろに上げて、エレノアの方に手のひらを向ける。


「却下。」


何か魔法を出そうとしているのは明確だが、エレノアは微動だしない。


「は?お前は俺が怖くないのか?」

「ええ、全く怖くないわ。得体の知れない不気味さはあるけどね。」


全く動じることのないエレノアを見て、子ども魔王は目を細める。睨む以外の表情が初めて出たなとエレノアは思う。


「面白いなお前。じゃあ、お前が死ぬまでずっと俺のそばにいろ。そうすれば眠れなくても退屈しない。」

「絶対に嫌です。」


今度はエレノアが子ども魔王を睨め付ける。そんな事をしたら絶対にリヒトに怒られる。


「くくく、最高だな。絶対に連れて帰ろう。」


子ども魔王がゆっくりと前に進み出した所で、エレノアがようやく動く。指でピースサインを作って前に突き出す。


「私が貴方に提案できるプランは2つ。ひとつ目は貴方と私、相打ちで2人とも消える。ふたつ目は貴方に安眠できる場所を提供する。どちらがいい?選んで。」


子ども魔王はぴたりと歩みを止める。


「おや、ふたつ目の要求を飲まなければ、相打ちで俺を殺せるっていう脅迫かな?いいね、さらに面白くなってきた。」


子ども魔王はニヤリと笑った後、少し考えるそぶりをする。そして、ゆっくりと答える。


「…1週間やろう。その間に眠る場所を提供できなければ、お前を死ぬまで拘束するからな。」


エレノアは無言で目線を左下に落としてから、ピースサインを握り込む。そして再び子ども魔王を見つめた。


「ええ、分かりました。では、こちらもお約束ください。『1週間で貴方の安眠できる場所を提供する。提供出来れば、もう2度と魔獣を操ったり、人々や国にも被害を与えない』…と。」

「ああ、約束しよう。」


子ども魔王は頷いた。その言葉を聞いた瞬間、エレノアは両手の平をパチンと合わせて目を瞑る。


「【締結】」


すると、エレノアと魔王の周りにキラキラと光が現れる。そしてその光はそれぞれの身体の中に吸収されていった。


「は?」


子ども魔王は目を見開き固まる。エレノアはその体勢のままゆっくりと瞼を開ける。


「ふふふ…ご契約ありがとうございます!」


エレノアはニコリと笑った。

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