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【完結済】守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
二章.ヘレンツェの王太子

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39.レオナルドのトラウマ

物心ついた時から、俺は勘が良かった。王家の特性を受け継いだ事を嬉しく思ったし、それは誇りだった。何かトラブルが起きた時は真っ先に解決策を思いついたし、誰かが行方不明の時は何処にいるか言い当てることが出来たし、物が無くなった時もすぐに見つけ出すことが出来た。物語のヒーローになった気分で率先して解決に動いていた。




しかし、成長して行くにつれて自分の能力に疑問を持つようになってきた。その能力はトラブルが起こった後にしか発動しないのだ。トラブルが起きないようには出来ないし、誰が行方不明にならないようにも出来ないし、物が無くならないようにもできない。


そして、ついにその能力に嫌悪を抱く事件が起きてしまう。友人の宝物が無くなったと言うので一緒に探したところ、レオナルドはその能力ですぐに宝物を見つけた。しかし、それに対して友人が自分に放った言葉は感謝の意ではなかった。


「そんなにすぐ見つけられるなんておかしいよ!レオが隠したんじゃないの!?」


今まで向けられたことのない軽蔑の目。そして投げつけられた鋭い言葉にレオナルドのは何も言い返すことが出来なかった。この時、レオナルドは7歳。





それから、レオナルドは自身の能力を使う事を躊躇うようになった。また犯人扱いされるかも知れない。完全にトラウマとなってしまったのだ。それからは家族の前だけで密かに使うのみとなっていた。そしてその事がまた、レオナルドの心を深く傷つける事件を起こしてしまう。また別の友人の姉が誘拐されたのだ。しかし、レオナルドは怖くて能力を使う事はできなかった。1週間後、友人の姉は無惨な姿で発見された。レオナルドが能力を使ったとしても間に合わなかったかもしれない。だが、彼がさらに塞ぎ込んでしまうのには十分な事件だった。


レオナルドの能力、もとい王家の能力は国民には公にされてはいない。その能力を持った者が生まれた時代には、ヘレンツェに厄災が起こると言い伝えられているため、国民を悪戯に不安にさせないようにと配慮されている。そのため、友人の姉の死に関してレオナルドが攻め立てられる事はなかったのだが、周りが自分に向ける視線が怖くなり外出すら出来なくなってしまった。まだ10歳のことだ。





そんなレオナルドを心配した両親は、アランデルへの留学を勧めてくれた。11歳となり一年遅れでアルバストル学園へ入学すると、そこでは驚くことばかりだった。アランデルではその貴族のほとんどが魔法を使えるため、全員がいろいろな特性を持ち、それを皆が誇りに思っていた。


中には魔力を暴走させて友人を怪我させてしまったり、校舎を傷つけてしまったりする事件も少なくなかった。しかし、それは魔力が多いゆえ、成長途中なゆえ起こる事。それに対して責め立てる者や、それをきっかけにトラウマになる者もいない。なんとも素晴らしく、レオナルドにとっては奇妙な世界だった。


そして、成長するにつれて、それぞれの個性は大いに人の為に役立つものとなり、実際にそう言う場面に多々遭遇した。高いところから降りられなくなった動物を風魔法で助けたり、火事を水魔法で消したり、魔獣に襲われているところを炎魔法で撃退したり、怪我をした人を白魔法で治したり。本当に素晴らしいと思った。人を何かを傷つける可能性のあるものも、上手く使えれば人の役に立つのだと気がついた。そして、自分の能力も同じように使えるのではないかと、そう思えるようになっていった。





良い学友ばかりに恵まれたが、同じ王族であるリヒトとは特に話が合い、色々な話をした。自分の能力と、それによってトラウマになるような事件が起きた事も聞いてもらった。


「レオの能力は素晴らしいよ。何か困った事が起こった時、それを解決するためのベストの答えを1番早く見つけられるのだから。王族として1番欲しい能力だ。」


そう言われて、心にかかっていたモヤのような物がブワッと晴れていくのを感じた。身体が軽くなり、涙が溢れてきた。ああ、自分は許されたかったのだ。誰かに認めて欲しかったのだ。そして、それはリヒトによってもたらされた。彼とはこれからもずっと、今後国に帰り離れ離れになったとしても、末長く友でありたいと強く思った。


そしてその時は突然やってくる。


「両陛下が外交に向かわれる途中、悪天候にみまわれ、乗っていた船が行方不明となっております。船乗りたちが懸命に捜索しておりますが見つからず。恐らく…。」

「そうか…。」


両親の訃報だった。すぐに学長室へ向かい、退学届を出して在学中の感謝を伝えた。時間がなかったため、リヒトにだけは別れを告げて、その日のうちに馬でヘレンツェに向かった。不思議と悲しみは湧いてこなかった。


「俺の能力はこの為に備えられていたのだろう。今度こそ正しく使わなければ。両親のためにも。」


ヘレンツェに帰るとすぐに、公務を開始した。その能力により次から次へと頭の中に浮かんでくるタスクをこなしていく。そして、頭にリヒトの名前が浮かんだ瞬間、迷いなく助けを求めた。


彼はエレノアと共に翌日にはヘレンツェに入り、あっという間に解決した上で、両陛下の救出までやってのけた。彼らは正しくヘレンツェの救世主だ。ヘレンツェは未来永劫アランデルの味方であるし、個人的にもリヒトとエレノアには、生涯をかけて恩返しをしていきたい。そう強く思った。


そしてその決意によって、とんでもなく面倒な事に次から次へと巻き込まれていく事になるとは、この時のレオナルドはまだ知る由もなかった。

お読みいただきありがとうございます!

ここで二章完結です。

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