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15 都立小金井公園




 自転車に乗り続けているとやがて緑が視界に入って来て、ゴルフコースを横切った。ここまでくれば公園はもうすぐだ。


 小金井カントリー倶楽部は1937年に誕生した歴史ある名門ゴルフ場で日本一会員権が高いゴルフ場として知られており、プレーヤーには年齢制限があって男性は三十五歳以上でないとプレーできないそうなので敷居が高い。雄太が子供の頃に父の進にあそこでプレイしないのかと聞いたら苦笑いで返されたが、そういった事情があるからだ。


 最も進は気を遣うから付き合いでコースに出るのはさほど好きではなく、打ちっぱなしの方が性に合っていると笑っている。練習であーだこーだと考えながらやるのが好きなのだそうだ。


 雨の夜でも燦然と輝き、色で明日の天気を教えてくれる田無タワーの近くには打ちっぱなしのゴルフ場があるので、今度父と一緒に行くのもいいなと思う。しかしその場合はタクシーを呼ばなければいけない。いっそのこと車を買ってしまうか。だがその前には免許がいるなと考える。


 小金井街道を左に曲がって気持ちのいい新緑の道をぼんやり考え事をしながら進んで行くと、やがて小さな建物の裏側が見えてきた。これは江戸東京たてもの園の区画だ。


 江戸東京たてもの園は現地保存が不可能である文化的価値の高い歴史的建造物を移築し、復元や保存、展示するとともに、貴重な文化遺産として次代に残していくことを目的としている施設で、東京都江戸東京博物館の分館である。


 観覧料を払えば入園できて江戸時代からある和風の建物から近現代建築物まで間近で見ることができるが、今日はどちらかというと遊びにきたので、周りを見るだけにとどめておくことにする。


 やがていこいの広場とこどもの広場の前にきて、左右のどこに行くか迷ったが、とりあえず右を選んでぐるりと公園内を一周してみることにする。


 上を見れば瑞々しい緑の水面が風に吹かれてザアザアと音を立てて歓迎してくれているようだ。一本一本の木も大きくてクロエも瞳を輝かせてキョロキョロしている。普段ごみごみとした街中にいるとここは別天地のように見えるだろう。視界に入るものは見渡す限り緑色だ。都会の外れにあってもこれだけ植物に囲まれた空間というのは珍しいだろう。


 たてもの園前広場を通って桜の園、蒸気機関車展示場の前を通る。中に入ってみたくもあったが、SL展示場は土日祝日、都民の日のみ公開されており平日には入れなかったので断念した。


 先を進むと今度は右手にそば茶屋なるものがあり、雄太はそういえば日本に帰って来てからそばを食べていないなと思った。クロエのような子供が好きな味かと言われれば微妙だが、後で寄ってみるのも悪くわないなと思いつつ自転車を走らせ第一駐車場を越え、体育館前へ。


 小金井市総合体育館はバスケットボールコート、利用可能な大体育室、小体育室、幼児体育室と柔道場、剣道場、トレーニング室、温水プール、ランニング走路まで備えている施設だ。近くには弓道場もあり、和弓とアーチェリーの行射ができる。


 左手には売店とサイクルセンターがある。そして見えてくるわんぱく広場。


 平日の昼というのに子供達が集まっており、嬉しそうな声を上げている。わんぱく広場は遊具が沢山あり、小さな子供達が思う存分遊べる環境が整っている。大型遊具にはロッククライミングや距離が短めのターザンロープなどがあり、滑り台の登る部分も石になっているので遊び心をくすぐられる。色んな遊具があるので子供達が自分で選んでチャレンジできる。3歳くらいまでの児童が遊びやすい動物の乗り物や砂場、ブランコ、緩やかなローラー滑り台などもあるので保護者も安心して見ていられる。


 ここで少し遊んでいこうと言い、自転車を停めてクロエと雄太はターザンロープの列に並んだ。順番を待っていると、前の子がスピードに驚いたのか途中で手を離してしまい、怖いと言って泣きながらお母さんに抱きついて慰められていた。まだ少し早かったのかも知れない。クロエの番が来たのでロープを掴まらせて少し押すと、スーッと平行移動して無事反対側に到着した。怖がらずできて凄いねと近くにいた親御さんに褒められたので、クロエは得意満面で笑った。雄太は軽く会釈をしてクロエを片手で担ぎ、次待っている子へロープを戻した。傾斜がないのできちんと掴まれる子ならば十分遊べるだろう。


 三歳の時点で常人離れした膂力を持つクロエにはつまらなかったかなと思って聞くと、彼女はとても楽しいと言う。


「だってパパと一緒だもん!」


「そうか」


 広場の中にあるわんぱく山は文字通り小高い山になっており、アスレチック部分があり、頂上から滑り台も付いている。アスレチックには吊り丸太などの仕掛けがあるが、小さい子供でないと中に入れないので雄太は外から遊ぶ様子を眺めていた。


 わんぱく山は小さな低木が迷路のようになっている箇所があり、鬼ごっこをしている子供達もいた。幅の広い滑り台があり、クロエが余裕綽々で滑ってくる。お調子者の男の子ができるぜ! と言いながら頭から滑ってきた。これを見たクロエがやりたそうにしたが、服が汚れるからやめてと言ってやめてもらった。実際は服の汚れなんて後で魔法でなんとでもなるが、変な風に遊びを覚えてほしくなかったのだ。


 たまたま横にいたお母さんに聞くと、土日は芋の子の洗いのように混むこともあるのだそうだ。やはり平日の昼間に来たのは正解だったなと思いながら親子はわんぱく山を後にした。




 インターネットなどで小金井公園を検索してもらえると、広さや楽しさがわかるかと思います。公園回が続きます。

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