2-冒頭
「……んで? 様子見に行った二人は余裕で殺された、と…」
「はい。敷島拓郎と清井飛鳥が相手では少々分が悪かったかと。一撃で殺されてました」
「こっちだってそんなに人数は多くないんだからさぁ…しかもあっちと違って補充されないし…。せめて一人でも減らして欲しかったな…」
「どうやらあちらは新人の引き入れに成功したようです。これであちらの数は9人になりました」
「うわぁ、結構増えたな…。あんなだけ苦労して減らしたってのに…。…お前が打ち損じた所為だぞ、お前が」
「じゃかあしいわ!! ならさっきの時間で俺に行かせりゃ良かっただろが!!!」
「そうは言ってもね? お前単独行動させると何するか分からないし。まだお前に死なれたら困るんだわ」
「知ったこっちゃないわ!! 次の時間には確実にあのアマは殺す!!」
「…この台詞、何回聞いたか分からないんだけど…」
『over time』が終わり、あっちの勢力が眠りについた頃。
白亜達の洋館からは少々遠く離れた場所の、ある路地裏の扉を開くと彼等はそこにいる。
一人はソファでふんぞり返り煙草を吹かしながら気だるげに話をする男。部屋は薄暗く、顔の判別は難しいがかろうじて髪の色が青いのが見てとれる。
もう一人はその男の横に佇む背の低い女。丁寧な口調で彼に『over time』にあった事を淡々と報告している。メイド服を着ているのは座っている男の趣味であろうか。
その反対側には、機嫌が悪いのか一際大きな声で文句を言っていた男が。目付きが悪く見える三白眼と首筋の大きな傷が特徴だ。口ぶりから察するに、あの時春人を狙っていた男に相違無い。
「んー、それにしてもあの少年生き残ったのかー。この悲惨な現実聞いて逃げ出さないってのは感心しちゃうよ」
「御冗談を。彼は恐らく厄介な敵になります」
「…だろうね。この世界で最も重要なもの持ってるし。…お前に足りないものだぞ、お前に」
「やかましいわ!! 首斬れば人間は死ぬだろがッ!!!」
「うん、なんつーかお前はそれでいいわ。実績はあるし」
「脳筋馬鹿もそれなりには役に立ちますからね」
3人は楽しげに会話をしているように見えるが、裏には明確な敵意と憎悪があるように思える。少なくとも目は笑ってはいない。
そうして真ん中に座っている男は頬杖をついて溜息を吐く。
「はぁ…。どうしてこうなっちゃったのかな、白亜…」
彼等から見て相手の勢力のトップである六條院白亜の名を呟いた男の目は、少しだけ悲しげであった。




