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「…ハルって結構ゲーム強かったのね…」
「やったの初めてだったんですけど…。ゲームって凄く面白いですね」
「私が、負けるなんて…」
「うにゃー!! 悔しいにゃ!! レシウス、もっかい!!」
「残念ながら時間がない。相変わらずゲーム下手だな、桃乃」
「ふわぁ…また眠くなってきたよぉ…」
「寝るなよ、姫。大事なのはここからなんだから」
「…それでは、いい時間なのでそろそろ向かいましょうか」
夜も更けて、時計の針は午前0時を少し過ぎたところを指し示し日が変わった事を人に伝える。
食事を終えてから、各々休息を取ったり風呂に入ったりしていたが、今は全員が白亜の部屋に集合している。どうやら白亜の言った通りゲーム大会が開かれていたらしい。
部屋の窓から見える大きな月が妖しく光り、何か起こりそうな雰囲気を醸し出す。忘れてはならないのが、ここは異世界だということだ。
「そうね。いつ始まってもいいように、地下室に移動するわよ」
玉座に座っていた白亜は、先程まで使っていたコントローラーを投げ出し立ち上がる。その投げ出されたコントローラーを慣れた手付きで飛鳥が拾い上げ元あった場所に戻していく。
その光景は本当に家族のようだった。家族、というより親子、と言った方がより正しい表現かもしれない。
そんな親子のような行動を見た春人は思わず吹き出す。余りにも、それが嵌まりすぎていたからだ。
「…何笑ってるのよ、ハル」
「いえ…何でもないですよ」
「…まぁ、いいわ。表情も段々柔らかくなってきてるし」
恥ずかしそうに顔を反らしながらも、春人の事を気にかけている白亜。さっきは手のかかる子供のようであったが、今は組織のトップに見えなくもない。
このギャップが白亜の魅力であるのかもしれない。彼等が白亜の事を慕い、信頼しているの理由が春人にはなんとなく分かってきた。
「あぁ、『あれ』のお披露目かぁ。なんか使うの自体久しぶりな気がする」
「姫さんは基本的に寝てますからね。そういや、見張りはいらないんですか? 会長」
「あー、そうね。有事の際には敷島と飛鳥に出てもらうから大丈夫よ」
レシウスと白亜が不穏な会話をしているのが春人の耳に入ってくる。しかし、それほど不安ででなくなっていた。
「ハル、もう怯えてない?」
「…今更あれこれ言ってもな。もう組織の一員な訳だし」
「…うん。いい子いい子」
「だから頭撫でるな、って…」
まだ半日程しか経っていないが、春人が彼等に信用を置くのには十分過ぎる時間だった。
少し前までその場所には恐れを抱いていたが、今の春人には怯えは存在しない。
固く閉ざされていた扉が開く仰々しい音を聞きながら、彼等は白亜を先頭に中へと足を踏み入れた。




