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「…マジ?」
「残念ながらマジよ、ハル。姫はこんな格好してるし、こんなに可愛いけど男なのよ」
「…キャラ、濃すぎません?」
「…それに関してはノーコメントとさせてもらうわ」
「いやぁ、やっぱり飛鳥さんの作る料理は美味しいねぇ」
そんな会話など気にしてないかのように、食事を始めた姫は明らかにキャラが濃い。
少なくともさっきまでで、惰眠ぬいぐるみ女装男の娘まったりキャラまで見えてくる。流石に欲張りだと言わざるを得ないだろう。
というよりも容姿や格好もそうなのだが、女性にしか見えない大きな原因はその佇まいだ。仕草の一つ一つから男性らしきものの欠片も感じられない。
大きな欠伸をするときも、目を擦るときも、料理を口にするときも…なんというかあざといのだ。狙ってやっているならば末恐ろしい。
「…いつ見ても不条理にゃー。男でこんなに可愛いなんて…」
「許せない」
「これに関しては同意ですね。未だに信じられません」
そのあまりの理不尽さに女性陣は怒り心頭だ。ぱっと見た限りでも女の子らしさという点では完敗している。飛鳥でいい勝負といった所か。
寝起きで髪もロクに整っていないにも関わらず、思わず目を奪われてしまう。これが男だというのだから、恐らく世界は不条理だ。
「前から言ってるけど、ガチなんだよねぇ。あ、そうだハルさん。一緒にお風呂でも入れば分かると思うけど、どうかな?」
そうしてまた何でもないような顔と声でとんでもないことを口走る姫。その発言に春人も思わず固まる。
「それはダメ。絶対に」
それについて明確に拒否をしたのは春人ではなく雨。その目はいつになく真剣で、有無を言わさないものだった
「えぇ~、男同士なんだけどダメなのかなぁ…」
「…ダメよ、姫。貴方は例外」
「むぅ、白亜がそう言うなら仕方ないかぁ」
禁止されたのを至極残念そうにする姫。話を持ちかけられた春人は苦笑いをすることしか出来ない。
白亜に対して呼び捨てにしているところを見ると結構な古株なのだろうか。それともただ単に仲が良いのか。
呼び捨てにしたことを白亜も飛鳥も敷島も咎めない所を見ると、姫はこの組織でもそれなりに高い地位にいるのかもしれない。
「と、に、か、く! この後日が変わってから大事な集まりあるからちゃんとあんたも来なさいよ? また寝るのは無しだからね」
「んじゃ、部屋に帰らせたらどうせ寝るだろうしお嬢の部屋にでも連行するか」
「まぁ、新人君来てるしそうなるよね。りょうかーい」
「よろしい。…んー、そうね、どうせなら…各々食べ終わったら私の部屋に集合ね!! ゲームするわよ、ゲーム!!」
「スマ○ラかにゃ!? 燃えてくるにゃ!!」
「桃乃は弱いから安心していいぞ、春人君」
「私が最強」
こうしてまた盛り上がりを見せる一同に、春人も笑顔を見せる。
夜はまだ始まったばかり…。一番重要な事が春人に告げられるにはもう少し時間がかかることになりそうだ。




