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それから、数十分程洋館の中を案内された春人はある違和感を覚える。
「な、なぁ、ここの洋館広すぎないか…? 明らかに敷地面積よりも…」
そう、彼はわりと長い間洋館の中を案内されたのだが、同じ場所は行っていない。
人気の少ないところとはいえ、こんな場所にここまで大きな洋館があるのは少々不思議であった。
「…? 気にしたこと、なかった」
どうやら質問をした相手が悪かったらしい。雨は春人の質問にただただ首を傾ける。
外からの見た目は、そこまでの規模では無かったはずだ、と春人は数時間前に見た光景を思い出す。
「いや、なんというか…。…まぁ、いいか。気にしても仕方ないしな」
結果春人は気にしないことにした。よくよく考えてみれば、ここは自分が元いた世界とは別の世界。何か不思議なことが起きていても、それがこの世界のスタンダードなのかもしれない。
「取り敢えず、ここが最後」
洋館の中には様々な施設があった。
遊技場や休憩室。大きな風呂に、なんとプールまで存在していた。勿論、水は入っていなかったが。
他にも個々の部屋や図書館などがここにはあり、そこらの旅館など目ではない場所と言える。
そして、最後に案内されたのは意外な場所だった。
「ここは、地下室…か?」
春人が雨に連れられてやって来たのは、下へと続く大きな階段。奥は薄暗く、何とも言い難い不気味な雰囲気が漂っている。
「そう。今は入らないけど、後で使うから」
案内されたのは地下室への入り口までで、中には今は入らないようだった。この後入ることになるらしい。
扉は今まで見たものは少し違っているもので、鍵が厳重にかけられている。その光景が、春人に少しばかりの恐怖感を与えた。
「そ、そうか…。この後入るのか…」
まさか自分を監禁するのではないか…と一瞬考えるが、恐ろしくなり頭を振って思考をリセットする。
「怯えなくて、大丈夫。皆とだから」
「…よかった」
雨は春人が恐怖を覚えているのに気付き、フォローを入れる。その言葉を聞き春人は安堵する。
安堵した時に、気が抜けたのか春人の腹から情けない音がし、地下空間に響き渡る。
「…私も、お腹減った」
その音を聞き、雨も自分のお腹をさする。時刻は午後7時と少し前。夕食にはちょうどいい頃合いかもしれない。
情けない音を聞かれた春人は赤面したが、雨が全く気にしてないことに気付き、少し笑った。
マイペースな彼女に春人はとても安心感を抱いている…。そんな顔を彼はしていた。
「飛鳥が、料理作ってくれてるはず。行こう」
「そうだな」
相変わらず淡々とした口調の雨に先導されて、春人もその後ろに着いて歩いていった。




