第3話
「じゃあ、最初に専用ページを開設して、所定の記入をしていけばいい……と。」
真がPCと格闘を始めるのを有希は冬理を抱きながら、眺めている。
PCに向かう真は『冬理専用ページ開設の手順と各種報告用書類の作成方法』と題された
ガイド用紙を見ながら、専用ページを開設し終えると、さらに所定の情報を打ち込みつつ
専用ページの基本事項を埋めてゆく。
「住所……氏名……」
一つ一つ打ち込みながら進める作業を傍らから眺める有希は、冬理をあやしながら真と一緒に項目を目で追う。
生年月日・家族構成・・・・・等々。
一般的な基本情報が終わると、ここからは深く掘り下げた情報の入力に変わって行く。
主に育児に関すると言えば関する内容なのだが、
『希望する幼年学級、小学校、中学校、高等学校を選択してください。』
「幼年学級って保育園、幼稚園のことだよなぁ?」
項目をクリックすれば家から通える範囲にある保育園、幼稚園がリストで出てくる。
各名前の横にある「?」をさらにクリックすれば、各幼稚園等の特色も見られ、
各ホームページへと飛ぶこともできる。
小中高とも同じような仕様になっている。
「実際、冬理がどれくらいできるか分かんないしなぁ。俺と有希の子だよ……。」
何気なくつぶやいた一言だったが、有希には引っかかった。
「私の遺伝子を受け継いでるんだから、優秀に決まってるわ。」
そう言うと、チラッと真に視線を向けて、
「まあ、マイナスの要素があるとするなら、それは全部パパの分よねぇ。」
(まあ、勝手に言ってろ!)
こんな時は黙っているのがいいというのを真は経験から得ていた。
「まだ、決めていない。でいいよな?」
真はモニターと睨めっこしながら背中越しに有希に尋ねる。
「そうね……いつまでに決めればいいって?」
「どれもおおむね1年前だね……高校は中学入学時までってあるぞ。」
あちらこちらのクリックしいたり読み込んだりしながら、真が答える。
「それまでには、進路がほぼ決まるってことかな……?」
うれしい様な、悲しい様な何とも言えない表情で有希は独り言ち、抱いた冬理を覗き込む。
「でも、優しい子に育って欲しいな。」
有希の零した言葉に、真は黙って頷いた。




