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第26話「森に蠢く不穏の気配」


王国での束の間の休息もつかの間、王都に緊急の報せが届いた。


「王都北方の〈霧深き獣森〉で魔物の異常発生が確認されました!」


朝も早く、謁見の間に集められた冒険者や軍関係者たち。その中に俺たちの姿もある。


「まさか……また魔王軍の動きか?」


ヴェルミエルとの戦いから日が浅い今、この早さで次の動きがあるとは予想していなかった。だが、油断は禁物だ。


「場所が場所だ。かの森は、魔王軍と関係が深い地域だったはず……」

リリエルが小さく呟く。


かつて霧深き獣森は、先代魔王の配下が潜んでいた拠点の一つ。その名残が今も残っているとされ、未踏の領域も多く、王国も積極的な調査を避けてきたのだ。


「この件、勇者殿に調査を依頼したい」


国王の言葉に、場の空気がぴんと張りつめる。


「……王の口から『勇者殿』なんて言葉が出るとはな。雪でも降るんじゃないか」


エコーがにやけながら小声で茶化す。


「それだけ、事態が切迫しているってことさ」


俺はエコーに応えつつ、国王に一礼した。


「わかりました。調査、引き受けましょう」


◇◇◇


その日の午後。俺たちは調査隊として森の手前に布陣していた。


「しかしシン、さすがにスキル整理しておいて良かったな。いつでもどこでも氷出せるし」


「まあな。ってか、俺、スキルばっかり持ちすぎじゃないか?」


──現在の俺のスキル一覧(抜粋):

•【好感度逆転】……好感度が低いほど強力な力を発揮。上がりすぎると“ゴミスキル”が増える。

•【汚水精製】……水を汚くする。使いどころが難しいが、毒対策に応用可。

•【小動物吸引】……近くの小動物を寄せる。罠の発見に役立つ。

•【時間遅延まばたき】……目を閉じている間、周囲の時間がわずかに遅くなる。

•【歪んだ美学】……スキル使用時、自身の“見た目の印象”を使用者の美的感覚に反映させる。


「俺はシンプルに楽器の使い分けがスキルだからさ、そんなに複雑じゃないのよ。シンのスキル、読み物としては最高に面白いけど、実際に使うのは地獄でしょ?」


「否定はしない……」


◇◇◇


森の中は、静かだった。


不自然に静かすぎる。鳥のさえずりも、小動物の足音も、一切しない。


「……出るぞ、構えろ!」


俺の言葉と同時に、霧の中から這い出してきたのは――


「……植物型魔物? いや、違う、あれは……!」


花のような顔を持ち、無数の触手をうねらせる異形の魔物。明らかに、通常の魔物とは構造が異なる。


「美的感覚が狂いそうな見た目だな……!」


「それ、アンタのスキルのせいじゃないの!?」


「それもあるかもな!」


俺は氷の槍を構え、魔物の一団へと飛び込んだ。


◇◇◇


森の奥に向かうにつれ、魔物の数と強さが増していく。


だが、それと同時に分かってきた。これらの魔物、どれも“ある特定の美しさ”を模倣しているのだ。


「まさか……ヴェルミエルのスキルの影響が、森全体に広がってる?」


「彼女の“美”に対する執着が……環境さえ変えてしまった……?」


リリエルの声に、俺は確信した。


これはただの異常発生じゃない。魔王軍の、次なる手がすでに動き出している証拠だ。


「急ごう、森の奥へ。まだ終わってない」


俺たちは再び、濃くなる霧の中へ足を踏み入れた――。


次回予告


――次回、第27話「眠れる神殿の影」

•森の奥、霧に隠された古代神殿!

•シンたちが見つけたのは、ただの魔物の発生源ではなかった!

•リリエル「……何かが……目覚めようとしている……」


次回、真の脅威が姿を現す!

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