第25話「勇者のスキル、整理と新たな局面」
王城に戻った俺たちは、国王に今回の件の報告を終えた。四天王の一人ヴェルミエルを退けたことは大きな功績とされ、多少なりとも王国の評価は上がったらしい。しかし、国王の態度は相変わらず冷たい。
「……少しは、認めてやろう。だが、気を抜くな。次はもっと強大な敵が現れるかもしれん」
以前なら目も合わせたくないというほど嫌がっていた国王だが、今回は一度だけこちらをチラリと見た。好感度が僅かに上がった影響なのか、それとも戦果を評価せざるを得なかったのか。いずれにせよ、俺への嫌悪感はまだまだ強い。
それでも、一つ大きな変化があった。
「……貴様が使うことを禁止していた魔法だが、一部の使用を許可しよう」
この言葉には正直驚いた。俺は今まで魔法を封じられていた。いや、正確には“俺が魔法を使うこと自体を王国が嫌がった”というのが正しい。理由は単純、俺のスキルの特性上、好感度が低ければ低いほど強くなるという厄介な仕様があるからだ。
俺が戦闘で使っていたのは、スキルによる攻撃がほとんどだった。例えば氷を生み出す能力も魔法ではなく、スキル《氷結の呪い》によるものだ。だから、これまで魔法を扱う機会はなかった。
しかし、王国からの正式な許可が出たことで、俺は“普通の魔法”も使えるようになったわけだ。
報告を終え、王城を出た俺たちは、久しぶりにギルドの休憩所で一息ついた。これまでの戦いを振り返りつつ、持っているスキルの整理をすることにした。
「よし、今のうちに自分が持っているスキルを確認しておこう」
俺はこれまで獲得したスキルを一つずつ思い返した。
【勇者の初期スキル】
・《好感度変動》 … 好感度が数値化され、上がるほど弱く、下がるほど強くなる。
・《英雄の一撃》 … 好感度が低いほど威力が増す物理攻撃。
【ゴミスキル(好感度が上がった際に獲得)】
・《氷結の呪い》 … 触れたものを凍らせるが、魔力制御が効かず周囲にも影響。
・《不協和音》 … 自分の声が無差別に周囲を混乱させる。
・《歪んだ美学》 … 美的感覚が狂い、周囲の好感度が下がるが、一部には好まれる。
「こうやって見ると、ろくなスキルがねぇな……」
スキルの説明を聞いていたリリエルがクスッと笑った。
「でも、それをうまく活用してるじゃない。シンが工夫して戦ってるの、私はちゃんと見てるから」
「……お前がそう言うなら、まぁ悪くはないか」
すると、横からエコーが口を挟んできた。
「しかし、こうやって並べてみると、まるで呪われた勇者みたいだな! いや、すでに呪われているのか?」
「うるせぇよ」
そんな会話をしていると、ギルドの掲示板に新たな依頼が張り出された。
『緊急依頼:魔物の異常発生調査』
「魔物の異常発生か……。また面倒ごとか」
俺はため息をつきながら、再び剣を握る準備を始めるのだった。
次回、第26話「迫る異変、魔物の暴走」
・王都近郊で発生する異常現象!
・シンたちが向かった先で見たものとは!?
・「これ、ただの魔物の暴走じゃねぇな……」
次回、新たな異変が王国を襲う!




