第20話「醜い扱い、勇者の決意」
街の喧騒が静まる間もなく、何かが迫ってきている気配を感じ取った。
俺たちが向かった先は、王都のすぐ近くにある小さな町だった。
その町から、急報が届いたのだ。「魔王軍の一部が襲撃してきた」という内容だ。
魔王軍の四天王、つまり最強の幹部が動き出したのだとすれば、ただ事ではない。
「急いで行こう!」
リリエルが言うと、俺たちはすぐに馬車に乗り込み、町へと向かう。
その道中、少しでも急ぐために風を切るように馬を走らせるが、心は重かった。
襲撃が本当に四天王によるものなら、戦力差がどれほどのものかも分からない。
町に到着すると、目に飛び込んできたのは建物の破壊と、焦げた大地、そして街の人々が逃げ惑っている光景だった。
その中に、魔王軍の部隊と思しき集団が見えた。
そしてその前に立つ一人の男——その男こそ、四天王ヴェルミエルだった。
「なんだ、こいつ……?」
エコーが、目を細めながらヴェルミエルを見つめる。
ヴェルミエルは、どこか品のある姿勢でこちらを見ていたが、その目は冷たく、皮肉な笑みを浮かべていた。
彼の周りには、鋭い雰囲気が漂っている。
「どうだ、勇者。醜い街を壊し、醜い連中を蹂躙するのが楽しくてたまらないか?」
その言葉が、耳を突き刺すように響いた。
「醜い連中を消し去ってこそ、世の中は真っ当になる。」
その言葉に反応したのは、リリエルだった。
「何……?」
彼女は顔をしかめ、思わず踏み出す。
「お前、誰に向かってその言葉を吐いているんだ?」
リリエルの言葉に、ヴェルミエルはクスリと笑う。
「おやおや、よく見れば、醜い女がここにいるじゃないか。
でも、まあ、そんな顔のままでいるのはもったいない。
俺が手を加えて、美しさを引き出してやろう。」
その言葉に、俺の心が怒りに燃え上がった。
リリエルがその場で涙をこぼしそうな顔をした瞬間、俺はその一歩を踏み出す。
「お前、何を言っているんだ!」
怒りのこもった声が、ヴェルミエルに向けて響く。
「リリエルは美しい! お前に何が分かる!?」
「は? その程度の女に美しさを感じているのか。お前、目が腐っているんじゃないか?」
ヴェルミエルの挑発に、俺の怒りが頂点に達する。
「リリエルを馬鹿にするな!」
俺は言い放ち、ヴェルミエルに一歩踏み出す。
その瞬間、俺の体の中で何かが弾けるような感覚が走った。
そのとき、リリエルが振り返って俺を見た。
「シン、ありがとう……」
その言葉に、俺の心は少しだけ軽くなった。
だが、この状況は終わらない。
「ふっ、面白い。じゃあ、お前がその美しさを守りたいというのなら、俺がその「美」を壊してやろう。」
ヴェルミエルは、背後の部隊に指示を出し、同時に魔法の力を振るう。
「見せてもらおう、醜さの本当の力を。」
だが、俺はその力に屈しなかった。
「リリエルを守る、絶対に守る。」
俺の心に誓いを込めて、戦いの幕が開けた。
戦闘が始まると、俺はその瞬間にスキルの効果を感じ取った。
ヴェルミエルの攻撃がそのまま俺に向かって飛んでくるが——
その攻撃を反射するように、俺は**「歪んだ美学」**を発動させる。
「っっ!!」
ヴェルミエルの攻撃が俺の前に立ちふさがり、その姿を捉える。
彼の放った魔法は、あまりに強力で俺の体を吹き飛ばす。しかし、**「歪んだ美学」**の効果が俺を支えてくれる。
その瞬間、俺の中で不思議な感覚が生まれる——
そして気づけば、俺は**「醜悪美化」**を発動していた。
俺の体が一瞬にして再生し、ヴェルミエルの攻撃を引き寄せて反撃する。
——そして、俺の**「歪んだ美学」**がもう一度作用し、ヴェルミエルの顔に恐ろしいほどの変化を与えた。
「な……!? なんだこれは……!」
その瞬間、ヴェルミエルが目を見開いた。
「こんな……クソみたいな力が……!?」
彼は一瞬、表情を歪め、怒りを込めて叫ぶ。
だが、俺はもう一歩踏み出した。
「リリエルを守る、俺が絶対に守るからな!」
その言葉に、リリエルの瞳が少しだけ安堵を込めて見つめ返してくる。
――そして、俺の体内で新たなスキルが目を覚ました。
「醜悪反転」
俺がこのスキルを使うと、ヴェルミエルの美的感覚が崩れ、そして反転するように、まるで美を感じることができなくなった。
これが、俺の新たな力だ。
――その瞬間、四天王ヴェルミエルは、立ち上がることなく崩れ落ちた。
次回予告: 第21話「新たな敵、四天王の誇り」
•シンとリリエル、魔王軍四天王との戦いが終わりを迎えようとしていた。
•「俺の誇りを侮辱するな!」
四天王の誇りをかけた最終決戦、シンが繰り出す一撃が運命を変える!
•戦いの終息を迎えたかと思いきや、暗闇から新たな強敵が登場!
•「これが四天王の力だ!」
新たに現れる謎の存在は、シンとリリエルの前に立ちはだかる。
•シンの新たなスキル、そしてリリエルの神託が試される時が来た。
次回、四天王の誇りを背負った新たな敵が登場!シンとリリエルの運命はどうなる!?




